オリーブオイルとコレステロール
オリーブオイルとコレステロールの関係は、よく言われていますよね。
私も、お客様からお問い合わせを頂戴して調べることがあるのですが、色んな専門用語が出てきたりして、かなりややこしいです。
今回は、オリーブオイルが、コレステロールや心疾患予防にどのように関係があると言われているか、調べたことを整理して書いてみました。
ただ、お体には個人差があります。ご心配ごとがあって食生活を変えるときは、ぜひお医者さんにご相談なさってください。
悪玉コレステロールを下げるオリーブオイル。さらに
色々調べてみると、オリーブオイルの種類によって、コレステロールに対する効能が微妙に違うかも知れないことに気が付きました。
まず、オリーブオイルの効能として、悪玉コレステロールを減らすので心疾患の予防になるらしいと、色んな記事やお医者さんのインタビューに出ています。その理由として言われているのが、オリーブオイルの成分の7割以上がオレイン酸だということ。
オレイン酸は、善玉コレステロールを減らさずに悪玉コレステロールだけを減らすと、それらの記事に書かれています。
でも、オレイン酸が主成分の食物油は、オリーブオイル以外にもあります。
それらの食物油に比べて、オリーブオイルがどのように良いかを調べていくと、オリーブオイルだから含まれている成分にヒントがあるように思えました。
まず最初にビタミンE
このビタミンEには抗酸化作用があります。オリーブオイルには、ビタミンEの中で最も強力なα-トコフェロールが含まれています。
このα-トコフェロールのおかげで、コレステロールの酸化を抑えて、血管の壁にくっつく事を防止。これが、オリーブオイルが心疾患の予防になると言われている理由のひとつのようです。
さらに、エキストラバージンオリーブオイルに含まれるポリフェノールも良いみたいです。
このポリフェノールには、抗酸化作用以外にも新陳代謝活性化など、様々な効能が書かれていました。
ポリフェノールは、エキストラバージンオリーブオイルには入っていても、ほかのオレイン酸が主成分のひまわり油などには入っていません。そして、”ピュアオリーブオイル”と呼ばれる工場で精製したオリーブオイルにも入っていません。
コレステロール値を下げるオリーブオイル、中性脂肪にも良いか?
お医者さんの中には、悪玉コレステロールと中性脂肪は相関関係があるから、中性脂肪改善の対策として、悪玉コレステロールの数値改善のためにオリーブオイルを勧めるお医者さんもいるみたいです。
でも、私は、この数値改善のために一番手っ取り早い方法「オリーブオイルを飲む」を実践したら、1ヶ月で中性脂肪が大変な数字になってしまった経験があります。今から20数年前の事ですが、知識も情報も無かったので、透明なボトルのピュアオリーブオイルを飲んでしまったのです。
全てのオリーブオイルがコレステロールに良いわけでは無い
こういう経験もあり、「オリーブオイルなら全てがコレステロールに効果的という訳では無いんだろうな」と言うのが私の感想です。体質もありますし、それにオリーブオイルも色々種類があります。
例えば、先ほど少しご紹介した”ピュアオリーブオイル”と言われているオリーブオイルは、精製過程でポリフェノール類が全部無くなってしまっています。その証拠にピュアオリーブオイルは無味無臭です。オリーブオイルのポリフェノールは、辛み苦みとして味に出るんです。
でも、ひょっとして「ピュアオリーブオイルは酸度が低いから体に良い」と耳にされたことがありますか?
この酸度というのは、オリーブオイルに含まれる遊離脂肪酸という物質のことです。この遊離脂肪酸が多いと味として油っぽく感じるし、遊離脂肪酸は体に摂り入れた後、運動などで消費しないと中性脂肪になってしまいます。
ですから、遊離脂肪酸が少ないことは、良いことですし、ピュアオリーブオイルは、精製過程で酸度が極めて低くなります。中には酸度0%のピュアオリーブオイルもあります。
一方、エキストラバージンオリーブオイルの方は、国際基準は酸度0.8%です。遊離脂肪酸だけ考えるとピュアオリーブオイルの方が優秀に思えます。
でもピュアオリーブオイルは、製造(精製)過程で熱が加わっているんです。
「エキストラバージンオリーブオイルは、熱が加わってないから体に付きにくいけど、ピュアオリーブオイルは、熱が加わっていて体に付きやすいから、同じような食べ方は駄目だよ」と、オリーブオイルの生産者の人達によく言われました。
もし本当に体に付きやすいのなら、名前の半分に同じ”オリーブオイル”が付いていても、”エキストラバージン”と”ピュア”では、全然違うものですよね。
この「加熱したオリーブオイルは、体への吸収率が上がってしまう」という話を証明する資料は、探しても見つからなかったのですが、最近マウスでの実験結果は見つけました。もっと良い資料が見つかったら、改めてご紹介させていただきます。
加熱ツバキ油または加熱オリーブ油の摂取が脂質代謝に与える影響
コレステロールを下げるオリーブオイル、鮮度が悪いと中性脂肪が増える?
