新物オリーブオイル、普通のオリーブオイルとの違い
エキストラバージンオリーブオイル(以下オリーブオイルと書かせていただきます)は搾った直後は、ものすごく濃い色をしています。
通常は、この濃い状態のオリーブオイルを、ステンレス製のタンクにしばらく入れて、濁りを沈殿させて取り除く「デキャンティング」と呼ばれる作業をします。
でも、そのキャンティングが行われてない、搾ったままのオリーブオイルを、日本では新物として売られている事があります。
この売り方は、実はイタリアではあまり一般的な売り方では無いのですが、美味しいものにあたると、それはそれは感動的です。
まさにオリーブの実の果汁そのもの。これだけあれば、調味料は必要無いと思うくらいです。
でも、通常の製造手順を踏んでいないので、気をつけなければならないことがあります。
詳しくご案内させていただきます。
新物オリーブオイルは、ものすごく傷みやすい
オリーブの実は、収穫した直後から傷み出すという話をお聞きになったことがありますか?
ですから、収穫から短い時間で搾油を終わらせるのに、一生懸命になります。
それに、生産者によっては、「一粒ずつ手摘みをしながらチェックして、傷んだ実をはじく」という気の遠くなる作業を、同時にすることもあります。
もの凄い集中力だと思いませんか?
さて、この搾りたての緑色は、オリーブの実そのもののようなものです。
すごくデリケートで傷みやすいです。葉緑素たっぷりなので、特に光には敏感なので、色が付いた遮光ボトルは必須です。
光りとオリーブオイルの関係をご案内した記事がございます。こちらで詳しくご案内しています。
以前の記事:光がエキストラバージンオリーブオイルをどのように劣化させるかご説明します。
あえて新物オリーブオイルとして出荷しないところもある
実は、全ての生産者が、デキャンティングしていない新物オリーブオイルを作っているわけではありません。
雑味が強すぎて美味しくなかったり、理由は色々ですが。
私の取引先で作っているのは1社だけ。それも年によって作ったり作らなかったりです。
生産者によっては、「デキャンティングしていない新物オリーブオイルは、製品として不完全なので、製造に全く興味が無い」という人もいます。
新物オリーブオイル。美味しいままいただける時間
この新物オリーブオイルですが、遮光ボトルに入っていても、美味しいのは春くらいまでです。個人的には3ヶ月がリミットのような気がします。
通常の手順で作られたオリーブオイルは、オレイン酸が主成分名ために、酸素には強いのですが、このデキャンティングしていない新物オリーブオイルは、酸化しやすい成分(濁り)が、丸々残っているので、酸素にも弱いです。
新物オリーブオイルについて、気をつけたいこと その1 のまとめ
濃い緑色は、オリーブそのもの。非常に傷みやすいので光にあてるのは禁物です。
それに美味しく食べられるのは、春先まで。
それでも、濁った新物オイルで、美味しいのは、すばらしい味です。
オリーブオイルがお好きな方でしたら、お試しになるのをお勧めしますが、お早めに使い切られて下さい。