一番搾り二番搾り。オリーブオイルの場合は?
先日お電話で「そちらでは一番搾りのオリーブオイルを扱っていますか?」というお問い合わせをいただきました。
聞き慣れない表現でしたので、最初は分からなかったのですが、なるほどと思ったので整理してご案内申し上げます。
一番搾りのオリーブオイルとは、つまりはバージンオイル
オリーブオイルには種類があります。
大雑把ですが、この話題に必要な項目で簡単に分けると
1.エキストラバージンオリーブオイルと呼ばれる、搾ったままで酸度などの品質が高いもの
2.同じく搾っただけのオリーブオイルですが、エキストラバージンオリーブオイルにはなれないもの。
この1.2をまとめてバージンオイルと言います。これが一番搾りに該当すると思います。
そうなんです。一番搾りと言うと特別なもののように聞こえますが、普通の精製していないオリーブオイルの事です。
ただ、この一番搾りと搾っただけで澱引きをしていない新物のオリーブオイルと混同されている方もいらっしゃいました。
販売促進が目的なのでしょうが、紛らわしい表現を多くすると、オリーブオイル自体がお客様から敬遠されてしまうと思うのです。ちなみに”プレミアム”という表現も国際的には存在しません。
一番搾り。搾る前から出てくるオリーブオイル。
大昔に読んだ本で、収穫してカゴに入れてあったオリーブが重みで潰されて出てきたオリーブオイルが素晴らしいという一文を見て、ぜひ味わいたいと憧れておりました。
きっとそのオイルは搾りたてで美味しいと思います。
でも実は、そのオリーブの実の自重でオイルが出てくる状態は、すぐに搾らないと劣化してしまう危険な状態だと言うことをこの仕事を始めて知りました(苦笑)
そのまま放置すると、オリーブの実がカビでしまい、カビ臭が全体に出てきてしまいます。
二番搾りと言われているオリーブオイルとは
さて、二番搾りのオリーブオイルですが、これはイタリア語では”Olio di sansa”直訳すると「搾りかすの油」
バージンオリーブを搾ったオリーブのカスに、溶剤をかけて残っている油脂分を抽出したものです。
日本では業務用などでチラホラ見かけますが、こちらのほうが珍しい品です。
イタリアの一般的な小売店では見かけません。溶剤を使用した食物油ですからね。
私も一度、卸のお客様からご依頼をいただいて、この品の入手方法を取引先のオリーブオイル職人の方々に相談したのですが「取り扱わない方が良い」と忠告をもらいました。その時に溶剤の話も聞きました。
オリーブオイルの一番搾りと二番搾りについてのまとめ
一番搾りのオリーブオイルとは、オリーブを搾っただけのオリーブオイル。
国際的にはバージンオイルと言われているもので全然普通の品です。
二番搾りは、オリーブのカスに溶剤を使用して油分を抽出したものです。
そもそも、一番二番という表現は、オリーブオイルの国際基準にはありません。
オリーブオイルの表現は曖昧なものが乱立しているので、なんとかしなければと思っています。
売れれば良い。というわけでは無いと思うのです。 hinatano 加藤 昭広