オリーブオイルの鮮度がなぜ大事か?
「食物油と鮮度」あまり関係が無いように見えますが、エキストラバージンオリーブオイル(以下オリーブオイル)については、鮮度を気にした方が良い理由が製造工程にあります。
オリーブオイルは、オリーブの実だけを温度が上がらないようにゆっくりと搾ったもの。
まさにオリーブの実の生搾りジュースだからです。
温度が上がったりすると何がどう変わるかご案内します。
鮮度が良いとオリーブオイルはこんなに美味しい
ごま油や亜麻仁油など体に良い食物油は沢山ありますが、オリーブオイルの優れているところのひとつに低温圧搾(コールドプレス)で搾っていることがあります。ほとんどの植物油は、油分と水分を分離する際などに、熱を加えますが、オリーブオイルは「ただ搾るだけ」です。
低温圧搾の何が良いかと申しますと、熱が加わらないおかげで栄養素が壊れなかったり、フレッシュな味が残ることです。つまりは、”味が油っぽく無い”ということです。
最近ではごま油なども低温圧搾のものが出てきています。これは低温圧搾が良いと認められている証拠だと思います。
ただ、低温圧搾は、実の重量あたりの搾油率が低くなってしまうことで、結果的に高価になるのが難点です。
低温圧搾の温度は概ね30℃以下。
オリーブオイルは、約15℃以下で保存しておくと長期間成分が変わりません。
冷凍保存は、オリーブが細胞レベルで劣化するのでお勧めできません。
また、オリーブオイルは光に当てても鮮度が悪くなります。
この光による劣化の方が、温度よりもデリケートなくらいです。
鮮度が悪くなると、何が変化するかと申しますと
A.温度による劣化
1.体に脂肪としてつきやすい遊離脂肪酸が増える
2.ピロフェオフィチンaという酸化物質の増加
B.光による劣化
1.肌荒れや細胞の老化を防いだり動脈硬化の予防などに効果のあるビタミンE(αトコフェロール)が減ってしまう
そして何より、美味しさが無くなってしまいます。
オリーブオイルが劣化する条件と内容をご案内した記事です。ご参考になれば幸いです。
オリーブオイルが熱によって劣化する内容をご説明します。遊離脂肪酸編
オリーブオイルが熱によって劣化する内容をご説明します。ピロフェオフィチンa編
光がエキストラバージンオリーブオイルをどのように劣化させるかご説明します。
鮮度と偽物オリーブオイルとの関係
エキストラバージンオリーブオイルの品質の目安に酸度(酸価)というものがあります。
0.8%というのが目安なのですが、偽物対策として0.3%程度まで下げるという議論があるようです。
オリーブの実は、収穫してから酸化が始まりますので、この0.8%をクリアするには最低でも収穫後24時間以内に搾油しなければなりません。0.3%まで下げると概ね8時間以内。
この作業のスピード感は、イタリア国内の場合でもしっかりした仕事をしなければクリアできませんし、まとめて大量に搾油するイタリア周辺国の偽物生産業者はクリアできないというのが理由です。
ただ、イタリアにも小規模な生産者で搾油所を共同で使用している生産者もいます。
0.3%になると彼らも基準をクリアするのが難しくなってしまうというのが問題のようです。
鮮度の良いオリーブオイルを手に入れるには
オリーブオイルの鮮度に関しては、オリーブオイルのインポーター(輸入者)が全てを決めていると言っても過言では無いと思います。どこから仕入れて、どのような方法で日本へ運んで、どこに販売する。これを決めているのは輸入者です。
それぞれの過程で、温度などのリスクの有無も全て分かっています。
ですから、そのような情報を把握して開示しているオリーブオイル専門店か、Webショップなら鮮度の良いエキストラバージンオリーブオイルが手に入ると思います。鮮度に対する情報を集めているということは、オリーブオイルは鮮度が大事。と知っているということですからね。
エキストラバージンオリーブオイルの鮮度とはのまとめ
エキストラバージンオリーブオイルは、オリーブの実の生搾りジュースですから、ほかの食物油に比べてデリケートです。
熱が上がると遊離脂肪酸が増えたり、透明なボトルなどで光に当たるとビタミンE(αトコフェロール)が減ってしまいます。
鮮度が悪いと、なにより美味しさが減ってしまいます。
ご家庭での保管は、真夏でも流しの下で十分オリーブオイルは耐えられます。
国際物流環境は、ものすごく過酷な場合があります。
鮮度の良いエキストラバージンオリーブオイルを手に入れるには、鮮度の状況をちゃんと把握している専門店かWebショップが良いと思います。把握していると言うことは、オリーブオイルは鮮度が大事だと知っているということですものね。
hinatano 加藤 昭広