本物のオリーブオイルが、手に入りにくい理由をご案内します。

サラッとしていて美味しいオリーブオイル

本物のエキストラバージンオリーブオイルが手に入りにくい理由

本物のエキストラバージンオリーブオイル(以下オリーブオイル)は生鮮食品。
鮮度が良いと美味しいのですが、実は結構丈夫な食べ物でもあります。

熱で劣化すると言われていますが、60℃とか70℃にならなければ、食べられないほど劣化はしません。
そのため雑な扱いをされて、オリーブオイルの鮮度が落ちている場合があります。

そのようなオリーブオイルは、確実に美味しさが失われています。

エキストラバージンオリーブオイル本物と偽物の違い

偽物オリーブオイルと言われているものは以下のタイプに分けられます。

1.オリーブ以外の材料が混ざっている

2.材料は100%本物のオリーブだけど、製造直後からエキストラバージンオリーブオイルの基準を満たしていない

3.出荷時は、本物のエキストラバージンオリーブオイルだったけど、輸送や物流などの扱いが悪くてエキストラバージンオリーブオイルの基準を下回った。

恐らく、一番心配されるのは、1の「何かよくわからないものが混ざっている偽物オリーブオイル」だと思います。
でも、これについては、ちゃんとした輸入業者のオリーブオイルなら大丈夫なはずです。ちゃんとした輸入者なら、商品到着時に味見をするのは常識ですから、輸入したオリーブオイルが変な味がすれば気がつくはずです。

「偽物オリーブオイルは、味も違いが分からないくらい巧妙に混ぜてある」という話も聞きますが、それならオリーブオイル製造元の会社や人をよく見ていれば、少なくとも怪しさや危険性程度は事前に分かるので入念な検査をすれば良いわけです。ただし、オリーブオイル製造元を訪問すらしていない輸入業者がいるのも事実です。オリーブオイル輸入業者が信用できるかは、購入される前に会社のホームページなどでチェックされることをおすすめします。

2の「材料が100%本物のオリーブでも、エキストラバージンオリーブオイルでは無い」については、安価な品で見られると思います。実の重量あたりの搾油量増やすために、熟し過ぎた鮮度の悪いオリーブを使用したり、安価な売れ残りオリーブオイルや外国産オリーブオイルをブレンドしたりすると新鮮さや鮮度が悪くなり、オリーブの酸度(酸価)0.8%は越えてしまいます。美味しさは新鮮な本物のエキストラバージンオリーブオイルの足下にも及びませんが、一応オリーブオイルの味になっています。

1の「オリーブオイルへよくわからないもの混ぜ物」と2の「最初からエキストラバージンオリーブオイルの品質基準を満たしていない」という二つのタイプの偽物については、オリーブオイルが一定以上の価格で、信頼できそうな実績がある輸入業者のオリーブオイルには無さそうに思います。

新鮮なオリーブオイル

問題は3の「出荷時は、本物のエキストラバージンオリーブオイルだったけど、輸送や物流などの扱いが悪くてエキストラバージンオリーブオイルの基準を下回った」だと思います。それなりの良い値段がしていて、味がそこそこ良くて本物のオリーブオイルだと思っていても、実は運んでいる途中で温度が上がってしまって、本来の美味しさが失われている品です。

温度が上がってしまう場所は、日本への輸送中と、日本国内の物流過程があります。温度管理が必要なエキストラバージンオリーブオイルですが、鮮度を落とさないことを意識してオリーブオイルを扱っている会社はまだ少ないと思います。

家財道具を船のドライコンテナで運んだときの経験

私も最初は、エアコン無しのコンテナでイタリアから輸入しようと考えていました。なにしろ費用が非常に安い、航空便に比べたら1/20~30です。

でも、ちょうど創業計画を立てていた頃、イタリアからドライコンテナの船便で運んだ家財道具が日本に着きました。一緒に入れてあった乾物など使いかけの食品が結構傷んでしまっていたのを見て、物流方法の再検討をしました。

ドライコンテナでも、船の底の方に置いておけば結構大丈夫らしいのですが、あのときは置き場所が悪かったのでしょう。とは言えども、経由地の東南アジアでコンテナが野積みになることがあるので、やはりドライコンテナは避けた方が無難だと思いました。

問屋さんにhinatanoのオリーブオイルを卸していないのも個人的な経験です。
今は温度管理を約束してくれている問屋さんだけお取引させていただいております。

本物だったオリーブオイルが鮮度が落ちて偽物になるとは

エキストラバージンオリーブオイルを名乗れる鮮度の基準が国際的にはあります。
オリーブオイルの酸度や酸化物質の状態などになりますが、それらオリーブオイルが高温になったり、光に当たってしまったりすると劣化したり鮮度が落ちたり変化を起こして、エキストラバージンオリーブオイルの基準値を超えてしまいます。

