オリーブオイルの輸送方法が違うと品質や鮮度に違いがある?
エキストラバージンオリーブオイル(以下オリーブオイル)に限らず、輸入食品は美味しくて、適切な価格で手に入るのが一番良いですよね。
でも、私は空輸にこだわってきました。
これまで84回輸入したうち、82回が空輸。2回だけ15℃で温度管理されたリーファーコンテナです。
いったい何がどう違うのか、簡単にご案内します。
オリーブオイルの輸送方法によって、鮮度や品質に影響が出そうな違い
オリーブオイルを輸入する際に使用する輸送方法をまとめてみました。
費用に関してですが、輸入の物流費の算出は、容積で計算したり重量で計算したり複雑です。
今回は、コンテナ1本分(最大積載量25トン)をイタリアから運んだ場合で比較してみました。
エアコン無しのドライコンテナ
費用:概ね15万円から20万円です。そのほか港湾作業代が別途必要
所要時間:40~45日(シンガポールないし上海で乗り継ぎ待ち時間含みます)
庫内最高温度:約50℃
概要:コンテナを船の底の方に置ければ、航海中は夏でも20℃以下ですが、船の上の方だと庫内温度が50℃近くになります。また、経由地の東南アジアでは、乗り継ぎ待ちの間は港に野積みされます。
エアコン付きリーファーコンテナ
費用:概ね40万円~50万円。そのほか港湾作業代が別途必要
所要時間:40~45日(シンガポールないし上海で乗り継ぎ待ち時間含みます)
庫内最高温度:設定温度による(冷蔵は15℃くらいで設定されている場合が多い)
概要:全行程で温度管理されています。しかし温度履歴に関しては基本的に非公開。私が利用した際には、一番デリケートなオリーブオイルを1本入れて味見してから出荷しました。
航空便
費用:500万円以上
所要時間:11~12時間
庫内最高温度:客室温度以下。
概要:一番温度が高いのは空港での作業中。ですから私は夏の間基本的に仕入れしません。
※ドライコンテナの温度に関しては、東京都福祉保健局 健康安全研究センターの報告書から引用させていただきました。
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/hyouka/files/19hyouka1-siryo3.pdf
ドライコンテナは、乾燥パスタもカビる事もある過酷な環境
乾燥パスタが、輸入途中にカビる事があるのをご存じですか?
ドライコンテナを使用した場合、赤道近くなどで高温になって、僅かに残っていたパスタの水分が蒸発して袋の内側に水滴としてつきます。その後冷やされて、水がパスタに付着してカビる。らしいです。パスタの生産者から聞きました。
最近は、ドライコンテナで断熱材をオプションとして用意している場合もありますが、かえって熱が籠もるような気がします。なにしろ荷主が受け取って開けるまで、コンテナにはカギがかかって密閉されています。
オリーブオイルを農園と同じ味でお届けするには航空便だと思います。
航空便の運賃は、ドライコンテナに比べて20~30倍。リーファーコンテナに比べても10倍ほどコストがかかります。
でも、味や品質は間違いなく航空便が一番だと思います。
ただし、高価すぎてはダメだと思って色々工夫しています。例えば通関検疫作業を自分で行ったり問屋さんとのお取引を控えたりです。それでも、オリーブオイルは色々な条件で劣化変化してしまうので、航空便にこだわりたいです。
オリーブオイルが劣化する条件と内容をご案内した記事です。ご参考になれば幸いです。
オリーブオイルが熱によって劣化する内容をご説明します。遊離脂肪酸編
オリーブオイルが熱によって劣化する内容をご説明します。ピロフェオフィチンa編
光がエキストラバージンオリーブオイルをどのように劣化させるかご説明します。
オリーブオイルの輸送方法の違いによる品質への影響のまとめ
本物のエキストラバージンオリーブオイルを美味しいままお届けする最良の方法は、航空便だと思います。
日本に運んでからの扱いも色々こだわっております。
エキストラバージンオリーブオイルは、オリーブの実の生搾りジュース。生鮮食品だと思っています。美味しくお届けするためにできるだけのことをしました。ぜひhinatanoのオリーブオイルを一度お試しください。よろしくお願い申し上げます。
hinatano 加藤 昭広