オリーブオイルは太る?太らない?
エキストラバージンオリーブオイル(以下オリーブオイルと省略させていただきます)は健康に良いので飲みましょう。でも高カロリーで太ってしまうので飲み過ぎには注意しましょう。こういう記事をよく見かけます。
ダイエット効果もあると言われているオリーブオイルは、飲んだら太るのか太らないのか?
もしも、オリーブオイルが太らないのなら、飲むだけで無く、ノンオイルドレッシングみたいに量を気にせず、サラダにたっぷり使って美味しく食べられますよね。オリーブオイルと太り方の関係。色々な記事をよく読むと、オリーブオイルの大事なポイントが抜けているのに気がつきました。オリーブオイル輸入者の視点でご案内します。
オリーブオイルは太りにくいオレイン酸が主成分
太る理由は個人差があります。糖質や脂質がどのように関係しているのかなど、まだまだ知られていないことが多いです。この記事では、ほかの食物油に比べて、オリーブオイルが優れていると思われるところをご案内させていただきます。
さて、オリーブオイルダイエットでは、概ね大さじ2杯(約200キロカロリー)飲むことを推奨されます。でも食物油を200キロカロリーも毎日摂ったら、太ってしまうような気がしませんか?オリーブオイルは、インスリンの分泌量が減るから等のダイエット効果があると言われていますが、本当なのか不安になられると思います。
色々な理由から、本来エキストラバージンオリーブオイルは、鮮度などの品質が良ければ、他の食物油より太りにくいと思います。その理由は大きく2つあります。
一つ目が、「遊離脂肪酸」と言う”摂った後に消費しないと、中性脂肪になってしまう”成分が少ないこと。ただし、この遊離脂肪酸は、保管や輸送状態が悪くて熱が加わると、徐々に増えてしまいます。このことは、後ほど詳しくご案内させていただきます。
二つ目が、エキストラバージンオリーブオイルの主成分オレイン酸は、ほかの食物油のオレイン酸と違い、熱が加わっていないということです。
元々オレイン酸自体、吸収されにくいと言われています。この吸収されにくい特徴から、腸の潤滑が良くなり便秘解消や、飲み過ぎると下痢のようなお通じになることもあると言われています。ただ、オレイン酸も鮮度などの品質によって、吸収されにくさが変わってきます。
以前私の体験をご紹介した記事です。
便秘改善にエキストラバージンオリーブオイルをお勧めする理由と体験談をお話しします。
イタリアでは、エキストラバージンオリーブオイルをショットグラス程度の量を飲む人もいます。私の取引先のオリーブオイル生産者の方達も、味見のためによく飲みますけど、彼らは肥満と言われる太り方はしていません。実際、イタリア人の肥満率は10%で、アメリカ人の34%に比べれば遙かに少ないです。
ただし、エキストラバージンオリーブオイルは、オリーブの実の生搾り果汁。高温に晒されたりすると、あっという間に条件が変わってしまいます。
オリーブオイルの主成分オレイン酸は熱で変化する
オレイン酸が主成分の食物油はたくさんあります。オレイン酸自体が、体に吸収されにくいというのなら、オリーブオイルで無くても良いことになります。エキストラバージンオリーブオイルのオレイン酸が、ほかの食物油に比べて良いところは、熱が加わっていないことです。
オリーブオイルの生産者も「エキストラバージンオリーブオイルは、製造過程で加熱されてないから、吸収されにくくて、流れてしまうので体に付かないから太りにくいんだよ」とよく言うのですが、ほかの食物油と、エキストラバージンオリーブオイルは製造方法が違います。
エキストラバージンオリーブオイルは、オリーブの実を潰して搾るだけ、そして、その工程での温度は、30℃以下となっているので熱が加わっていません。一方、同じくオレイン酸が主成分の紅花油や菜種油は、材料の種から搾ったあと、油から水分を取り除くために加熱されています。
