イタリア料理をオリーブオイルで本場の味に作る方法

イタリアの田舎の食堂で食べるパスタ

オリーブオイルで簡単な本物のイタリア料理

本物のエキストラバージンオリーブオイル(以下オリーブオイル)が主役の本場のイタリア料理。とても特別なお料理のように思えますが、本物のオリーブオイルを心ゆくまで楽しめる一皿は驚くほど簡単なお料理です。

イタリアでは、高級レストランよりも田舎の食堂で出会うことが多いこのようなお料理、実は日本のご家庭のお料理でも再現することができます。必要なのは、本物のオリーブオイルとちょっとしたコツです。

イタリア料理でオリーブオイルと使う食材の組み合わせ

イタリアを巡って一番感動するのは、このような本物のオリーブオイルを思いっきり味わえるお料理と田舎の食堂で出会った時です。それらは、一見するとシンプルで盛りつけも質素なお料理。高級レストランのイタリア料理とは全く別物です。多くの日本人も美味しいと感動するそれらのお料理は、シンプルなお料理ですが、個性は実に豊か。地方ごとに変わる食材によってオリーブオイルの味も違う。これがオリーブオイル好きの方にはたまらないし、実に面白い。簡単なお料理とあわさることで奥の深い味になる。これが本物のオリーブオイルです。

さて、このようなオリーブオイルが美味しい本物のお料理がご家庭で簡単に作れます。理由の一つにイタリアで使われている食材と日本で目にする食材が、かなり近い事が挙げられます。

例えば、お野菜は日本でも馴染みのある食材がたくさん。茄子、パプリカ(イタリア語ではぺぺローネ)、トマト、カリフラワーにブロッコリー、日本との違いと言えば、お野菜自体の大きさとキャベツの葉の硬さくらい。

イタリアのカリフラワーは巨大

あえて違いを探すとすれば、人参や玉ねぎなどの基本野菜の味が強いこと、特にセロリは素晴らしい味の強さがあります。ほかにもアーティチョークや黒キャベツなど日本で馴染みの無い食材があるにはありますが、でも違いと言ったらこれくらいですし、これ以外の食材で十分美味しいお料理が作れます。

そして魚介類とお肉類。魚介類は日本のでも馴染みのあるアサリなどの貝類のほか、カジキマグロなどは非常に一般的な食材。鯛などの白身魚やサバなどの青魚もよく使われます。お肉についてはお肉の切り方が違いますが、基本的に同じものが手に入ります。

このように、日本でもイタリアで使っている食材のかなりの種類が手に入ります。

それでもイタリアの田舎の食堂の簡単なイタリア料理と、日本のイタリア料理は何かが違うと言われます。簡単なお料理ほど差がはっきり感じられ、その違いを理解するのに多くの修行に来た日本の人達が驚いて悩む姿を見てきました。

生鮮食品に日伊に大きな差が無いとすれば、あとは、水・塩・オリーブオイルのどれかに大きな違いがあるはずです。塩は日本でもイタリア産のが手に入りますし、水は水を使用しないお料理にも差を感じるわけですから、水でも無いでしょう。これらの事から、私はオリーブオイルの使い方に大きな違いがあると思います。

日本でも同じような食材が手に入るにもかかわらず本物のイタリア料理になりきれないのは、オリーブオイル自体と使い方の差だと思います。その差は簡単なお料理ほどはっきり出ます。

高級なオリーブオイルを使用すれば美味しいというわけではありません。実際にイタリアの田舎の食堂では地元産の普通のオリーブオイルを使用しています。キーワードはオリーブオイルの使い分けと鮮度です。

日本で手に入りにくい本物のイタリアの食材とは?

日本で手に入りにくいイタリア食材もあります。
例えば、加工肉類は、生のソーセージやサラミなど日本に輸入しにくい、※実はこれが素晴らしく美味しい!

