量産品オリーブオイルの選び方

量産品のオリーブオイル

スーパーなどに行くと、手頃な価格のエキストラバージンオリーブオイルが売られています。

それらのオリーブオイルについて、ネットの記事などでは、「偽物だ本物だ」「美味しい、美味しくない」と書かれているのを見ることがあります。

オリーブオイルの仕事をしていて、日頃思っていることを書かせていただきました。

 

量産品のオリーブオイルは本物?

ブログをご覧いただきありがとうございます。

オリーブオイルとかイタリアの食材を輸入販売しています。ヒナタノ店主加藤と申します。

スーパーなので見かけるオリーブオイル。それらのオリーブオイルが全て本物かという事は、正直なところ分かりません。すみません。

製造側は、品質検査をしていると思うのですが、そもそも日本にはエキストラバージンオリーブオイルの法的な基準が無いのです。

そのため、検査しても、検査結果は、メディアなどで言われているエキストラバージンオリーブオイルの国際基準に合致している必要が無いんです。

例えば、エキストラバージンオリーブオイルの国際基準は0.8%の酸度ですが、日本では「食用オリーブオイル」という商品基準の酸度2%以下なら販売できます。

基準が全然違うので、オリーブオイルの本物論争自体、成立しないと思います。

こちらに詳しくご紹介しています。

全てのオリーブオイルが、健康に良いとされている国際基準を満たしている訳では無いという記事です。

飲んでも良いオリーブオイルと駄目なオリーブオイル

量産品のオリーブオイルの多くは、海外のOEM生産(製造元が他社ブランドの商品を作ることです)品だと思います。

一つだけ確かなのは、そのOEM生産された量産品のオリーブオイルが、イタリア産の場合でしたら日本で売られている時よりも美味しいはず。ということです。

 

私がイタリアに住み始めた2000年頃、ある有名なオリーブオイルのテレビコマーシャルで「・・・はイタリアのトスカーナ州ルッカという町にあります」と流れていました。

イタリアに渡る前、私はそのオリーブオイルが好きでよく使っていました。どんなところで生産しているのだろうと思って、ルッカ周辺を探し回ったことがあります。

ルッカは城壁に囲まれた小さな町で、周辺には小さなオリーブオイル工房が沢山あります。

友人達と数人で、一日中歩き回り探したのですが見つかりませんでした。町中の誰も知りませんでしたし、スーパー含めて食料品店にも販売されていませんでした。

私が帰国してから数年後、「南イタリアにある」という事に変わっていたので、たぶん委託の工房(OEM先)が変わったのだと思います。

日本で愛用していたのと、きっと同じ製造元のオリーブオイル

2000年頃は、OEMだったのだなと思うもう一つの理由が、今でも季節限定で売り出されるオリーブオイルが、私が知っているルッカのオリーブオイルと見た目がそっくりだからです。ボトルの形状が独特なんです。

今では、透明ボトルのオリーブオイルは劣化しやすいのを知っているので使いませんが、イタリアに居た頃は、美味しかったので、そのオリーブオイルを好んで使っていました。

透明ボトルのオリーブオイルが劣化しやすい理由は、こちらの記事でご案内しています。

光がオリーブオイルを酸化、劣化させる理由

同じ製造元のオリーブオイルは美味しかった

オリーブオイルのOEM生産自体は、珍しい事ではありませんし、決して悪いことではありません。

”ブレンダー”と呼ばれる業態のオリーブオイルの会社が行うことが多いのですが、ブレンダーは、オリーブオイルを問屋や生産者から買って、ブレンドして味を調えて瓶詰めします。

美味しいオリーブオイルを作るブレンダーも沢山います。私も十数年前は、個人で営んでいるブレンダーさんのオリーブオイルを輸入していました。

そのブレンダーさんは、お年を召されたので引退されてしまい、替わりになるブレンダーさんを探していたことがあります。でも、諦めました。

ブレンダーの場合、問屋さんに騙されて産地偽装のオリーブオイルを掴まされてしまうリスクがあるのと、そのような話を聞いたことがあるからです。

問屋さんが騙されちゃうこともありますし、ちゃんとしたオリーブオイルを仕入れたとしても、輸送会社がオリーブオイルが入ったタンクローリーごと入れ換えちゃうことがあるかも知れません。

このあたりが、イタリアのややこしいところでもあります。

でも、不味い状態のオリーブオイルは出荷しないと思うんです。

確かにブレンダーのオリーブオイルは、農家の逸品物のオリーブオイルに比べると、味は負けてしまうと思いますが、ブレンダーさんは、小まめに味のチェックしています。

美味しいオリーブオイルの目印

いくつかある美味しくなくなっちゃう理由のうち、一番大きいのは、あちこち運んでいる間に味が落ちてしまうと言うこと。

エキストラバージンオリーブオイルは、生鮮食品のようなものなので、鮮度が落ちると味が悪くなるんです。

イタリアでは、取り扱う人達がオリーブオイルの扱いを知っているので、オリーブオイルを高温の所に置いたりしないのですが、日本ではサラダ油などと同じ扱いをされてしまいます。

ですので、できるだけ美味しい量販品のオリーブオイルを手に入れようとしたときの目印は、賞味期限になります。賞味期限が長いほど、あちこち運ばれて無いことになります。

イタリアでは、一般的にオリーブオイルの賞味期限は製造後(瓶詰め後)18ヶ月ですので、量産品のオリーブオイルをお求めの際は、できれば1年以上賞味期限が残っている物を手にされることをお勧めします。

 

ヒナタノ店主・加藤 昭広

おいしいもので喜んでいただくことが大好きです。おいしいものを探してイタリアへ移住。気がついたら仕事になっていました。
自他ともに認めるオリーブオイル ヲタクです。
このブログでは、おいしい話しやイタリアの職人さんたちから聞いた小ネタを紹介しています。