本物のエキストラバージンオリーブオイルがどうやって偽物になってしまうかと、なぜ騙されるのか、どうやって見極めるかをご案内します。

サラッとしていて美味しいオリーブオイル

オリーブオイルの本物と偽物

エキストラバージンオリーブオイル(以下オリーブオイル)の偽物は2通りあります。

一つ目は、産地を出たときは本物だったけど、輸入途中で扱いが悪くて劣化して、本物の基準を満たさなくなったもの
二つ目は、悪意を持って混ぜ物をしてある元々偽物だった品。

ここで引っかかるのは、なんで2番目のような品が日本に入ってきてしまうかですよね。

 


 

本物オリーブオイルが偽物に変わってしまう場所

本物オリーブオイルは、極めて稀少な至極の一滴のように言われる場合がありますが、そこまで稀少品では無い。と思います。なぜなら産地では毎日普通に食べているわけですし、私もそれを普通に体験しています。

では、どこで何故騙されちゃうかですが、
オリーブオイルを偽装する場合、オリーブの実で持ってくると酸化してしまうので、搾ってオイルにしてから運びます。
そのオイルをタンクローリーで持ってきて、瓶詰めする前に混ぜちゃう(あるいは混ざっちゃう)というのが良くある手口です

鮮度の良いエクストラバージンは、オリーブの実の生搾りジュース

この手の被害に一番遭いやすいのは、イタリアでブレンダーと言われる業態の生産者です。
彼らは自社で農園や搾油施設を持たず、オリーブオイル問屋から仕入れて瓶詰めしています。

毎日何台か来るタンクローリーの中の一台が偽物を積んでいて、貯蔵タンクに入れてしまえば、どの車が持ってきた品かも分からない。こうなります。

それに騙したのが、問屋なのか、ブレンダー自体の指示なのか、トラックの運転手が転売したのか、等々犯人捜しも簡単ではありません。

このブレンダーと言われる業態のオリーブオイルは、安価な品が多いのが特徴です。加えて味に関しても時折変更があり、分かり難さを助長しています。

 

農園や搾油施設を持っている中小の生産者も、問屋から買って混ぜることは理屈上可能です。

しかし、そのようなことをしたら地元で噂が立ちますし、代々続いているような名門だったら家を潰しかねないのでリスクが大きいです。そのようなリスクを冒してでも偽装オイルを作りそうな生産者かは、輸入者がしっかり目利きする責任があると思います。

 


 

本物と偽物のオリーブオイル。見極め方

偽物オリーブオイルが混じってしまう場所は概ねこのような感じですが、なんで騙されてしまうか。についてです。

騙されない方策として検査がありますが、オリーブオイルの輸入については、現在のところ法的に義務になっている食品検査はありません。

検査の技術自体は、数年前から技術が飛躍的に進歩して、DNAから原産地の検査までも可能になっていると聞きます。しかし、問題は何を調べるかです。なぜなら検査をするときには項目を決めてそれぞれ検査するからです。

例えば、調べる項目として考えられるのが、「産地」「食物油混合の有無」。
混合の場合は、各の食品の反応が検査サンプルから出るか調べなければならないので、各品目ごとに検際します。「大豆油」「ひまわり油」「なたね油」等々。

全てを調べていたら検査項目が膨大になり、輸入社の費用も数十万になりますし、検疫所や検査機関も対応しきれなくなり、結果としてオリーブオイルが入ってこなくなるか、超大手の品だけになってしまうかも知れません。結果的に全てを検査することは現実的では無いかも知れないです。

でも、もっと簡単に水際で止める方法があります。

グリーンオリーブとオリーブオイル

 


 

本物オリーブオイルをお届けするために大事なこと

化学的な検査のほかに、有効な検査方法として官能検査というのがあるのをご存じですか。
官能検査というと特別なように思えますが、要は味見。

例えば、届いたオリーブオイルの味見して味や香り、鮮度を見れば変化に気がつきます。

それに農園を訪問して仕事ぶりやなどを見て、直接密にコミュニケーションを取っていれば、輸入者は変化や偽装してきそうな危険性に気づくと思います。

オリーブオイルは、オリーブの実のジュース

でも実は、輸入者の中には農園の訪問どころか、現地に代理人を立てて作り手と直接コミュニケションすら取っていないところが多いのです。そうなると変化の予兆や偽装の危険性を掴むのは難しいと思います。

私はhinatanoで扱っているブルーナ家含め、合計8社と取引をしていますが、一人で密にコミュニケーションを取るのは、これくらいが適量だと思っています。

 


 

本物のエキストラバージンオリーブオイルが偽物になってしまう理由のまとめ

1.混ぜ物がされているオリーブオイルは、業態の構造的にブレンダーと言われる農園や搾油施設を持たずに、オリーブオイルを問屋から買って瓶詰めしている業態の会社の品に見られることが多いです。

2.偽物を判別するには化学的な検査が有効な手段ですが、「検査項目を何にするか」や費用、所要時間などの問題で、全量検査は現実的には難しいと思います。

3.化学的な検査のほか、官能検査と呼ばれる味や風味でチェックする方法もあります。輸入者自身が自分の商品や生産者をちゃんと把握して、輸入毎に味見したり、密にコミュニケーション取れば、偽物してきそうな予兆は感じられると思います。

 

私自身の話ですが、数年前に取引していた会社が事業譲渡したことがありました。譲渡された会社と何度か取引したのですが、仕事に誠意と熱意が感じられなかったので取引を止めたことがあります。誠意を感じられなかった理由は、梱包の仕方と味の変更。お客様の口に入るものですからリスク管理は輸入者の責任です。

本物は、本当に美味しいです。ぜひぜひお試しください。

hinatano 加藤 昭広

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ヒナタノ店主・加藤 昭広

おいしいもので喜んでいただくことが大好きです。おいしいものを探してイタリアへ移住。気がついたら仕事になっていました。
自他ともに認めるオリーブオイル ヲタクです。
このブログでは、おいしい話しやイタリアの職人さんたちから聞いた小ネタを紹介しています。