オリーブオイルと熟成との関係についてご案内します

オリーブオイルの熟成とは?

高価なワイン並みの値段がすることもあるエキストラバージンオリーブオイル(以下、オリーブオイルと省略させていただきます)。

ひょっとして、熟成させれば美味しくなるのかな?

こんな疑問を、持たれたことはございませんか?

その「オリーブオイルの熟成」についてご案内させていただきます。

オリーブオイルは熟成しない

以前、とあるお店で「このオリーブオイルは、熟成させた方が美味しいですよ」という会話を耳にしたことがあります。

でも、実はオリーブオイルは、時間が経つと味が丸くなることはあるのですが、熟成はしません。

熟成しない理由は、熟成に必要な物質(アルコール分、タンニン、有機酸、残糖分、アントシアニン、遊離亜硫酸など)が、オリーブオイルには入っていないからです。

ワインの場合は、これらの成分が複雑に絡み合って、時間経過と共に味の深さが出てきます。

 

オリーブオイルが熟成したように感じるのは

とは言えども、オリーブオイルが時間が経つごとに味が変わっていくのは、本当のことです。

熟成しなくて、オリーブオイルの味が何で変わるかなのですが、それは含まれているポリフェノール類が、時間経過と共に減っていくからなんです。

このポリフェノール類は、辛味や苦みの基になる成分なので、時間経過と共に辛味や苦みが減っていって、味が変わるんです。

ポリフェノール類は、抗酸化作用のある物質です。結果的にオリーブオイルを酸化から守っていって、ポリフェノールが無くなった段階で、オリーブオイルは一気に酸化します。

 

オリーブオイルの熟成と賞味期限の関係

オリーブオイルは、ポリフェノール類が減っていくのとは逆に、時間経過と共に増えていく物質もあります。

それは、遊離脂肪酸と呼ばれるものなのですが、遊離脂肪酸が増えると味が「油っぽくなります」

私の経験では(賞味期限切れのオリーブオイルを食べた経験です)酸化する前に、油っぽい味が気になって、サラダなどへの生使いが出来なくなります。

さて、その賞味期限ですが、イタリアでは、製造後18ヶ月(最近は24ヶ月の生産者もいますが)がひとつの基準です。

その基準になっているのは、標準的な保管温度(概ね20~25℃)では、18ヶ月まで遊離脂肪酸の基準が、エキストラバージンオリーブオイルの酸度0.8%を越えないからみたいです。

下のグラフは、オーストラリアの公的か機関が、オリーブオイルが時間経過と共に変化するのを表してものです。22℃での保管の場合、大体1年半(18ヶ月)で基準の0.8%を越えていますよね。

 

それでは、賞味期限が切れた場合、どのくらいまで食べることが出来るかなのですが、生産者の人から言われているのは、「酸化臭(酸化)がしないうちは、食べても大丈夫だよ。」との事でした。

詳しくご案内した記事が、こちらにございますので、よろしければご覧になってみてください。

賞味期限切れのオリーブオイルは食べられる?

熟成しないオリーブオイルの食べ頃

オリーブオイルは、熟成のように味が落ち着くのを待たないで、すぐに美味しいのが良いですよね。

最初にご紹介したエピソードの「熟成してからの方が、美味しい」と言われていたオリーブオイルは、きっと味が強いオリーブオイルだったと思います。

オリーブオイルの味は、そのオリーブオイルの産地地域の食文化に関連しているので、山の中で獣肉とか食べる地域のオリーブオイルは、辛味苦味が強いんです。

臭み消しにもなるので、その強い味のオリーブオイルは、産地地域の人には大変ありがたい味なのですが、日本人には強すぎることが多いです。

一方、海の近くが産地のオリーブオイルは、魚介類向けなので、味がマイルドで食べやすいです。でも、そのマイルドなオリーブオイルは、品質管理次第で味が変わっちゃうんです。

ご家庭での保管は、夏でも流しの下などに置いておけば十分なのですが、一般的にお店向けにオリーブオイルを輸送する場合、真夏でも常温のトラックを使用します。そうなると、さすがに状態が変わってしまいます。

ですから私は、輸入には飛行機を使用して、保管は定温庫、そして、私が直接お納めできるお店にしか、お送りしておりません。

イタリアでも珍しい、完璧なコンディションの魚介類向けオリーブオイル。どんな品か、ご覧いただけると嬉しいです。

一番下に商品へのパナーを貼らせていただきました。200年間、ずっと有機栽培だけやっている北イタリアの山奥の農園から、空輸で運んできています。

まとめ オリーブオイルの熟成

エキストラバージンオリーブオイルは、熟成に必要な物質が入っていないので、熟成できません。

時間経過と共に、まるで熟成したように味が丸くなるのですが、それは、ポリフェノール類が時間経過と共に減っていくからです。ポリフェノール類は、オリーブオイルの辛味苦味の基になります。

ヒナタノ店主・加藤 昭広

おいしいもので喜んでいただくことが大好きです。おいしいものを探してイタリアへ移住。気がついたら仕事になっていました。
自他ともに認めるオリーブオイル ヲタクです。
このブログでは、おいしい話しやイタリアの職人さんたちから聞いた小ネタを紹介しています。