オリーブオイルの体に良い効能をご紹介します

サラサラなオリーブオイル

なぜオリーブオイルが健康にいいのか?

エキストラバージンオリーブオイル(以下オリーブオイルとさせていただきます)の効能は、心疾患の予防になるとか悪玉コレステロールを下げるとか、太らないとか色々言われていますよね。でも、色々な専門用語が出てくるとなんだかよく分からなくなる。そんなことはありませんか?

できるだけ簡単にまとめてみました。

でも、このあとのお話しのため、この二つの違いをお気に留めておいてください。

・飽和脂肪酸(常温で固体の油に含まれています)
動物性の脂質。主に固体でラードやバターなどに多く含まれます。必要な栄養もありますが、取り過ぎると悪玉コレステロール値を上げてしまう。血管の内側に付着してまうと言われてるものです。

・不飽和脂肪酸(常温で液体の油に含まれています)
植物油や青魚に含まれている液体の脂質です。オレイン酸、リノール酸、α-リノレン酸、DHA、EPAと言われているものになります。

トスカーナ産オリーブオイル

オリーブオイルの効能は、主成分のオレイン酸とポリフェノールの効能

オリーブオイルの主成分は、77.3%が不飽和脂肪酸のオレイン酸です。

ほかにオレイン酸が多く含まれている食物油は、人工的に作られていそうな食物油は外した代表的なところで

落花生油45.5%  ごま油約39.8%  菜種油約62.7%  米ぬか油42.6%
※文部科学省 日本食品標準成分表2015年版(七訂) 脂肪酸成分表 編

 

このオレイン酸が含まれている比率がとても高いのが、オリーブオイルの優れている点です。それも、オリーブオイルのオレイン酸は天然のもの。
オレイン酸が、どんな働きをするのか分かると、オリーブオイルの効能を知ることができます。

 

オレイン酸の効能

1.動物性の脂質を取り過ぎで、増えてしまった悪玉(LDL)コレステロールだけを抑制、改善すると言われています。
※リノール酸やリノレン酸も悪玉(LDL)コレステロールを下げると言われていますが、善玉コレステロール(HDL)も下げてしまいます。

2.胃酸の分泌が少なくて済む
※オレイン酸は、胃での滞在時間が飽和脂肪酸(動物性の脂質)に比べると短いので、その分胃酸を分泌しなくてもよくなります。つまり「胃もたれ」「胸焼け」がしないと聞いたことがあります。

 

オリーブオイルの持っているポリフェノールの効能

加えて、ピュアオリーブオイルなどには含まれていない、ポリフェノールの効能があります。
このポリフェノールは、辛味や苦みで味として感じることができます。

 

搾りたての濁ったオリーブオイル

イタリア人は肥満が少ないです。

イタリア人は、がっしり系の体型の人は沢山いますが、アメリカ人に見られるような肥満体型は本当に少ないです。見た記憶があまりありません。

意外に小食?いいえ、とんでもないです。
よく食べます。例えば結婚式のパーティでは、6,000キロカロリーを1日で摂ることも普通にあります。

それに、イタリアに住んでいる間、私のところでは、パンにつけたりサラダや焼いたお肉にかけたりなど、週に1リットル以上エクストラバージンオリーブオイルを使っていましたが、体重が増えたりしませんでしたよ。

オリーブオイルの効能 ほかにもこんなに良いことが

肌にやさしい
実は、人の皮脂の約4割はオレイン酸です。肌を柔らかくしたり、角質や小じわの改善を期待できるみたいです。

便秘の改善
界面活性作用で便秘の改善も期待できます。腸に無吸収されにくい性質もあるようなのですが、このオレイン酸は腸に吸収されにくい性質からオリーブオイルは太りにくい食物油という根拠にもなっているようです。ただし、熱が上がっていない鮮度のよいオリーブオイルの場合です。

抗酸化作用のあるビタミンEも入っている
オリーブオイルの効能で、もうひとつ優れているのがビタミンEの効能です。
優れている抗酸化作用のおかげで、血管や血中にある悪玉コレステロールの酸化を抑える。悪玉コレステロールが酸化して固まると血管が詰まる原因になると言われています。

効能が期待できるオリーブオイルとは

良い効能がたくさんのオリーブオイルですが、効能に大事なのはオリーブオイルの品質です。これら体に良い効能は、国際基準の品質を満たしたエキストラバージンオリーブオイルを前提にしています。でも、その品質の良いエキストラバージンオリーブオイルを手に入れるのは、なかなか難しいのです。

