揚げ物に使ったオリーブオイルは再利用できる?
「揚げ物に使用したオリーブオイルは、何回まで使えるか」をネットで検索すると、色んな情報が出てきますよね。
私も読んでいて「読まれた方は、どれが本当か分からないだろうな」と思っています。
私はオリーブオイルの輸入や販売を行っています。オリーブオイルの生産者や、イタリアの厨房で行っていた経験などからご案内させていただきます。
揚げ物に使ったオリーブオイルの再利用できる状態
まず、オリーブオイルには複数種類があります。ピュアオリーブオイルやエキストラバージンオリーブオイルなど様々。
これらのうち、エキストラバージンオリーブオイル以外は、普通の食物油のように取り扱って問題ありません。ピュアオリーブオイルなどは、精製され不純物が取り除かれたオレイン酸の塊です。オレイン酸は、酸素からの酸化に強いですからね。
ただ、この2種類以外のオリーブオイル、例えばポマースオリーブオイルやサンサオリーブオイルは、作られ方を考えると食用にはお勧めできないです。これらは、イタリアの一般家庭では食べられていません。
さて問題は、熱に弱いとされているエキストラバージンオリーブオイルの場合ですよね。(ここから先は、エキストラバージンオリーブオイルをEXVオリーブオイルと名前を短くしてご案内します)
EXVオリーブオイルは、熱に弱いと言われていますが、実は190℃くらいまで耐えられるので揚げ物にも使用できます。実際イタリアには、魚介類のEXVオリーブオイル揚げなども食べられています。美味しいですよ!
何回まで使い回しが出来るかなのですが、私は2回目までは使って、3回目は「匂いで酸化臭がするかしないか」「色を見て強く変色していないか」で判断しています。
そうなんです、他の食物油と全く同じように判断しています。
ただ、3回目まで使えるのは、2回に1回くらいですね。酸化臭がすることは稀なのですが、色が濃くなっていて廃棄することが多いです。
イタリアでは揚げ物にピュアオリーブオイルを使うことも
耐熱温度190℃は、確かに他の食物油よりも低いです。これは、EXVオリーブオイルに含まれる葉緑素などが原因みたいです。
葉緑素などを取り除いてあるピュアオリーブオイルは、他の食物油と同じように揚げ物に使えます。
実際、イタリアのレストランで揚げ物をしていたとき、揚げ物用のピュアオリーブオイルは、3~4日同じものを使っていました。美味しさは負けてしまいますが、どうしてもコストに差が出てきます。
それにイタリアでは、オリーブ以外を原料にした食物油は、本当に少ないんです。サラダ油のようなものは売られていません。
EXVオリーブオイルと熱に対する誤解
では、ピュアオリーブオイルを勝って、揚げ物とサラダ両方に使えば良いのでは?と思われるかも知れません。
でもピュアオリーブオイルは、作られる過程で、体に良いポリフェノールなどが全部取り除かれているんです。それに高温で精製するので味も油っぽいです。
やっぱりEXVオリーブオイルが良い、という事になりますが、やはり「EXVオリーブオイルが熱に弱い」と言われているのが気になられると思います。なにか体に良くない成分が増えてしまうのでは?と思われるかも知れません。
EXVオリーブオイルに熱が加わって変化するのは、遊離脂肪酸と言う「油っぽく感じる成分」の量です。
ただ、この成分は、増えるのに時間がかかるので、調理時間程度の短さなら、極端に増えることが無いと、オリーブオイルの生産者の人達から聞いています。
EXVオリーブオイルと熱の関係については、こちらの記事で詳しくご案内しています。
オリーブオイルが熱によって劣化する 遊離脂肪酸編
まとめ 揚げ物に使ったオリーブオイルは何回まで使える?
EXVオリーブオイルを揚げ物に使った場合、私は3回目以降は、色や酸化臭を確認して使います。この基準は一般的な食物油と同じです。
EXVオリーブオイルが加熱されて増えるのは遊離脂肪酸と言われる「油っぽく感じる成分」です。そのため2回目以降は、揚げ物の味の軽さも少なくなってきます。