オリーブオイルとバター、イタリアで使う地域が分かれている
エキストラバージンオリーブオイル(以下オリーブオイル)は、イタリア全土で使われていそうですが、各地方の歴史を調べると実はそうでも無さそうなことがわかります。本日は雑学&うんちくのご案内です。
バターは、オリーブオイル中心の南イタリアの人から見ると得体の知れないもの
バター含め乳製品は、南イタリアの人からすると歴史的には馴染みの無いもののようです。
今でも南イタリアのお年寄りは、バターを”気持ち悪いもの”と言います。私の知人で北イタリア出身と南イタリア出身のご夫婦がいたのですが、北イタリア出身の奥様が作られるトマトソースに、生クリームが入っていることを知った南出身のご主人が激怒して大げんかになったこともありました。
でも、南北関係無くお料理を作るには油脂分が必要ですよね。
オリーブオイルとバターの境界線は、どうやらフィレンツェとボローニャの間にありそうです。
オリーブオイルとバターの境界線、フィレンツェとボローニャの間にありそうな理由
パスタのミートソース、ボロネーゼが有名なボローニャとフィレンツェの移動時間は、今でこそ電車で40分。
でも、この2つの町の間には山脈があって、ムッソリーニがトンネルを通すまでは、ぐるっと海側を迂回することになっていたので半日かかったようです。
この直線距離でわずか100kmしか無い両方の町の、もうひとつの大きな違いがパスタのレシピです。
オリーブオイルとバターの境界線に沿って伝わったサフラン
ボローニャの手打ちパスタにはサフランが入っています。
一方、フィレンツェ周辺トスカーナ地方の庶民が食べるパスタの伝統的なレシピには、サフランが入っていません。
サフランは、中世に修道士の収入源として中部イタリアのラクイラで栽培されていました。
ラクイラから平地を辿って、当時裕福な地域だった北に行くと、ペスカーラを経由してアンコーナ、リミニとつづきボローニャに至ります。これらの町には伝統的にサフラン入りパスタのレシピが存在します。
ペスカーラのよく行くお店で必ずいただくサフラン入りパスタのキタッラ。お願いするとホールのサフランをその場で振りかけてくれます。
ラクイラからの直線距離は、ボローニャよりもフィレンツェの方が近いのですが、行くには大きな山脈があって昔は越えるのが大変だったらしいです。
オリーブオイルとバターとイタリアのお料理のまとめ
イタリアの歴史は、ものすごく面白いです。
イタリア料理を学ぶために渡伊する前、衣食住を理解するために勉強したのですが、意外に役に立ちます。食の生産者を訪問する時に、多少知っていることを話すと会話が弾みますし、生産者の作るものを見て”この地方でこれを作っているのはおかしい”ということも気づけます。
うんちくでございました。hinatano 加藤 昭広