新物オリーブオイルの楽しみ方について、保存方法と賞味期限をご案内します。

搾りたてのオリーブオイル

新物オリーブオイル、澱引きをしないとは?

新物オリーブオイルは、とても季節感や特別感がありますし、オリーブの果汁!という感じがして私も好きなのです。
オリーブオイルのインポーターという仕事をしていると、時折素晴らしくスペシャルな新物に出会うこともあります。
新物オリーブオイルがお好きな方もたくさんいらっしゃると思います。

でも、取り扱いには、少し注意が必要なのです。
その部分の情報が、Web上であまり見当たらないので、取り扱いについて、存じ上げていることをご案内申し上げます。

 

エキストラバージンオリーブオイル(以下オリーブオイル)は、通常は搾ったあとにステンレス製のタンクに入れて、濁り部分を沈殿させて沈殿物を捨てます。このことを澱引きと言います。

なぜこの工程が必要かと言いますと、濁り成分がとても傷みやすいからです。
そのため搾っただけの新物オリーブオイルは、取り扱いに注意しなければならないことがあります。

 


 

新物オリーブオイルで澱引きをしていなものは、美味しいけどデリケート

通常売られているオリーブオイルにも濁ったタイプはあります。
これをイタリア語ではGREZZO(グレッッオ、原油や元の油)と言います。
でも、必ず澱引きはしています。

澱引きをしていない品は、イタリアでは一般の小売店には出てきません。
何故なら、この濁っている成分は美味しいのですが、極めて傷みやすいからです。

濁り成分が沈殿してできた澱は、空気に触れれば酸化します。
もし、お買いになられた新物オリーブオイルの瓶の底に澱が溜まったら、その澱は召し上がらない方が良いと思います。

搾りたてのオリーブオイル

それに濁り成分は、光にあたっただけでも劣化していきます。これは澱引きがしてあっても同じように酸化します。
オリーブオイルが一番苦手にしているのは光です。

以前の記事です。・光がエキストラバージンオリーブオイルをどのように劣化させるかご説明します。

 


 

新物オリーブオイル、濁ったものは光に極めて弱い

この濁りの成分は、オリーブの実から生じる葉緑素になります。
葉緑素は、光があたると光合成を起こして酸化物質を出します。

この光合成に酸素は必要ありません。
例えば、搾っただけの濁っている新物オリーブオイルは、透明なボトルに入りだったら未開封でも劣化していきます。それに葉緑素は、光合成を起こすエネルギー源です。濁っていればいるほど、出てくる酸化物質の量は多くなります。

オリーブオイルのティスティング

 


 

新物オリーブオイル、美味しくいただける賞味期限

新物オリーブオイルで搾っただけの品は、例え温度管理してあったとしても美味しくいただけるのは春先までです。
個人的には、1月いっぱいまでに使い切った方が良いと思います。

もし透明ボトルに入っているようなら、箱に入れるなどして必ず遮光されることをお勧めします。

 


 

新物オリーブオイルの楽しみ方(その2保存方法と賞味期限)のまとめ

1.澱引きをしていない新物オリーブオイルは極めてデリケート。1月末頃までに使い切る事をお勧めします。

2.濁っている成分は葉緑素になります。葉緑素は酸素が無くても光にあたっただけで光合成を起こして酸化物質を出しますので、遮光は必須です。

 

実は、何年も前から透明ボトルに入った濁った新物オリーブオイルの予約販売広告を目にしています。
ただ光に弱いなどの扱い注意書きは、広告内に見当たりません。
せっかくの新物オリーブオイル、美味しいうちにお召し上がりいただきたく、ご案内申し上げました。
hinatano 加藤 昭広

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ヒナタノ店主・加藤 昭広

おいしいもので喜んでいただくことが大好きです。おいしいものを探してイタリアへ移住。気がついたら仕事になっていました。
自他ともに認めるオリーブオイル ヲタクです。
このブログでは、おいしい話しやイタリアの職人さんたちから聞いた小ネタを紹介しています。