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例えば、「オリーブオイルは熱に弱い」と聞かれた事があるかも知れませんが、実は温度管理して輸入されて、お手元までオリーブ農園と同じ品質でお届けできているオリーブオイルは少ないと思います。上のイラストは、一般的なオリーブオイルの輸入方法です。それに日本国内の輸送でも、真夏だったらクール便でオリーブオイルをお届けしないとオリーブオイルの熱が上がってしまいます。温度が上がったオリーブオイルが、どうなるかは、下のグラフをご覧ください。

 

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このグラフは、オーストラリアの公的な機関が行ったオリーブオイルの熱が上がると、どのように劣化するのかを表したものです。サンプルのオリーブオイルは、比較的マイルドなタイプのオリーブオイルです。37℃のところに置いておくと、だいたい半年くらいでオリーブオイルの遊離脂肪酸の国際基準酸度0.8%を上回ってしまいますが、輸入時に37℃よりも高い温度で日本まで一月以上かかって運ばれてきて、日本国内では常温で保管されることが多いです。

レポートの原本はこちらになります。英文で約100ページほどのPDFです。全文ご覧になるのは大変だと思いますが、82ページの「Summary of analyses」に概要が出ています。

The Effect of Storage Conditions on Extra Virgin Olive Oil Quality 2012年の研究論文

遊離脂肪酸は、運動などで消費しないと中性脂肪になってしまいます。それに温度が上がってしまったオリーブオイルの主成分オレイン酸は、体に吸収されやすくなってしまって、お通じの改善に役立つはずの「腸内の潤滑油」や「太りにくい」などの効能が半減するはずです。

飲んでもサラッとしているオリーブオイル

なんでそんなオリーブオイルが多いのかと思われるかも知れませんけど、理由はいくつかあると思います。

例えば、エキストラバージンオリーブオイルの遊離脂肪酸の国際基準酸度は0.8%ですけど、日本の場合はエキストラバージンオリーブオイルの法律上の基準が無くて、食用オリーブ油に分類されてしまい基準の酸度は2%です。この数字を下回れば、エキストラバージンオリーブオイルを名乗れてしまいます。

酸度が高い場合、安い費用で大量生産できてしまいますので、安くエキストラバージンオリーブオイルを販売できます。

高価なオリーブオイルでも、この酸度2%を下回っていれば法律上問題無いので、できるだけ安く運ぼうとします。店舗販売する場合、問屋さんや小売店さんにかなりのマージンを払わなければならないので、致し方ないかも知れないです。

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でも、本当に美味しい鮮度の良いエキストラバージンオリーブオイルは、全く別の味です。

サラッとしていて、口に含んでみるとスッと広がる香り、そのまま飲んでも多少の辛味苦味があっても全然油っぽく無いです。

こういう本物のオリーブオイルなら、どんなお料理も美味しくなってしまいます。イタリアンのような洋食だけで無くて、納豆に加えたり、白菜の浅漬けに一回ししても、美味しい。蕪を薄切りにして塩もみ。そしてオリーブオイルをかける。これもおすすめの食べ方です。とにかく美味しい。

こういうオリーブオイルなら、お年を召された方にも喜んでいただけると思います。美味しくて健康に良ければ、一番良いですよね。上の写真は、私と生産者のブルーナ親子が彼らの農園で撮った一枚です。クリックしていただくと、彼らのオリーブオイルをご覧いただけます。

もう少し詳しいオリーブオイルの見分け方を下の記事でもご案内しています。ぜひご覧ください。

「飲んでも良いオリーブオイルと駄目なオリーブオイル」

 

まとめ オリーブオイルの効能、なぜ体に良いのか

体に良い働きをするオレイン酸の含有率がとても高いので、オリーブオイルは体に良いです。加えて、エキストラバージンオリーブオイルならではのポリフェノールの効能もあります。

人工的に作られたオレイン酸がたくさん含まれている食物油もあるのですが、個人的には、人工的というのは少し不安です。

でも、エキストラバージンオリーブオイルは温度管理などをしっかり行わないと、美味しさも効能も少なくなってしまいます。

オリーブオイルは生鮮食品。鮮度一番!と思います。

 

hinatano 加藤 昭広

 

hinatano

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ヒナタノ店主・加藤 昭広

おいしいもので喜んでいただくことが大好きです。おいしいものを探してイタリアへ移住。気がついたら仕事になっていました。
自他ともに認めるオリーブオイル ヲタクです。
このブログでは、おいしい話しやイタリアの職人さんたちから聞いた小ネタを紹介しています。