イタリアのオリーブオイル、搾油場のお話し

イタリアでは、不動産みたいに登記もされるオリーブの木

イタリアでは、そこいら中に生えているオリーブの木。

ちょっとした公園やら、個人のお宅にもありますが、中には、誰かのオリーブ農園の中に木を持っている人もいます。そういうオリーブの木は、不動産のように登記されていて、財産として代々相続されます。

それくらいイタリアの人達にとって、オリーブの木は身近でもあるし、特別な木です。

オリーブの木があれば、実もなるわけですが、その実は共同搾油所で搾られることが多いです。

オリーブオイル搾油場の利用システムは、時間貸しと従量制

先日酸度0.1パーセントのオリーブオイルをご紹介した際に、搾油場の事に触れさせていただきましたが、オリーブオイルの産地には、あちこちに共同搾油所があります。

オリーブ農園を持っていて、結構な量のオリーブの実を持っている人は、一定の時間帯を貸切で利用します。

少量のオリーブの実しか無い個人利用の場合、持ち込んだオリーブの量に応じて、オリーブオイルを貰う従量制で利用します。

最初にオリーブの実の重量を検量してもらい、オリーブ投入口へ投入、その間オリーブの搾油機は、ずっと稼働中。

つまり、共同で搾って、分け前を頂戴する。こんな仕組みです。

そんな大雑把な方法で大丈夫?かと言うと、商品として売るには、あんまり大丈夫では無いように見えます。美味しいんですけど、味がばらついてしまいます。


持ち込まれるオリーブの実にも、質にバラツキがあるので、検量時に実の状態はチェックされます。

オリーブの実も熟させた方が、重量が重くなるので、貰えるオリーブオイルの量が多いのですが、熟させ過ぎると油っぽくなったり、ひどい場合はカビてしまうことがありますからね。そんな実と一緒に搾ったら、大惨事です。

熟しすぎた実かは、手に取ってみたり、オリーブの実を入れてあるカゴの底を見えれば分かるらしいです。

熟しすぎると、オリーブの実の重量で潰されて、油分が底に溜まります。

商品用のオリーブオイルを作るときの一手間

オリーブの持ち込み(従量制)での搾油は、朝早くから始まり、人々が夕食の準備にかかる夕方まで続きます。

その間、商品としてオリーブオイルを搾りたい人達は、オリーブの収穫をしていて、夜になってから搾油始めることが、繁忙期には多いようです。

その商品としてオリーブオイルを搾るときに、大事なのが洗浄作業。

共同で利用していたときに、色んなオリーブを搾っていますので、綺麗に洗浄しないと味が混じってしまいます。

そういう作業を経て、搾油をするので、搾油作業が終了するのが真夜中になるのですが、翌朝は明るくなり次第、収穫作業を始めます。

機械にちょっとした故障でもあると、労働時間は20時間くらいに。ほとんどブラックな労働時間ですが、なんだか楽しそうなんですよね。

ヒナタノ店主・加藤 昭広

おいしいもので喜んでいただくことが大好きです。おいしいものを探してイタリアへ移住。気がついたら仕事になっていました。
自他ともに認めるオリーブオイル ヲタクです。
このブログでは、おいしい話しやイタリアの職人さんたちから聞いた小ネタを紹介しています。