ただ、この加熱されていないオレイン酸が、体に吸収されにくくなるというデーターがなかなか見つかりませんでした。しかし、先日マウスでの研究結果ですが、文献を見つけました。1時間加熱したオレイン酸を主成分とした食物油を与えたマウスの方が、加熱していないオレイン酸を与えていたマウスに比べて、体重増加の傾向が見えたとのことです。
加熱ツバキ油または加熱オリーブ油の摂取が脂質代謝に与える影響
ピュアオリーブオイル飲み過ぎて太る血液になった経験
食物油の中には、エキストラバージンオリーブオイルを精製したピュアオリーブオイルと呼ばれる物もあります。
今から20年以上前、まだインターネットなどが普及していませんでしたので、本などからイタリアの食を勉強していました。ある時、テレビでイタリアのお爺さんがやっていた「オリーブオイルを飲む」を体験したくてピュアオリーブオイルを毎日少量摂っていたら、体重が増えて、血中中性脂肪も500近く上がった経験があります。
「イタリア人はこんな油っぽいものを飲んでいるか??」と思ったものですが、イタリアに住んでみたら、彼らが飲んでいるのは鮮度の良いエキストラバージンオリーブオイルでした。
このピュアオリーブオイルと呼ばれる物も、主成分はオレイン酸ですが、不純物を取り除く精製工程があります。その時に熱が加わっていますので、先ほどご紹介したマウスの実験データのことを考えると、熱によって状態が変わったオレイン酸で、結果的に体が吸収してしまったと言えるかも知れないですね。
色々な記事で、ピュアオリーブオイルを飲むオリーブオイルとして推奨されている方もいらっしゃいます。推奨される理由は、「味が無いので飲みやすいから」が多いのですが、エキストラバージンオリーブオイルの辛み苦みはポリフェノール。ポリフェノールもオリーブオイルから摂れる非常に体に良い成分ですから、健康のためにはエキストラバージンオリーブオイルの方が適していると思いますし、ご案内したとおり、熱が加わったオレイン酸は、私個人としてはお勧めできないです。
それに、鮮度の良いエキストラバージンオリーブオイルは、とっても美味しいです。口に含むと、フワッと美味しい香りが広がり、そのまま飲むと、多少の辛味苦味があるけど、スッと流れていく。「え、これが油!?」と思われると思いますよ。
太らないはずのオリーブオイル、でも劣化して遊離脂肪酸が増えたら
エキストラバージンオリーブオイルは、収穫から搾油まで温度を上げない方法(低温圧搾あるいは、コールドプレスと言います)で搾られている珍しい食物油です。熱が加わっていないオレイン酸を美味しく摂ることができます。
そして、遊離脂肪酸と言われる成分が少ないのもエキストラバージンオリーブオイルの良いところです。遊離脂肪酸は、カロリーとして消費しなければ血中中性脂肪になり、最終的には体について太ってしまいます。
ただ、この遊離脂肪酸も熱が加わると徐々に増えてしまいます。エキストラバージンオリーブオイルの遊離脂肪酸は、国際基準では0.8%以下ですが一般的に売られているエキストラバージンオリーブオイル全てが、0.8%という基準を満たしているとは、なかなか言い難いのが現状です。
理由は、お手元へ届くまでの運ばれ方管理のされ方です。
出展元 The Effect of Storage Conditions on Extra Virgin Olive Oil Quality 2012年の研究論文
グラフは、オーストラリアの公的な機関が行った研究レポートです。研究に使用したオリーブオイルは、比較的飲みやすい味のエキストラバージンオリーブオイルです。このように37℃のところに置いておくと、半年くらいで国際基準の0.8%を上回ってしまいます。
「37℃に半年間?」一見、あり得ないように思えますが、日本に輸入されるオリーブオイルの多くが、エアコン無しのコンテナに入れて、中東やインド洋を二ヶ月近くかけて輸入されます。そしてコンテナ内の温度は60℃近くになることもあります。
日本に着いてからも、色々なお店に行くまでに、サラダ油など他の食物油と一緒に常温で運ばれていたら、温度が上がってしまいます。日本も夏は暑いですからね。
