イタリアのリグーリア産オリーブオイルに思うこと その2 美味しさについて

リグーリア州特産のタジャスカ種オリーブオイルについて、その1ではイタリアの歴史を簡単にご案内しました。今回は美味しさについて

リグーリア州のオリーブオイルは、イタリアの多くの地域で販売されています。地元産のオリーブオイルが、一番美味しいと思っているイタリアの人に一目置かれているということだと思います。

そのタジャスカ種のオリーブの木は、とっても変わっています。

普通オリーブというと、収穫時期は、ほぼ同時。

一気に収穫期が来るので、どのオリーブ農園も収穫時は大忙しなのですが、タジャスカは、のんびり実ごとバラバラに熟していきます。

それに熟し方ものんびり。

一般的にオリーブの収穫は、秋から始まって長くても2ヶ月なのですが、タジャスカの場合は、秋から始まって年明けの二月頃まで続きます。

収穫の方法や風景も、ほかの品種と違っています。

多くのオリーブは、大人数で木に登ったて手摘みしたり、小さな熊手や掃除機みたいな収穫機、あるいは、大型の機械で木の幹を揺すって落ちた実を収穫します。

タジャスカの場合は、棒などで木を揺すって、落ちてきた実だけ収穫します。機械を使うとしても、木の上の方にある実を、掃除機みたいな機械で吸い取るだけ。

少人数で収穫するということもあるのでしょうが、実に、のんびり、ゆっくりした収穫風景です。

木を揺する機械を使えば、もっと効率的なんですが、畑が傾斜地にあったり道が狭かったりで機械が入っていけないんです。

ですので、有機栽培の畑の草刈りは、全部手作業。大変な根気必要な仕事ですよね。


木を棒で揺すっただけで落ちてくる実というのは、完熟した実だけになります。色も実にカラフルで、黒、緑、黄色と、1本の木で色んな色の実を付けます。

この実の完熟さが、タジャスカ種オリーブオイルの美味しさでもあります。自然の恵みを目一杯受けた完熟果実ですから、美味しいです。

ほかのオリーブオイルに比べて、辛みや苦みが少ないのに、味がしっかりしている。白身魚のカルパッチョなどにかけると、濃厚な果汁が加わって美味しさが映えます。

このような特殊な美味しさが、イタリアのほかの地方のオリーブオイルには無いので、イタリア中で人気のある理由です。

 

ただ、このタジャスカ種オリーブオイルにも弱点があります。

それは完熟オリーブの美味しさゆえの弱点、味が変わりやすいんです。とっても繊細。

オリーブオイルの辛みや苦みは、ポリフェノールと呼ばれる抗酸化物質です。

このポリフェノールは、オリーブオイルを劣化からも守ってくれます。

タジャスカ種オリーブオイルの場合は、この辛味苦味が少ないので、オリーブオイルを劣化から守ってくれるポリフェノールが少なめです。辛味苦味が少ないので、味の変化がとても感じやすい。

味の変化は、軽快な美味しさの果汁から始まって、段々味が重くなり、バナナぽい味に、さらに進むと油っぽくなります。

そのような味の変化をさせたくないので、私は一度に少量しか仕入れません。時折欠品してしまいますが、航空便で運んでいるので、すぐに仕入れてお届けできます。

ぜひ、一度ご覧下さい。一番下に商品ページへのリンクを貼らせていただきました。

春夏秋冬農園の様子など詳しくご案内しています。

200年間ずっと、有機栽培を続けている山奥の農園のオリーブオイルです。

 

ヒナタノ店主・加藤 昭広

おいしいもので喜んでいただくことが大好きです。おいしいものを探してイタリアへ移住。気がついたら仕事になっていました。
自他ともに認めるオリーブオイル ヲタクです。
このブログでは、おいしい話しやイタリアの職人さんたちから聞いた小ネタを紹介しています。