オリーブオイルの価格の決まり方をご説明します

なぜオリーブオイルの価格に差があるのか

エキストラバージンオリーブオイル(名前が長いので、以下オリーブオイルさせていただきますね)は、価格の幅が広くて、250mlで3,000円くらいするものから、500円位までありますよね。オリーブオイルは、何でこんなに価格の幅があるかをご案内します

オリーブオイルの価格は基本的には原価の積み上げ

意外かも知れませんが、オリーブオイルは、全ての生産者が、毎年完売するわけではありません。

しかし、オリーブオイルは毎年収穫があるわけですから、売り切らないと新しく搾ったオリーブオイルを、保存用のタンクに入れられません。もし余ってしまったら、加工用のオリーブオイルとして安い価格で出荷しなければならないので、オリーブオイル生産者は、売り切れるような価格設定をします

それでも、同じオリーブオイルの容量で、数倍の差価格差がありますよね、その理由は3つほどあります。

1.そのオリーブオイルの生産地域の物価や生産に関わる人件費、
2.そしてオリーブオイルの生産地として知名度
3.オリーブの実からの生産性

まず、1と2についてご案内します。

産地名に関しては、例えば、日本でも有名な産地のお米の価格が高いように、イタリアのオリーブオイルも生産地によって価格差があります。

特に有名なのが、イタリア北部で、州都がフィレンツェのトスカーナ州産のオリーブオイル。この地域のオリーブオイルは、価格が高いので有名です。そして、トスカーナ州は、国際的に人気がある観光地なので、色々な物価が高いのもオリーブオイルの価格が高い一因です。

1990年頃までは、イタリアの他の地域と、大きな物価の差が無かったらしいのですが、歌手のスティングとかイギリスのブレアー元首相が別荘を持ち始めた頃から、色々な物の価格が倍近くになり、それに伴いオリーブオイルの価格も上がりました。

オリーブオイルの価格差の最大要因

色々な生産元を巡ると、物価や知名度以外よりも、オリーブオイルの価格を決める一番大きな要因は、オリーブオイルの生産性やオリーブの実の重量から搾れる比率(搾油率)のように思えます。

例えば、オリーブの実を完熟前の若い状態で、オリーブオイルを搾ればポリフェノールたっぷりの辛いオリーブオイルができます。先ほど触れさせていただいたトスカーナ州産のオリーブオイルやシチリア産のオリーブオイルに見られる味わいです。

しかし、実が小さいわけですから、1本の木から採れるオリーブオイルは少なくなります。結果としてオリーブオイルの価格が高くなってしまいます。最近イタリアでは、他国産のオリーブオイルを差別化するために、高ポリフェノールのオリーブオイルを謳う傾向があり、結果として搾油率が下がり、値段が上がる傾向にあるようです。

オリーブオイル大不作の2014年。この年はさすがに完売でした。

数十年に一度の大不作だったこの年。さすがにどこもオリーブオイルは完売状態で、2015年にイタリアに行った際にはサンプルも手に入らないくらいでした。値上げも凄くて、生産者によっては50%up!!!その翌年大豊作になったので、値段が戻るかと思ったら、10%弱しか下がりませんでした(苦笑)

極端に価格の安いオリーブオイルがある理由

時々目にするオリーブオイルの価格で500mlで500円程度の品がありますよね?何でその価格なのか、まずオリーブオイルの生産地を見てください。

もし、その安価なオリーブオイルが、イタリア産と書いてあって、定価で1リットル3,000円(2020年10月2日現在、概ね3,500円くらいです)下回っていれば、産地を疑ってみてください。

実は、その価格以下だと、イタリアのオリーブの生産者は、生活が出来ないのです。恐らく物価が安い他地域産のオリーブオイルが混じっているか、本物のエクストラバージンオリーブオイルかも疑って良いと思います。

実は、日本の法律ではエクストラバージンオリーブオイルの定義が無いので、国際基準の酸度(遊離脂肪酸)0.8%を超えているエクストラバージンオリーブオイルであっても、法的には問題無いのです

こちらに1リットル換算の価格で3,000円を切ったオリーブオイルはお勧めできない理由を細かく書かせていただきました。よろしければご一読下さい

本物のオリーブオイル。1リットル3,000円以下の品をお勧めしない理由

もうひとつ、オリーブオイルの選び方もこちらに書かせていただいております。できるだけ分かりやすくしたつもりです。よろしければご一読ください

オリーブオイルの選び方

あと、有機栽培など手間暇がかかる製造方法を行っていると、同じ地域の非有機栽培のオリーブオイルに比べて、2から3割ほど高価になります。

有機栽培ですから、オリーブの実が効率的に大きくなるような化学肥料は使えませんし、有機栽培の認証を受けるための検査費用も日本円で毎年数十万円かかります。

それに、オリーブオイルの場合、良い有機栽培農園は、虫が少ない標高の高いところにあります。搾るために山を下りなければならないので、手間暇がとってもかかるのです。

そういう農園は、どんなところか、商品ページになってしまいますが、一番下にリンクを貼らせていただきましたので、ご覧いただけると嬉しいです。

200年以上、日本の江戸時代の頃から、ずっと有機栽培だけ続けている北イタリア山奥の農園です。素晴らしいですよ。

まとめ オリーブオイルの価格

オリーブオイルの価格は、原価の積み上げで決まります。それは、産地地域の物価や人件費などの経費の部分と、一つのオリーブの実からどのくらい搾れるかの搾油率も大きく関係してきます。

時折目にする安価なエクストラバージンオリーブオイルで、イタリア産を謳っている場合、定価で3,000円(2020年10月2日現在、概ね3,500円くらいです)を切っている品は、価格に整合性が無いのでオリーブオイルとして購入されるのは避けた方が良いと思います。

もし、お手元に不自然に安価なオリーブオイルがお有りでしたら、炒め物や揚げ物に使われるのをお勧めいたします。実は、エクストラバージンオリーブオイルは190℃まで耐えられますので揚げ物にも使用できます。

 

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ヒナタノ店主・加藤 昭広

おいしいもので喜んでいただくことが大好きです。おいしいものを探してイタリアへ移住。気がついたら仕事になっていました。
自他ともに認めるオリーブオイル ヲタクです。
このブログでは、おいしい話しやイタリアの職人さんたちから聞いた小ネタを紹介しています。