賞味期限きれのオリーブオイルは体に悪い?
賞味期限切れのエキストラバージンオリーブオイル(以下オリーブオイル)を見つけた。
未開封だったら普通に食べられる?
サラダに使いたいけど止めておいた方が良い?
これらのことについてご案内します。
オリーブオイルは賞味期限が切れてもサラダに使える?
オリーブオイルが劣化する要因は、酸素・温度・光・時間経過、この4つです。
まず、賞味期限切れのオリーブオイルが、開封か未開封に関連してオリーブオイルが酸素で劣化するかについて
オリーブオイルは酸素にオレイン酸が主成分ですし、抗酸化物質もたくさん入っていますので、開封しても栓さえしっかりしておけば、酸素ではなかなか酸化しません。開封後半年くらいは平気でもちます。仕事柄、私のところには味見したオリーブオイルがたくさんあるのですが、開けてから半年くらいのオリーブオイルも食べています。
栓を開けて、もし酸化臭がしたら、ほとんどの場合瓶の注ぎ口やキャップに付着したオリーブオイルが原因のことが多いです。ペーパータオルなどで拭き取れば臭いがしなくなると思います。それでも、もし臭いがするようなら、私だったらオリーブオイルの表面の部分をコップなどに注いでしまいます。下の方のオリーブオイルは、酸化していないと思いますよ。
こちらに詳しくご案内しています。
温度と光に関しては、オリーブオイルが冷暗所に保管されていれば影響を受けません。ただ、光に関しては、元々透明なボトルのオリーブオイルでしたら、未開封でも光合成で酸化してしまっているのかも知れませんので注意が必要です。このことは、後ほどご案内いたします。
あとは”時間経過”まさに賞味期限そのものですね。
オリーブオイルが時間経過と共に変化する主な内容は
1.抗酸化物質のポリフェノールが減少する
2.遊離脂肪酸が増える
この二つの変化を味で表現すると、”辛味苦味が無くて油っぽい”になります。
油っぽさは、遊離脂肪酸という物質から感じるのですが、遊離脂肪酸は食べたあと消費しないと中性脂肪になるので、油っぽくなっていたら飲んだりサラダに使うのはあまりお勧めできないです。
油っぽさが少なければ、サラダにも使えると考えても良いと思います。でも、オリーブオイルの美味しさは、残念ですけど減っているかも知れません。エキストラバージンオリーブオイルは、オリーブの実の果汁ですよね。たっぷり使っても全然油っぽくなくて、サラダに使うとお野菜から出た美味しいエキスとあわさって、野菜ジュースよりも美味しい!この感覚は、味わえないと思います。
オリーブオイルの賞味期限は製造から24ヶ月?18ヶ月?
賞味期限について、小ネタをご紹介します。実は、最近イタリアのオリーブオイル生産者の中で、賞味期限を製造日から18ヶ月で設定してくる生産者と24ヶ月で設定してくる生産者がいます。私は18ヶ月が正しいと思います。理由は、ミドルタイプ(辛味苦味が中間)の味わいのオリーブオイルを22℃くらいで保管すると、18ヶ月までは酸度がエキストラバージンオリーブオイルの基準を越えないからです。
ストロングタイプと言われる、ポリフェノールが多めで辛味や苦味が強いタイプのオリーブオイルなら24ヶ月は持ちますが、このようなオリーブオイルは少数派ですし、中には24ヶ月ギリギリで油っぽくなるオリーブオイルもあります。いずれにしても、日本人には馴染めない味のオリーブオイルかなと思います。
最近、私の取引先で息子に代替わりしたところが24ヶ月で賞味期限設定をしていたようです。それを見つけた先代が、在庫数千本の賞味期限シールを18ヶ月に貼り替えさせた事がありました。まじめな生産者の方です。ちなみに先代は貴族のおば様です。
さて、先ほどご案内したオリーブオイルと光について。賞味期限が残っていてもオリーブオイルが光からの影響を受けていないことが大事です。
賞味期限内でも透明なボトルのオリーブオイルは劣化していることが
オリーブオイルの賞味期限が切れていた場合、中性脂肪になってしまう遊離脂肪酸が増える以外は、体に悪い成分に変質したりしないと生産者から教えてもらいました。