一見生肉のように見えますが、トスカーナ州シエナ周辺のサラミです。これを唐辛子入りのペコリーノチーズとサンドイッチ。絶品です。ただし、このサラミは日本に輸入できないと思います。

一見生肉のように見えますが、トスカーナ州シエナ周辺のサラミです。これを唐辛子入りのペコリーノチーズとサンドイッチ。絶品です。ただし、このサラミは日本に輸入できないと思います。

加工肉類も含めて、日本に輸入されない大きな理由は法律の問題です。意外かも知れませんが、1990年代まで日本に生ハムは輸入できませんでした。理由は、生ハムで行われる塩漬けに、殺菌効果があると法的に認められていなかったからです。ハマハムの輸入が解禁になったときは、テレビや新聞でニュースになったほどです。

チーズ類に関しては、価格の違いはありつつも、ほぼ同じものが手には入ります。
でも価格以上に違いがあるのは味。ゴルゴンゾーラなどは現地のものと味が違います。

オリーブオイルを使い分ければ簡単に本物のお料理

オリーブオイルの簡単な使い分けで本物のイタリア料理になる。「目から鱗のような考え方だった」というご感想をお客様からいただくことがあります。”どれだけ生鮮食材に拘っても、どれだけ美味しいと言われるレシピを真似しても、どうしてもイタリア現地で味わうお料理になれなかったのに、オリーブオイルの鮮度に拘って簡単な使い分けをしたら、お料理が完全にイタリア現地と同じになった。”少々大げさなようですが、本当にいただいたご感想です。

このようにお料理の大事な黒子役のオリーブオイル。本物のオリーブオイルには味が色々あるのを聞かれた事がありますか?それに、オリーブオイルが「辛い!」「苦い!」という話も聞かれたこともおありですか?

そもそも、オリーブオイルの味を変える必要があるのか疑問ですよね。
シンプルに「美味しいオリーブオイル」を作ってくれれば買うときも買いやすいから良いのに。色々な味のオリーブオイルがあるせいで買ってから後悔することもあるし。こう思われるかも知れません。

オリーブオイルのティスティング

オリーブオイルに馴染みの無い方は、それにオリーブオイルの味を変えるって何か混ぜ物をするように感じるかも知れませんが、オリーブオイルの味は、お料理の必然性から産地ごとや生産者ごと微妙に違います。

本物のオリーブオイルを、それ自体”美味しい食べ物”ものと考えると、オリーブオイルの味を変えるのは不思議かも知れませんが、オリーブオイルは、お料理の味を決める”大事な調味料”という側面もあります。

具体的に考えてみましょう。食材を焼いただけで塩とオリーブオイルだけ食べる簡単なお料理を2種類想像してみてください。鯛などの白身魚のグリルと、クセのある猪肉のグリルです。

これらに使用されている食材は、イタリアでは古くから食されています。伝統的な調味料は、塩・ハーブ類・オリーブオイルのみです。猪肉は多少クセがあります。臭味消しにはコショウがよく使われますが、大昔コショウはイタリアにとって大事な輸出品でしたから自分たちでは使いません。

コショウ以外に手に入る伝統的な調味料で、白身魚のグリルとクセのある猪肉のグリルで使い分けできるのがハーブとオリーブオイルです。特にソースや調味料・出汁の役目をするオリーブオイルの味を強くしたり、マイルドにしたりと味を変えて食材にあわせてきました。

猪肉のグリルには、辛く強い味のオリーブオイルとハーブで味付けします。白身魚のグリルには、ハーブとマイルドで白身魚の味にあうオリーブオイルを使います。また、白身魚を食べる地域は魚介類のカルパッチョも食べますので、カルパッチョにもあうようなマイルドなオリーブオイルが好まれます。

本物の伝統的イタリア料理のレシピにコショウが無い理由

イタリアでは古代ローマ時代からコショウは食されていました。しかし決して一般的な食材では無く王侯貴族の食べ物だったようです。そのため家庭料理が発祥のレシピが多いイタリア料理にはあまり使われていないと思います。

また中世ヨーロッパに於いては、イタリアにとってコショウは外国から輸入して、臭味の強い塩漬け肉を食していたフランスなどに売る大事な商品でした。

コショウ貿易は、13世紀頃からヨーロッパのコショウ貿易はベネチアが独占。その後、ルネッサンス期はフィレンツェの名家メディチ家が引き継ぎます。北イタリアのラ・スペツィアという港町があります。( La Spezia)メディチ家がコショウ貿易を行っていた頃賑わっていたこの港にコショウなどの香辛料が集まってきました。このラ・スペツィアは、スパイスの語源でもあります。

また、このメディチ家の娘、カテリーナ・デ・メディチが後のフランス国王アンリ二世と結婚した際に連れて行った料理人達がフランス宮廷料理の礎を作ったと言われています。

本物のオリーブオイルは、簡単なお料理ほど味に差が出る

オリーブオイルの味を変えると言っても、混ぜ物をするのではありません。実は、オリーブの種類はイタリアだけでも数百あり、それぞれ用途が違っています。オリーブオイルを搾るものもあれば、油分が少ないものは塩漬け用などにします。当然味も違いますし、オリーブの種類によっては、ある一定の地域史か育たない品種もあり非常に複雑で奥が深いです。

