美味しい新物オリーブオイルとは?
新物のエキストラバージン・オリーブオイル(ここから先はオリーブオイルと略させていただきます)、搾りたてが美味しいと好きな方が多いです。
でも、少し辛くありませんか?
その辛みが苦手で、イタリアの人の中には、新物オリーブオイルを避ける方もいます。
新物オリーブオイルがなぜ辛いかと、新物オリーブオイルの味が、オリーブオイル生産者の善し悪しを見分けるヒントになることなどをご案内いたします。
新物オリーブオイルの美味しさは、辛みの底にあります
新物以外にも感じられるオリーブオイルの辛み、これはオリーブオイルに含まれるポリフェノール由来です。
ポリフェノールは、時間経過と共に減少していきますので、搾りたてのポリフェノールたっぷりのオリーブオイルは、一番辛い状態です。
こちらにオリーブオイルと辛みの関係を詳しく書いた記事がございます。
よろしければ、ご参考になさってみてください。
経験則ですが、オリーブオイルは、おおよそ搾ってから半年後くらいに、そのオリーブオイル本来の美味しさに落ち着いていきます。
辛みが新物オリーブオイルの特徴ですが、その新物の時の辛みが、そのオリーブオイルが本来持っている美味しさや、オリーブオイル生産者の仕事の姿勢を知るヒントにもなります。
例えば、不作の年はオリーブの実の収穫量が少ないです。
収穫量が少なければ、そのままオリーブオイルの生産量の減少に繋がりますので、生産者によっては、熟し過ぎたりしている状態の良くないオリーブの実を使うことがあります。
一応オリーブオイルの基準内のオリーブの品質なのですが、熟し過ぎた実を使うと、新物オリーブオイルでも味の奥に「重い」と言いますか、若干の油っぽさを感じます。スカッと抜ける様な後味が少ない。
そういうオリーブオイルは、瓶詰め後も味が重いです。
新物でも美味しさが足りなかったオリーブオイル
このような搾りたての緑色の新物なのに辛くないオリーブオイルは、共同搾油所のオリーブオイルで出会うことが多いです。
イタリアには、共同搾油所(公衆搾油所と言えるかも知れません)があります。
イタリアでは、一般の家庭でもオリーブの木が何本もあって、実がなることがありますからね。その実を共同搾油所に持ち込んで、オリーブオイルに絞ってもらいます。
持ち込んだオリーブの実の重量を量って、その重量分だけ、オリーブオイルをもらって帰るシステムです。
つまり、いろんな人が持ち込んだオリーブの実が、混ぜこぜになっています。当然熟し方もバラバラ。
熟しすぎたオリーブの実も混じっているからだと思うのですが、共同搾油所のオリーブオイルは、濃い緑の搾りたてでも辛みが少ないです。
オリーブの作柄と新物オリーブオイルの味の関係
オリーブが不作の年で、辛みがしっかりしているオリーブオイルは、美味しい実を使っているバロメーターになります。
不作の年で、いつもの年より辛みが多い新物オリーブオイルは、
「オリーブの実の収穫量が少ないため、オリーブオイルの生産スピードが需要に追いつかないので、やむを得ず、普段は使わない若めのオリーブの実を使って、オリーブオイルを搾っている」
と私は理解しています。
オリーブの実は、若い実ほど辛みが強くなります。
でも、若い実は、オリーブの実の重量あたりの搾油量が少なくて採算性が悪いんです。
そのようなオリーブオイルを送ってくれるオリーブオイル生産者は、採算性が悪くても、オリーブオイルの美味しさを守ろうとする良いオリーブオイル生産者だと私は思います。
新物オリーブオイルを美味しくいただくコツ
もし、お手元に新物オリーブオイルがあって、そのオリーブオイルが濁っているタイプでしたら、遅くとも搾油から半年以内に召し上がって下さい。
オリーブオイルの濁りは、葉緑素のかたまり。とっても酸化しやすいのです。
その濃く濁っている新物オリーブオイル以外で、新物をお持ちで辛みが苦手な方は、しばらく置いて、オリーブオイルの味が丸くなってから召し上がって下さい。
オリーブオイルの濁りを、デキャンティング(澱引き)やフィルターで取り除いてあるオリーブオイルは、酸素からの酸化には強いです。
開封後でも2~3ヶ月は、問題無くいただけます。私のオリーブオイルは、鮮度の良い状態でお送りしておりますので、開封後半年くらいは、美味しく召し上がっていただけます。
新物オリーブオイルと美味しさの関係のまとめ
新物オリーブオイルが辛いのは、ポリフェノールが多いからです。
ポリフェノールは時間経過と共に減少していきますので、時間が経てば新物オリーブオイルの辛みは少なくなっていきます。
オリーブの実が不作の年で、いつもの年より辛みが強い新物オリーブオイルを作る生産者は、採算性を度外視して、搾油量が少ない若い目を使ってでも美味しいオリーブを作る良い生産者だと、私は思います。