オリーブオイルが本物かを味で判断できる?
エキストラバージンオリーブオイル(以下オリーブオイル)の本物かの鑑定方法には、化学的な分析のほかに官能検査と呼ばれるものがあります。これは、一定の手順に従い味覚と嗅覚でオリーブの品種まで判別するものです。しかし、そこまで分からなくても良い場合、本物かどうかだけ判断する手がかりがあります。
本物のオリーブオイルかを味で知る方法
オリーブオイルは、オリーブの実の生搾りジュースです。
本物は本来飲めて当たり前で、油っぽく無いものです。
一方、偽物に混ぜられていると言われている植物油は、抽出時に熱が加わったもの。必ず味の何処かに本物には無い油っぽさがあります。ですから、目を閉じて口にふくんでみて後味がスッと抜けるようなら、本物のオリーブオイルだと思います。植物油を混ぜたり、本物だったオリーブオイルでも熱が加わって劣化していたりすると後味が抜けません。
本物の後味が抜けることについては、以前のブログに書かせていただきました。
「ティスティング方法」をご参考にしていただければ幸いです。
ただ、この方法では本物かの判別が出来ても、産地偽装までは見分けられません。産地を見極める方法は、今では化学的な検査もありますが、官能検査で行う場合があります。官能検査の場合、かなりの品種のオリーブの本物の味を覚えなければならないので習得は難しいと思います。
本物のオリーブオイルと偽物の味の違い
オリーブオイルの味のうち辛味苦味などは、例え、かなり強く苦かったり辛かったりしてもオリーブオイルの本物の味の可能性があります。辛味や苦味はポリフェノール由来の味になりますので、農産物でポリフェノールが豊富なオリーブオイルでしたらあり得る味です。
一方、オリーブオイルの味で本物とは思えない偽物オリーブオイルや、劣化してしまったオリーブオイルと疑ってしまう変な味があります。それは、蒸れたような味、強く油っぽい味、などです。
蒸れたような味は、本物でもオリーブの実を収穫後長時間放置していたなどで黴びていたか、それに近い状態だったことが原因として考えられます。強く油っぽい味は、輸送途中に高温になった事などから劣化してしまった味です。
また、本物のオリーブオイルでも透明なボトルに入っていた場合は、酷い酸化臭を感じるときがあります。それは光によってオリーブオイルが劣化してしまった証拠です。
このようにオリーブオイルの味のうち、本物本来の辛味苦味以外の変な味は、劣化や偽物など、オリーブオイルに何らかの問題があったと考えても良いと思います。本物には入っていない健康に良いとは思えない成分が入っている可能性があるので、このような変な味や香りがするオリーブオイルを召し上がるのはおすすめできません。
味覚嗅覚以外にもありました。本物ではなかったオリーブオイルを感じたこと。。
サラダ油が認知症の原因物質の可能性がある話はご存じですか?
ですから、私は揚げ物をする際には、開封して古くなったオリーブオイルやサンプルで美味しく無かったもので揚げ物をします。一応本物なのでもったいない気もしますが、そのくらい滅多に揚げ物を作らないということでもあります。
あるとき、どうしても揚げ物をする必要があったので、サラダ油よりはマシだろうと安価な「自称本物のエキストラバージンオリーブオイルと書いてある」品を買いました。鍋に入れて熱が上がってきたら香り以外に肌にまとわりつく油っぽさがあり。どう考えても本物のエキストラバージンでは無い。揚げてみたら、やはり散々な揚げ物に。。でも、そのボトルには「サラダにお使いください」と書いてありました(苦笑)
実は、この品を買う前にラベルをよく確認していませんでした。ラベルについては、こちらをご参照ください。
オリーブオイルが本物かラベルで判断する方法をご案内します
本物のオリーブオイル、味の責任を持つのはインポーターだと思います。
本物のオリーブオイルは、生産者からお客様の手に渡るまで、様々な人の手を経ていきます。
オリーブオイル生産者、イタリア国内外のオリーブオイルの買い手(オリーブオイルインポーター、輸入者)、生産地から外国含む消費地までの輸送をされる方に、問屋さん、小売店これらの過程ごとに本物のオリーブオイルと偽物のオリーブオイルが入れ替わったり、本物だったはずの味が変わってしまったりします。
このオリーブオイルがお客様の手に渡るまでの間で、1番関与が長いのがオリーブオイルインポーター(輸入者)です。本物のオリーブオイルの生産者「探し」から問屋さん、場合によっては小売店まで関与しますので、本物のオリーブオイルをどれだけ美味しくお届けできるかは、オリーブオイルインポーター(輸入者)の仕事次第です。しっかり手間と費用をかけてあげれば、オリーブオイルは本物のままで、美味しいままでお客様へお渡しできます。
オリーブオイルのインポーター(輸入者)の中には、官能検査ができる機関に本物かの鑑定をお願いする場合があります。
実は、私はそのような機関を使ったことがありません。その替わりに輸入毎に必ず味見をしています。
10年近く同じ商品を入れているので、味を知っていると申しますか馴染んでいるから分かります。畑の状態によって、微妙に味が変わることがあるのですが、それは事前にメールなどを通じて知っていますから、「なるほど」と思う味になります。良い品は、職人さんの仕事ぶりを職人さんに替わって主張すると思います。それは本物だからですね
オリーブオイルインポーターが、本物か偽物かの味の判定を外部に任せる理由
オリーブオイルのインポーター(輸入者)が外部機関に味の検査を任せる理由は、専門家に判定してもらうのが良いというのが表向きの理由ですが実は、オリーブオイルの輸入自体が副業のため、オリーブオイルの味をよく知らない輸入者もいます。
また、オリーブオイル含めて食品の輸入をしている会社だとしても、日本に到着したオリーブオイルを自らの目で確かめないで出荷する輸入者もいます。オリーブオイルが港や空港に着いたら、通関業者や倉庫会社に通関と検品・出荷作業などの業務一式を外注するのは非常によくある話です。
でも、この外注を受託する会社の人達は、オリーブオイルには素人の方々です。味見はできませんし、商品の梱包のが少し雑になったなど、イタリア側の仕事に微妙な変化があっても気がつけません。オリーブオイルの作り手の目利きから、商品の味見含めた検品や出荷などは、オリーブオイルのインポーターしか責任持って行えないと私は思います。
本物のエキストラバージンオリーブオイルを味で見分ける方法のまとめ
そのエキストラバージンオリーブオイルが、酸度などの基準を満たしているか、オリーブオイル以外のものが混ざっていないか位までは、ティスティングすると分かります。
本物のエキストラバージンオリーブオイルは、オリーブの実の生搾りジュース。飲めて当たり前で油っぽくありません。植物油を混ぜると後味が油っぽくなります。この油っぽい味は、劣化してしまったエキストラバージンオリーブオイルからも生じます。
オリーブオイルの味のうち辛味や苦味は、かなり強くてもオリーブオイル本来の味の可能性があります。辛味や苦味はポリフェノール由来になります。オリーブオイルはポリフェノールが豊富な食品です。
辛味や苦味以外の変な味、強い油っぽさや蒸れたような味がする場合は、オリーブオイルが偽物か劣化している可能性があるので召し上がるのはおすすめできません。