完熟した収穫期のタジャスカ種のオリーブ

でもオリーブオイルの味に関しては、結構簡単に調整できます。それは収穫と搾油です。

よくオリーブオイルの広告で、オリーブの収穫方法が”早摘みの手摘みだから美味しい”とか”完熟だから美味しいとか”を目にします。あれは、どちらが美味しいかと申しますと、両方同じだと思います。(笑)早摘みと完熟してからの収穫は、味の方向性を決めるだけで、美味しさとは直接関係ありません。

早摘みのオリーブオイルは、味の青さや辛さを引き出したいので早摘みします。ちょうど早摘みの果実の味が強いのと同じです。一方、マイルドな味のオリーブオイルを作りたいならオリーブの実の完熟を待ちます。

オリーブの実を手摘みにするのは、そうしないと早めの青めのオリーブの実が収穫できないからです。青い実はいくら木を揺すっても落ちてきません。

そして、もうひとつ大事なのがオリーブオイルの鮮度。食用油に鮮度という発想は馴染みが無いかも知れませんが、オリーブオイル(この場合はエキストラバージンオリーブオイル)は搾油工程で熱が加わっていないため、オリーブの実ジュース。本来は飲めて当たり前のオイルです。本物のオリーブオイルなら、全く油っぽくありません。

この地元の食材にあわせて味の調整がされた地元産のフレッシュで鮮度の良いオリーブオイルをたっぷり使ったお料理。これがイタリアの田舎で出会うオリーブオイルが美味しい簡単だけど本物のお料理です。日本で体験できない理由は、本物の鮮度が良いオリーブオイルが手に入りにくい事情もあります。

オリーブオイルの鮮度に関しては、オリーブオイルの選び方にも書かせていただいています。よろしければご一読ください。

オリーブオイルの乳化は食べにいものを美味しく食べる技術

日本ではお馴染みでもイタリアには無いお料理の技術があります。それは乳化。乳化とは、そのままでは油っぽくて食べにくい食物油に空気を含ませることによって食べやすくする技術で発祥はフランス料理です。

イタリアでは、飲める鮮度のオリーブオイルが簡単に手に入りますので、この乳化の技術は不要。不要と言うより乳化はオリーブオイルの味を薄くしてしまうので、乳化させない方が新鮮なオリーブオイルを使用している場合はお料理が美味しいです。

本物のオリーブオイルでイタリアの田舎料理をご家庭で簡単に

オリーブオイルの鮮度と使い分けが大事な事を知っていても、飲食店の場合色々な事情でオリーブオイルに拘れないお店もあります。仕入れルートの問題や大きなお店でしたら経理部門との兼ね合いで、致し方無く業務用のオリーブオイルを使う場合があります。安価な業務用オリーブオイルは、飲んで美味しい鮮度のものは稀です。そのため乳化など技術を駆使して美味しく仕上げることになります。

ただし、その場合はオリーブオイルがお料理の主役にはなれません。イタリアの田舎の食堂で出会う本物のオリーブオイルが主役のおいしいお料理は、ご家庭の方が再現しやすいと思います。イタリアの田舎の食堂では難しい技術が必要なお料理は作りません。

田舎の食堂で味わうカプレーゼ。モッツァレラチーズとトマトをスライスしてハーブにたっぷりのオリーブオイル。それにこの店はケッパーも加えていました。これだけですけど、すこぶる美味しい。

田舎の食堂で味わうカプレーゼ。モッツァレラチーズとトマトをスライスしてハーブにたっぷりのオリーブオイル。それにこの店はケッパーも加えていました。これだけですけど、すこぶる美味しい。

さて、おいしいオリーブオイルで本物のイタリアの田舎料理を再現するときのポイントととしてレシピの選び方があります。本やWebサイトで色々なイタリア料理のレシピがありますが、大事なのがレシピの中にバターなどの乳製品を使用していないことです。