例え賞味期限から2,3年過ぎていても体に害は無いと言っていました。
ただし、これは遮光してあることが前提です。
オリーブオイルの緑や黄色は葉緑素です。この葉緑素は光に当たると光合成を起こして酸化物質を出してしまいます。光合成って、理科の授業で「植物の葉は二酸化炭素を吸って酸素を出す」と教えてもらったのと同じ事です。開封していなくても、透明なボトルのオリーブオイルだったら、光合成で酸素がボトル内に発生して酸化してしまうのです。
もし無濾過のオリーブオイルなど、濃くて葉緑素たっぷりのオリーブオイルを透明ボトルに入れて光に当てると、葉緑素の量に比例して酸化物質が発生してしまうことになります。この酸化物質の量が多くなると、体に悪いと言われている過酸化脂質になる場合もあるようですよ。
オリーブオイルに光は大敵です。こちらに詳しくご案内しています。
関連記事:光がオリーブオイルを酸化、劣化させる理由
オリーブオイルを賞味期限切れにさせない工夫
大事なオリーブオイルを賞味期限切れにさせてしまった理由は、うっかりしていたりとか色々あると思います。でも、良くお客様からは「味が個性的過ぎて使いにくかった、使い方が分からなくて使い切れなかった。」とよくお聞きします。
きっと、使いすぎて困るくらいの美味しいオリーブオイルだったら、そんな事にはならないですよね。そうならないためのオリーブオイルの選び方をご案内した記事も書きました。
本当に美味しいエキストラバージンオリーブオイルは、それは、いつものご飯が別物になる力があります。パスタとか、ひと回しすれば高級イタリア料理店の味になります。
大げさに申し上げているようですが、でもそうなのです。味がしっかりしていて、でも辛味苦味が少なくて。お野菜が本当に美味しくなる。イタリアで働いていた頃のレシピを再現しても同じ味にならない事が多くありました。塩とかお野菜の味とか色々あるのですが、一番大きかったのがオリーブオイルの味でした。それで、この仕事をはじめました。
飲めちゃうようなサラッとしていて、軽快な味のオリーブオイルは、魚介類をよく食べる地域のオリーブオイルに多いです。こういうオリーブオイルでお魚のカルパッチョとかいただくと、すごく美味しい。”良いお醤油を使うとお刺身が美味しくなる”と聞かれた事がありますか。あれと同じです。ただ、デリケートなので一般にはなかなか流通していません。国内でも運んでいる間に熱で味が変わっちゃうのです。これからご紹介するオリーブオイルは、とても軽くてオリーブの果汁そのもの。「軽くて胃が楽だから」と、お年寄りのリピーターさんがたくさんいらっしゃいます。
上の写真にそのような品のご案内をリンクさせていただきました。クリックいただくとご覧になれます。体型が似た3人が写っておりますが、私と山奥の農園の親子です。10年以上の付き合いです。良い職人さん達です。
私は2007年からイタリアから空輸で食品輸入することを営んでおります。お客様には銀座ブルガリの直営レストランさんや湘南鎌倉地域のレストランさんがいます。でも、オリーブオイルに関しては、温度など細かい事に拘っているので、一般にはほとんど流通していません。ぜひご覧になってみてください。
まとめ 賞味期限切れのオリーブオイルは食べられる?
賞味期限切れのオリーブオイルが食べられるかをご案内を申し上げました。賞味期限切れでもオリーブオイルを一口舐めてみて油っぽく無ければ、オリーブオイル本来の美味しさは少なくなってしまっているかも知れませんが、普通にサラダにも使えます。
もう少し詳しく
オリーブオイルの賞味期限が過ぎても冷暗所に保管してあれば、体に害になるようなものは発生していないです。
賞味期限が切れているオリーブオイルで、変化している可能性があるのは、
1.ポリフェノールの減少
2.遊離脂肪酸の増加です。
この1.2は味で表現するのなら、苦み辛みが無くて(ポリフェノールが少ない)油っぽい(遊離脂肪酸が多い)です。
ポリフェノールが少なくても健康に害はありませんが、遊離脂肪酸は摂取してエネルギーとして消費しないと中性脂肪になるので注意が必要です。
油っぽく無ければ、問題無くいただけます。