いつもと同じエキストラバージンオリーブオイルなのに味が変
いつもとエキストラバージンオリーブオイルを買ってみたら味が違う、なんだか変。こんなことはありませんか?
酸化臭がするときは蓋の不良です。蓋周辺を拭けば、ほとんどの場合臭いは無くなります。
味自体がおかしいのなら、物流過程で傷んでしまっていると思います。
今日は、イタリアの生産元からあなたへオリーブオイルが届くまでの一般的な工程をご紹介する前編です。
味が変だったら、この道中の何処かで過酷な環境におかれてしまったのだと思います。
エキストラバージンオリーブオイルの味が変わってしまう理由
エキストラバージンオリーブオイルは、光・熱で味が変わってしまいます。
オリーブオイルが熱によって劣化する内容をご説明します。遊離脂肪酸編
オリーブオイルが熱によって劣化する内容をご説明します。ピロフェオフィチンa編
光がエキストラバージンオリーブオイルをどのように劣化させるかご説明します。
イタリアの生産元から日本へ来る間に一番気をつけなければならないのが温度です。
日本へオリーブオイルを運ぶ際には、多くの場合船便のドライコンテナ(エアコン無しの鉄の箱)を使用しております。
船の底の方に置いておけば、日陰と海に冷やされて温度がコンテナ内の温度は上がりませんが、山になったコンテナの上の方でエンジンの近くだと庫内温度は最大60度くらいになります。熱に気をつけなければならないエキストラバージンオリーブオイルですが、残念なことに未だドライコンテナでの輸入が主流のようです。
イタリアから日本への道中も高温地帯を通ります。中東からインド洋東南アジアへ。
このあたりは日本が真冬でも常夏の地域です。それでも船が走っている間は、風でコンテナが冷やされるのでマシな方です。問題は乗り継ぎ。イタリアから日本への直行便がありませんので、シンガポールか香港の港で1週間程度山積みにされ乗り継ぐ船を待つことになります。亜熱帯の屋外で1週間野積みされてしまうのです。
エキストラバージンオリーブオイルをドライコンテナで運ぶ理由
そもそも、エキストラバージンオリーブオイルが傷んでしまう可能性がある輸入方法が主流なのか?
理由はコスト。ドライコンテナは非常に運賃が安いです。それに、食用に適さないくらい劣化することは極めて稀だからだと思います。同じエキストラバージンオリーブオイルをイタリアで買ったものと同じものを日本で味見すると違いが分かると思いますが、普通は比較する機会が無いですからね。
食用に適さないくらい劣化。とはどういう味かと申しますと、サラダ油を飲むような感じです。
私は知人に「なんだか味が変なんだけど見てくれる?」頼まれて味見した事があります。よくよく聴くと、この輸入された方は、船便の温度環境を知らないみたいでした。
味が変わってしまったエキストラバージンオリーブオイルは偽物と呼ばれるものに
こういう環境で運ばれてきて、運悪く何処かで過酷な環境に遭ってしまうと当然味は悪くなります。
最近「エキストラバージンオリーブオイルは偽物ばかり」という記事を目にしますが、その偽物のうち相当数は「元本物で運ばれている途中に劣化」だと思います。
味が変なエキストラバージンオリーブオイルは、運ばれ方が悪かったかものまとめ
1.エキストラバージンオリーブオイルの輸入については、未だ温度管理されていない方法で輸入されるのが主流。
2.温度が上がってしまったエキストラバージンオリーブオイルは、食用には適すものの農園で味わう本物とは別物
私は知っているので、輸入した82回のうち、エアコン付きのリーファーコンテナ2回。残り80回は全て航空便で輸入しています。本物のエキストラバージンオリーブオイルはすこぶる美味しい。
hinatano 加藤 昭広