バターなどが出てくるレシピの場合、オリーブオイルが脇役になっていることが多いからです。それはイタリアの地方ごとの食文化に由来します。

イタリアでもオリーブオイルを使わない地方もある

色々調べたり食べ歩いたりすると、オリーブオイルが料理の主役のエリアは、イタリア半島北中部のトスカーナ州あたりまでみたいです。それより北のボローニャがあるエミリアロマーニャ州やミラノのロンバルディア州あたりのレシピになると、だいぶバターが幅をきかせてきています。北部はオリーブオイルよりもバターの方が手に入り易かったようです。イタリアも戦前位までとても貧しかったので、あまり多くの食材は使用していません。

その頃に書かれた本を読んだことがあるのですが、作者はトスカーナに住んでいたごく平均的な家庭の人でした。食事と言えばトウモロコシの粉で練ったポレンタと言われるものばかりだったそうで、味付けは塩味。いつも塩だけでは物足りないので、時折アンチョビが付くらしいのですが、食べ方は、アンチョビをポレンタにペタペタ付けるだけ。アンチョビは回収して他の料理に使用。これくらい貧しかったみたいです。

一方、オリーブオイルの方が手に入り易かったイタリア南部は伝統的なレシピにバターは登場しません。南イタリアの人にとってバターは異質なものに見えるようです。今でも、南イタリアのお年寄りは「北の人達は、バターという牛乳を固めた変なものを食べる」と言う人がいるくらいです。

以前、シチリアでティラミスを作ろうとマスカルポーネを探したら売っておりませんでした。お店の人にもはっきり「そんなものは無い」と言われました。有名なマスカルポーネチーズも”そんなもの”扱いです。(笑)

鮮度の良い良質なエキストラバージンオリーブオイルはサラサラ

さらにイタリアの味に近づけるオリーブオイルの使い分け

こだわったらキリが無いのがお料理。
でもオリーブオイルを使用したお料理の場合どこまで拘れるか考えてみましょう。それは、「お料理のルーツとオリーブオイルの産地をあわせてしまう」ここまでくれば本物でしょう(笑)

イタリアの場合、簡単なお料理でもレシピを遡ると発祥地域があります。お料理の発祥地を探して発祥地のオリーブオイルを使えば、それだけでかなり本物のお料理になります。

例えば、有名な魚介料理アクアパッツァ(acqua pazza) は、ナポリという町が有名な南イタリアのカンパニア州のお料理です。このお料理にあうオリーブオイルを探します。方法は簡単「カンパニア州 オリーブオイル」で検索してみてください。オリーブオイルの候補が出てくるはずです。そして、そのオリーブオイルの商品名ないし生産者名を検索してみて海に近ければ、魚介料理のアクアパッツァに向いているオリーブオイル。という具合です。

オリーブオイルはお料理にとって調味料であり出汁のような役割もします。
そのためお料理とオリーブオイルの産地が同じなのは本物の味に近づけるもっとも簡単な方法です。例えば、関東の鰹出汁で関西方面のお料理を作るのは難しいですよね。これとおなじような事だと思います。

産地を選びながらオリーブオイルを買う方法に関連した記事です。よろしければご参照ください。

オリーブオイルの選び方、味見ができない通販での買い方 
オリーブオイルの選び方(ラベルの読み方)

オリーブオイルで本物のイタリア料理にする方法のまとめ

オリーブオイルの本場イタリアの簡単な田舎料理は、プロも感動するくらい美味しいけど日本で食べることができない。と思われがちですが再現する方法があります。

1.実は、野菜や肉魚など生鮮食品は日本とイタリアは似たようなものを使っているから再現する下地があります。

2.生鮮食品以外でも塩やハーブなどもイタリアで使われているのと同じか似たようなものは日本で手に入ります。そのため感動的なくらい美味しいイタリアの田舎お料理と味が決定的に違う要素はオリーブオイルの使い方と質になると思います。

3.オリーブオイルの味をお料理にあわせて「辛いもの」や「苦めのもの」に使い分けると、味はかなり本格的なイタリアの田舎お料理になれます。さらに、お料理の発祥地とオリーブオイルの産地をあわせれば完璧(笑)

4.ただし、大事なのはオリーブオイル自体が美味しいこと。オリーブオイルも考え方次第では生鮮食品。鮮度が良くて飲んでも美味しいくらいのオリーブオイルを使う事がとても大事です。

5.実は飲食店では、ここまでオリーブオイルに拘れない場合が多いです。ですから、ご家庭の方が「感動的なイタリアの田舎の食堂」を再現しやすいと思います。ポイントは鮮度の良いおいしいオリーブオイル。です。

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