生パスタでは味わえない、乾燥パスタだけにある美味しさのお話し

フェリチェッティ社の1.7mmスパゲッティ。有機栽培で遺伝子学的に品種改良されていない小麦粉を使用しています。

フェリチェッティ社の1.7mmスパゲッティ。有機栽培で遺伝子学的に品種改良されていない小麦粉を使用しています。

美味しいオリーブオイルではなくて、パスタのお話し。

「手打ち生そば」に代表されるように、日本の食文化では「生めん」が珍重されますよね。
そのためか、最近「生パスタ」の看板をよく見かけます。

しかし、パスタに関しては、乾麺ではないと味わえない美味しさがあります。
それは、「甘味」
低温(確か40℃以下)で長時間乾燥させると、デンプン質が甘味に変わります。

この製法で有名なのが、ナポリから南に40kmくらいのところにあるグラニャーノという町のパスタ。
天日干しで48時間。生産者によっては72時間かけて、じっくり乾燥させます。

しかし、実は、天日干しで無くても低温で48時間くらい乾燥させている良心的な生産者は、イタリアのあちこちに見かけます。

量産品で安価なパスタは、もっと乾燥時間が短いです。
時間をかけると、工房・工場に留まる時間が長くなり、生産性が悪くなりコストがかかるからです。
「安価なパスタが、いまひとつ美味しくない」のは、ここにも原因があります。

さて、パスタの形状にする際に使用する「型」ですが、これは銅製が普通です。
他にもステンレス製の型もあるらしいのですが、ちゃんとした生産者は銅製を使います。
なぜかと申しますと、銅の方が、パスタ表面に細かい傷を作る事ができてソースに絡めやすくなるそうです。

ただ、この銅製の型は高価なのです。
そのため、パスタメーカーによっては、多少無理して使う場合があり、”1.6mmと書いてあるスパゲッティーの太さを計ってみたら1.7mm”ということは、時々あります。あってはいけないのですけどね(笑)
penne

私が取引している北イタリアのフェリチェッティ社は、ペンネの溝の深さまで管理しています(笑)
気質がドイツ人ですから(笑)

このパスタの話をしたら、1時間話せそうです(笑)
良い職人さんって、私のような凡人から見ると「えー、そこまでするの???」ということがよくあります。

株式会社 il Bianco 加藤昭広

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ヒナタノ店主・加藤 昭広

おいしいもので喜んでいただくことが大好きです。おいしいものを探してイタリアへ移住。気がついたら仕事になっていました。
自他ともに認めるオリーブオイル ヲタクです。
このブログでは、おいしい話しやイタリアの職人さんたちから聞いた小ネタを紹介しています。