オリーブオイルの味が辛かったり苦かったりする理由と、その味で売られている理由をご案内します。

オリーブオイルに辛味や苦みは必要?

エキストラバージンオリーブオイル(長いので、ここから先はオリーブオイルとさせていただきます)の辛み苦みは、抗酸化物質のポリフェノールによるものなんです。ポリフェノールって、体に良いとされていますよね。

「でも、わざわざそんな食べにくい味で、オリーブオイルを作らなくていいんじゃ無い?」そう思われますよね。でも、その辛み苦みがイタリアでは必要みたいです。

 

辛かったり苦ったりオリーブオイルの味の使い方

オリーブオイルの仕入れ先を探してイタリアの色々なところへ行って気が付いたのですが、オリーブオイルの味は、産地の食文化と関係があるようなんです。

例えば、辛味や苦みが強い味のオリーブオイルを好む地域では、猪など強い味の食材を食べる傾向があります。その食材を美味しく食べるには、その味が必要みたいなんです。ちょうど臭み消しみたいなものですね。

伝統的なイタリア料理のレシピには、コショウを使ったものがありません。中世イタリアにはコショウは存在していましたけど、コショウは大切な商品。匂いが強い塩漬け豚肉を食べていた、フランスなどに輸出していました。

イタリアで臭み消しは、ハーブ類とオリーブオイルだったみたいです。

さて、オリーブオイルの辛味や苦みは、温かい料理に使用すると、かなり飛びます。ですので、パスタの仕上げにかけても、あまり辛み苦みは気にならないと思います。でも例外的に、強烈に苦いオリーブオイルもあります。その場合は、暖かいお料理にかけても苦みは残ってしまいます。

そして、もっと工夫が必要なのは、サラダやカプレーゼなどの暖かくないお料理に使用した場合です。どうしても辛み苦みが残ってしまいます。

その場合の対処法ですが、辛味の場合は、サラダだったらツナを加えたり、カプレーゼだったらアンチョビを加えたりしてみてください。辛味が臭み消しの役割をしてバランスが取れると思いますよ。

苦みの場合ですが、軽い苦みでしたらサラダに使用する際には、チコリなど苦みの強い野菜の替わりに使ってみるのはいかがでしょう。苦みが強すぎる場合は、味が落ち着くまで待つのをお勧めします。苦み辛みの元になるポリフェノールは、時間経過と共に減少していきますので、段々辛味苦味が少なくなってきます。

これまで待った最長は、仕入れてから1年半ほどです。あのオリーブオイルは、もの凄く苦かったのですが、賞味期限が切れたあたりから、とっても美味しくなりました。

こちらに詳しくご案内しております。
手に入れたオリーブオイルが苦い場合、どのように対処すれば良いかご紹介します。

 

辛み苦みは毎年変わります。オリーブオイルは農産物

辛味や苦みは、毎年微妙に変わります。
オリーブオイルは農産物ですので、毎年の違いはどうしても出てしまうみたいです。

それでも、ちゃんとしたオリーブオイルの生産者は、搾油したあとに味の傾向ごとに分けて保管しておいて、瓶詰めにするときに味のバランスを取りつつ、ブレンドして出荷してくれます。

ブレンドできないのは、ワインなどが本業で副業としてオリーブオイルを生産している場合です。地域によってはワイン(葡萄)の収穫が終わった直後にオリーブの収穫が始まるので、副業にしているワイン生産者多いんです。

収穫関係の人手は臨時雇用の場合が多いので、そのまま葡萄収穫用に集めた人に引き続きお願いします。その場合は、収穫から瓶詰めまで、一気にしてしまう事があるのです。

オリーブオイルの辛み苦みは、近年増やす方向へ

最近イタリアでは、スペインやギリシャなどオリーブオイル輸出のライバルへの対抗策として、早摘みにしてポリフェノールを多めにしようという傾向があるみたいです。

辛み苦みは、鮮度の証でもありますし、健康志向から、ポリフェノールの量を珍重する傾向は、海外でも見られるようです。

そのため同じ銘柄でも数年前に比べて、辛味苦味が強くなっている銘柄が多数あります。

中には、苦みを増すために、枝や葉っぱも一緒に搾ってしまう「良からぬ生産者がいる」と聞きました。私も味見した事があるのですが、そのような品の場合は、辛味以上に”えぐみ”が出ています。そのような品がお手元へ行かないように、しっかり目利きするのは、私のような輸入者の仕事ですね。

オリーブオイルが辛かったり苦かったりする理由のまとめ

オリーブオイルの辛み苦みは、ポリフェノール由来です。

イタリアでは、オリーブオイルの辛味苦味は、肉料理の臭み消しのようにも使われていたので、今でも辛味や苦みが強い味のオリーブオイルを好む地域があります。

また、健康志向や商品価値を上げるために、イタリアではポリフェノール多くして、辛め苦めに味を変えてくる生産者が増えていると聞いております。

辛さ苦さは、かなり苦い場合を除いて、暖かいお料理に使えば飛んでしまいます。パスタの仕上げなどにはそのままお使いいただけると思います。

サラダなどに使用する際、辛味に関しては、ツナやアンチョビなどを加えれば、良い臭み消しになります。苦みに関しては、あまり強いようでしたら、しばらく時間をおいてから使われるのをお勧めします。辛さ苦さの元になるポリフェノールは時間経過と共に段々少なくなってきます。

お好きな食材などによって、まだ色々な使い方があると思います。
よろしければ、ご相談ください。

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ヒナタノ店主・加藤 昭広

おいしいもので喜んでいただくことが大好きです。おいしいものを探してイタリアへ移住。気がついたら仕事になっていました。
自他ともに認めるオリーブオイル ヲタクです。
このブログでは、おいしい話しやイタリアの職人さんたちから聞いた小ネタを紹介しています。