私がこのWEBサイトで扱っているオリーブオイルは、酸度0.18%ですが、そんな扱いをしたら、お客様にお届けする前に基準を超えてしまいそうですので、飛行機で輸入していますし、温度管理が心配なお店には卸販売をお断りしています。
「でも、国際基準の0.8%を下回ってる物が、エキストラバージンオリーブオイルとして売られているのでは無いの?」と思われるかも知れないですが、実は、日本にはエキストラバージンオリーブオイルの法的な基準がありませんので、曖昧なんです。
詳しくは、こちらにご案内しています。飲むオリーブオイルは品質が大事だと思って書きました。
こちらは、温度で遊離脂肪酸が増えることを更に詳しくご案内している記事です。
オリーブオイルが熱によって劣化する内容をご説明します。遊離脂肪酸編
太らない品質のオリーブオイルだったら
オリーブオイルに大事な温度管理。オリーブオイルの生産者は、できるだけ低温で作るように一生懸命仕事をします。そうして作られたエキストラバージンオリーブオイルをイタリアの人たちは、食べています。
例えば、カプレーゼを作るときには、まるで「うどんにお出汁を注ぐ」みたいにエキストラバージンオリーブオイルをかけて、お皿に残ったオリーブオイルも全ていただきます。カプレーゼは、このお皿に溜まっているオリーブオイルが、一番美味しいです。トマトやモッツァレラチーズの旨みが凝縮されたエキスと果汁のようなエキストラバージンオリーブオイル
お店によっては、ケッパーや刻んだアンチョビを加えたり、フレッシュバジルやオレガノなどのハーブ類。オリーブオイルを主役にして、イタリアの美味しいものがギュッとお皿の中に凝縮されています。
こう言う食事を摂っても、イタリアの人たちの肥満率が低いのは、やはり鮮度の良いエキストラバージンオリーブオイルを摂っているからだと思います。
どうすれば、そんなオリーブオイルが手に入るかですが、いかがでしょう。私の品もご覧になっていただけませんか
このヒナタノのWEBサイトでご紹介している有機栽培のエキストラバージンオリーブオイルは、私がたまたま北イタリアの山の中で見つけたオリーブオイルです。
200年間一度も化学肥料を使ったことが無く、ずっと産地地域の人たちに愛されてきました。味わいは、とってもマイルド。でもしっかり味のある。文章にするのが難しいです。
2007年から18,000本ほどお買い上げいただいています。でも、この販売数は業界的には、とても少ないです。ほとんど卸販売していないから致し方ないのですが、リピートのお客様に支えていただいております。
最近、「納豆に使うオリーブオイルを、あなたのところに変えたら抜群に美味しくなったわよ」とお褒めいただきました。和食にもよく合う、エキストラバージンオリーブオイルです。一番下に商品ページへのリンクを貼らせていただきました。ご覧頂けますと嬉しいです。
まとめ:オリーブオイルは太る?
1.エキストラバージンオリーブオイルの主成分オレイン酸は、もともと体に付きにくいと言われています。
それにエキストラバージンオリーブオイルのオレイン酸は、製造過程で熱が加わって無いので、更に体に付きにくいことが、マウスの研究データーや、たくさんエキストラバージンオリーブオイルを摂っているイタリアの人の肥満率が低いことから推察されます。
2.摂った後に消費しないと中性脂肪になってしまう遊離脂肪酸が低いのもエキストラバージンオリーブオイルの優れているところです。しかし、エキストラバージンオリーブオイルの遊離脂肪酸は熱が上がってしまうと増えてしまいます。
3.ちゃんと温度管理してあれば、オレイン酸は良質なままですし、遊離脂肪酸も低く抑えられます。産地と同じ鮮度の良いエキストラバージンオリーブオイルをお探しでしたら、ぜひ手前どもの品もご覧になってみて下さい。今日まで(2020年5月22日現在)130回空輸で輸入して、美味しいままお届けしています。