オリーブオイルの濾過と無濾過
無濾過(ノンフィルター)のオリーブオイル自体は、イタリアでは珍しくなく普通に売られています。
でも、なぜ”濾過したもの”と”無濾過(ノンフィルター)のもの”二通りあるのか、違いは何かをご案内します。
これは味の良し悪しと言うより、作り手の考え方だと思います。
オリーブオイルを濾過する理由と美味しさの違い
エキストラバージンオリーブオイル(以下オリーブオイル)を濾過する理由。
実は職人さんによって理由が微妙に違います。
・味をクリアにしたいから
・濁り成分が傷みやすいから
・濾過した方が美味しいから
などなどです。
オリーブオイルの濁り成分は、オリーブの実からです。
ただ、収穫の際の実の熟し方、つぶし方、搾り方の強弱など、オリーブオイルになるまでの微妙な行程の違いで、その濁り成分が旨みになる職人さんもいれば、雑味になる職人さんもいます。
雑味になっている職人さんのオリーブオイルは、後からフィルターをかけることを計算した上でのことですので、一概にどちらが良い品か美味しい品かは言えないと思います。
私の取引先で無濾過(ノンフィルター)と濾過両方のオリーブオイルを作っているところが何社かあるのですが、どちらが美味しいかは、それぞれの生産者によって違います。
確かなのは
「濾過した方が美味しい」と言っている職人さんのオリーブオイルは、濾過した方の品が美味しいですし、
「無濾過(ノンフィルター)の方が美味しい」と言っている職人さんの品は、無濾過の方が美味しいです(笑)
無濾過のオリーブオイル。濁り成分の変化の仕方も作り手次第
無濾過(ノンフィルター)のオリーブオイルの時間経過の変化も作り手によって違います。
ある人の濁り成分は、沈殿して溶けて透明になってしまいますし、ある人のは沈殿後そのまま1年以上濁ったままです。
ただ一つだけ確かなのは、濁り成分は非常にデリケートで傷みやすい(酸化しやすい)ということです。
無濾過のオリーブオイルはデリケート
オリーブオイルの濁り成分はオリーブの実由来ですが、葉緑素でもあります。
オリーブオイル自体は、酸化しにくいオレイン酸が主成分なのですが、緑や黄色の基になったり濁り成分であったりする葉緑素は非常に酸化しやすいです。
光に当たると葉緑素は光合成を起こして酸化物質を排出します。この光合成には酸素が必要ありません。
ということは、透明なボトルのオリーブオイルは未開封でも酸化してしまいます。
イタリアでも無濾過で透明ボトル入りのオリーブオイルが、あるにはありますが、瓶詰めされてから消費するまでの時間が日本と全然違います。
光合成で排出される酸化物質の量は、葉緑素の量に比例します。
つまり、無濾過(ノンフィルター)で透明なボトルに入っているオリーブオイルが光合成を起こしてしまった場合、濾過したオリーブオイルよりも多くの酸化物質がボトルの中にある計算になりますので、くれぐれも光にはご注意ください。
エキストラバージンオリーブオイルの濾過と無濾過(ノンフィルター)のまとめ
1.オリーブオイルには、濾過と無濾過(ノンフィルター)二つのタイプがありますが、どちらが美味しいかは、職人さんの考え方にもよるので一概には決められないと思います。
2.無濾過の場合、濁り成分は葉緑素です。非常に劣化しやすいので注意が必要です。透明なボトルの場合、光に当てると未開封でも光合成を起こして酸化物質が出てしまいます。
美味しいオリーブオイルをぜひ、
hinatano 加藤 昭広