では、「多少酸度が多くても、やっぱりエキストラバージンオリーブオイルの方が良いよね。」ということになりますよね。
でも、エキストラバージンオリーブオイルも、温度管理など保管状態が悪いと酸度が更に上がってしまいます。
下のグラフは、オーストラリアの公的な機関が、エキストラバージンオリーブオイルが、熱によってどのように変化するか研究したものです。
37℃の環境に半年置いておくと、国際基準の0.8%を上回ってしまうのですが、日本では、この37℃という環境にエキストラバージンオリーブオイルが置かれることが多いのです。
The Effect of Storage Conditions on Extra Virgin Olive Oil Quality 2012年の研究論文
輸入する時もそうですし、日本国内でも真夏に常温のトラックで運ばれています。日本では35度以上の猛暑日が増えました。それにトラックの荷台は気温よりも高温です。
でも、仕方ないと思うのです、エキストラバージンオリーブオイルが、熱でダメになっちゃうことは、まだまだ知られていません。
詳しいことは、こちらの飲んで良いオリーブオイルと飲んではダメなオリーブオイルの記事にご案内しております。ご覧いただけると嬉しいです。
そしてこちらが、もう少し硬い文章の記事です。先ほどのグラフの基になっているレポートを和訳したものです。
- オリーブオイルが熱によって劣化する内容をご説明します。遊離脂肪酸編
- オリーブオイルが熱によって劣化する内容をご説明します。ピロフェオフィチンa編
- 光がエキストラバージンオリーブオイルをどのように劣化させるかご説明します。
色々ご案内してきましたが、一番良いのは、「鮮度管理がしっかりされたエキストラバージンオリーブオイル」だと思います。それに、そういうエキストラバージンオリーブオイルは、とっても美味しいです。
美味しいし健康にも良い。こんな楽しいことは無いと思いませんか?
ちゃんとしたエキストラバージンオリーブオイルなら、美味しいし、色々なお料理に使えます。
エキストラバージンオリーブオイルにも、色々味があるのですけど、魚介類に合うような味のエキストラバージンオリーブオイルなら、塩揉みしただけの根菜や納豆ご飯にかけるだけで美味しくいただけます。それに白菜漬けも美味しくなります。味が丸く深くなります。
美味しくいただけると言うより、かけた方が美味しくなるんです。
一番下に私のオリーブオイルへのリンクを貼らせていただきました。
北イタリアの山奥にある200年続く有機栽培のオリーブオイルです。
酸度は0.1%。たぶん検査用に一番良いコンディションのものをサンプルにしたと思うのですが(笑)それでも大したものです。味も毎年ちゃんと同じものを作ってくれています。
200年前から同じ一族が栽培しているオリーブ農園のオリーブオイルを、飛行機を使って輸入したり定温庫で管理して、夏はクール便でお送りしております。リピートのお客様や農園主のブルーナ一家に2007年から支えていただいております。ご覧いただけると嬉しいです。
まとめ オリーブオイルとコレステロールの関係
1.オリーブオイルがコレステロール値の改善に効果的と言われているのは、オレイン酸が主成分だからと言われています。
それに、エキストラバージンオリーブオイルだったら、ビタミンE(αトコフェロール)や複数存在するポリフェノールが入っているから、コレステロール対策に良いとしている記事が多いです。
2.エキストラバージンオリーブオイルでも、管理が悪いと劣化します。
温度管理が悪いと遊離脂肪酸が増えてしまいますし、透明なボトルで光に当てると光合成によってポリフェノール類が減少してしまいます。
エキストラバージンオリーブオイルでも、劣化して鮮度が悪くなったものは、逆にコレステロールに悪影響を与えてしまう物質が、増えてしまうことがあると思います。お買い求めの際には、輸送方法や保管方法など鮮度のチェックをお勧めします。