偽物のオリーブオイルが、なぜ税関などで止められずに輸入されてしまうかご説明します。

オリーブオイルのティスティング

なぜ偽物オリーブオイルが通関できてしまうのか

エキストラバージンオリーブオイル(以下オリーブオイル)を健康のために摂られている方も多いと思います。

でも、お手元にあるのが、話題になってしまった偽物オリーブオイルで、ほかの食物油が混ざっていたら無意味になってしまいますよね。

そもそも、何で食物油が混じっているオリーブオイルが輸入されてしまうのか。
そのあたりの事情をご案内します。

 


 

オリーブオイルの偽物・本物。輸入は主に書類審査

オリーブオイルの輸入は、以下の手順で行います。

1.厚生労働省管轄の検疫所に食品輸入届け
2.財務省管轄の税関で通関手続きと納税

両方とも申請の方法は、専用端末からの電子申告か、書類による申告です。
輸入者自身が必要な情報や書類を集め、推奨される食品検査を行い届出することになります。

通関書類

検疫所では、体に影響があると思われるカビ発生などの事故や、禁止添加物の使用などの項目に関して細かくチェックしていて、問題があると思われる生産者や品目があった場合は、輸入禁止の措置を取ります。

食物油に合法な食物油を混ぜる偽装などの行為については、管轄が違うのだと思います。
ただし、検疫所も税関でも、混ぜ物など申告内容と違う原材料が入っていれば、何らかのペナルティーがあると思います。

書品輸入。通達掲示板
検査強化などの通達は、検疫所の壁にも貼られています。
どのような問題が最近出たか、私にとっての大切な情報源です。

検疫所の通達文

書いてある内容はこんな感じです。問題があった品や生産者が出ています。
昔の掲示内容で問題解決しているらしいので名前は伏せました。

 

税関では、検疫所のチェックを通ったことを確認して通関します。
ここでも輸入禁止物など、法的に問題が無ければ通関できます。

つまり基本的には、性善説で輸入者からの申告に基づいて審査されます。
輸入している人が自分の商品に責任を持つのは当たり前ですから、当然かも知れないですね。

 


 

オリーブオイルの農園を訪問しなければ、偽物の可能性を探れないと思うのです

何か問題があった場合は、すぐに手続きが増えます。
今冬古いオリーブの実に硫酸銅で色づけしていた疑惑に関しては、輸入に際して銅の検査を行うことになりました。
あの件に関しては、色々思うことがありますが、別の機会に

さて、基本的に輸入者の申告で輸入手続きが進みますが、輸入者も生産者から書類や情報をもらう事になります。

でも意外に思われるかも知れませんが、農園や工房など生産現場を訪問しないで輸入している輸入者もおります。

大丈夫なのだろうか。と個人的には思います。
工房が非衛生的だったら添加剤を疑う。
訪問しなければ、こんな簡単なことも類推できないですからね。

 


 

オリーブオイルの偽物を化学的な検査で調べるのは難しい

でも、せめて混ぜ物だけでも法律で検査を義務化してほしいと思われるかも知れませんが、
実は、これが難しくて、混ぜ物を調べる場合は、何に対しての検査かを先に決める必要があります。

大豆、菜種、そのほか無数にある食物油が、オリーブオイルの中に入っているか、一つずつ全部調べるのは、コスト的にも検査機関のキャパシティ的にも難しいと思います。

産地偽造に関してはDNA検査ができますが、これも費用と時間が結構かかるのと検査機関が対応しきれなくなるという問題が起きてしまうと思います。

 


 

偽物のオリーブオイルが通関できてしまう理由のまとめ

1.輸入の手続きは輸入者による申告が中心。
健康被害や法的に問題がある品物以外は輸入時に止めるのは難しいと思います。

2.オリーブオイルの産地偽装や混ぜ物を全部調べるのは、物理的に難しいと思います。

3.混ぜ物など、申告していた原材料と違う場合は、当然ペナルティーか処罰の対象になると思います。

 

輸入者自身が商品に責任持つべきだと思うので、必ず訪問していますし定期的に再訪問しております。
本物でーす!と力強くお勧めする自信あります。
美味しいですし、飲めます(笑)
hinatano 加藤 昭広

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ヒナタノ店主・加藤 昭広

おいしいもので喜んでいただくことが大好きです。おいしいものを探してイタリアへ移住。気がついたら仕事になっていました。
自他ともに認めるオリーブオイル ヲタクです。
このブログでは、おいしい話しやイタリアの職人さんたちから聞いた小ネタを紹介しています。