つまりオリーブオイルの製造元から出荷されたときには、本物のエキストラバージンオリーブオイルだったけど、物流の途中で鮮度が落ちたり劣化したりして、エキストラバージンオリーブオイルの基準を越えてしまう。そうするとラベルだけエキストラバージンオリーブオイルで中身は違うもの、ある意味”偽物オリーブオイル”になります。これが実に多いです。

偽物オリーブオイルは、オリーブオイル生産者が混ぜ物をしているという印象を持たれてる方が多いですけど、実はオリーブオイル生産者は真面目にエキストラバージンオリーブオイルを作っていて、お客様にお届けする過程で鮮度が落ちたり劣化させたりして、偽物のエキストラバージンオリーブオイルにしてしまっている事実があります。

本物と偽物オリーブオイルとの決定的な違いは鮮度

オリーブオイルの本物と偽物との決定的な違いは、鮮度から来る味の違いです。
鮮度の良い本物のオリーブオイルの味は、ポリフェノール由来の辛味苦味があったとしても、油っぽさは全くありません。

オリーブオイルベースのパスタで”オリーブオイルのつゆだく”というのを召し上がったことはありますか?あるいは、トマトとモッツアレッラチーズのサラダのカプレーゼで、オリーブオイルを大量にかけて新鮮なトマトの果汁とモッツアレッラチーズの乳脂肪分が溶け込んだオリーブオイルをパンにしっかり染みこませて召し上がったご経験はおありですか?

お食事を油まみれにするというのは、あり得ないと思われるかも知れませんが、こういう食べ方をしても、本物のオリーブオイルなら決して油っぽく感じません。油っぽいどころかすごく美味しいです。イタリアでは小さな子供達の間食は、パンにオリーブオイルをたっぷり染みこませて食べます。

もうひとつ、本物のオリーブオイルならではのことは胃腸にとても優しいことです。バターなどに比べて消化しやすいので胃腸の調子がとても良くなります。

カプレーゼ南イタリア、オリーブオイルがお皿に溜まっています(笑)

本物のエキストラバージンオリーブオイルの入手方法

本物のエキストラバージンオリーブオイルは、オリーブの実の生搾りジュース
鮮度などの管理がちゃんと出来ていれば、とても軽くたくさん食べても決して胃もたれなどを起こしません。

ただ、温度や光などから管理してあげないと、オリーブオイルは微妙に味が変わってしまいます。
そのように変化してしまった半ば偽物となってしまったオリーブオイルを、パスタなどに使いすぎると油っぽくなります。

オリーブオイルが劣化する要因の中で特に気をつけなければならないのが、光と温度です。それらのことを詳しくご紹介した記事があります。よろしければご覧になってみてください。

・オリーブオイルが熱によって劣化する内容をご説明します。遊離脂肪酸編
・オリーブオイルが熱によって劣化する内容をご説明します。ピロフェオフィチンa編
・光がエキストラバージンオリーブオイルをどのように劣化させるかご説明します。

劣化する要因として他に考えられるのは時間経過と酸素になりますが、実はオリーブオイルは酸素にはとても強いです。何故なら主成分が酸素に強いオレイン酸だからです。

オリーブオイルの保存タンク

鮮度の良い本物のオリーブオイルを手に入れる方法の目安としては、できるだけ製造元に近い場所で探されるのが良いと思います。何故ならオリーブオイルは、色々な過程を経るたびに劣化する可能性が高くなり偽物オリーブオイルになってしまう可能性も上がるからです。

具体的には、オリーブオイルの輸入者(インポーター)直接か、インポーターから直接仕入れる専門店です。

直接購入するにあたって、賞味期限や輸入方法や温度管理状況などもお問い合わせされることをお勧めします。
オリーブオイルはできるだけ鮮度の良いものが美味しいのでおすすめです。

なぜ本物のオリーブオイルが手に入りにくいのかのまとめ

偽物オリーブオイルで一番の心配は、何か本物のオリーブ以外のものが混ぜられている事かも知れませんが、この手のオリーブオイルは、味見を輸入毎にしたり製造元の会社をちゃんとチェックしているちゃんとした輸入業者の品なら、かなり避けられると思います。

一番の問題だと私が思うのは、そこそこお高い品で本物の美味しいオリーブオイルだったのに運ぶときなどの取り扱いが悪くて、最初の美味しさや成分が変わってしまっている偽物になってしまったエキストラバージンオリーブオイル

せっかく美味しく作ってくれた生産者渾身のエキストラバージンオリーブオイルを、輸入過程やお届けまでの過程で鮮度を悪くして味を変えては申し訳ない。と輸入者の一人として思います。

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ヒナタノ店主・加藤 昭広

おいしいもので喜んでいただくことが大好きです。おいしいものを探してイタリアへ移住。気がついたら仕事になっていました。
自他ともに認めるオリーブオイル ヲタクです。
このブログでは、おいしい話しやイタリアの職人さんたちから聞いた小ネタを紹介しています。