何にでも合うオリーブオイルは意外に少ない
何にでも合うオリーブオイルは、香りと味のバランスが大切。
味と香りのどちらかが強過ぎるオリーブオイルは、使い方が限られてきてしまいます。例えば、味が強過ぎるからお魚のカルパッチョに使いにくいとか、香りが強いけど味の弱いオリーブオイルは、肉料理につかっても美味しくならない。こんなご経験をされたことはありませんか
味と香り両方がバランスよいオリーブオイルだと使い勝手のよい、何にでも合うオリーブオイルになるのですが、でも実際は、香りは良いけど味が物足りない、逆に味はするけど香り不満。こういうオリーブオイルが多いと思いませんか。
イタリアで出会うオリーブオイルも、このようなオリーブオイルが多いです。
なんにでも合うように作らないオリーブオイルの味
味と香りのバランスが良いオリーブオイルを作れば、たくさん売れそうなのに、なんで作らないの?これって、素朴な疑問ですよね。
でも、イタリアの伝統的な良いオリーブオイル生産者は、なんにでも合う味のオリーブオイルを作る事には、あまり興味が無いと思います。なぜかと言うと、オリーブオイルの味は、オリーブオイルの産地の食材(食文化)にあわせて作るからです。
山の中に行けば、多少辛味苦味が伴う肉類にあう濃い味。海の近くなら新鮮な魚介類向けのマイルドな味。こんな感じです。意外かも知れませんが、肉類と魚介類が半分半分の食文化もっている地域はイタリアには少ないです。
私が住んでいたフィレンツェは伝統的には肉食文化です。今では健康に良いからと魚介類も食べるようですが、基本的には食卓はお肉中心。ですからフィレンツェ周辺のオリーブオイルは、お肉にあうように辛味や苦味が強い味です。
このhinatanoで紹介しているブルーナ家のオリーブオイルの産地は、魚介類中心の食文化です。つまり魚介類向けの辛味苦味が少ないマイルドな味のオリーブオイルの産地。ただ、このブルーナ家のオリーブ畑は、山奥の標高が高いところにあるので、オリーブの味が濃いのです。それを魚介類向けにお味を仕上げるので、ちょうど良いまろやかさです。
偶然が産み出した味と香りのバランスが、抜群のオリーブオイル。ぜひご覧になってみてください。