美味しいオーガニックオリーブオイルの条件をご紹介します

美味しいオーガニックオリーブオイルは、珍しい

イタリアでもオーガニック製品は人気のため、オーガニックオリーブオイルを作っている生産者はたくさんいます。

でも、オリーブオイルでオーガニックなものは美味しくないと思っているオリーブオイル生産者が多いです。

その理由は、オリーブの実を絞る前に、美味しい実から順に害虫が食べてしまうから。多くのオーガニックオリーブオイル農園では、残った美味しくないオリーブの実を使ってオリーブオイルを絞ることになってしまうからです。

でも一定の条件を満たせば、美味しいオーガニックオリーブオイルを生産することができます。

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美味しいオーガニックオリーブオイルは害虫との戦い

美味しいオーガニックオリーブオイルを作るのは、害虫(オリーブミバエ)との戦いです。

夏の乾季は、オリーブの実が硬くなっているので、実に害虫が入りにくいのですが、熟して美味しそうになった収穫間近のオリーブの実は柔らかくなります。

その頃から、オリーブの実に害虫が付き始めるのですが、オーガニック生産のため薬剤は使えません。

生産者にとって、唯一無二の味方は自然。害虫のオリーブミバエは、最低気温が15度を下回る頃から減ってきます。そのため、オリーブオイル生産者は、早く寒くなることを祈ります。

とは言えども、ある程度温暖な気候で無いと、美味しいオリーブの実はできません。オリーブ生産の北限地に、美味しいオリーブオイルの産地が無いのも、その理由です。

完熟したオリーブの実

美味しいオーガニックオリーブオイルを作れる条件

そこで、頼りになるのが標高です。標高が高い方が早く寒くなります。

え、山の上なら、それはそれで寒いのでは?と思われるかも知れませんが、元々オリーブの栽培限度は標高600m、関東だったら高尾山くらい、関西だったら、五山送り火の如意岳は472mですから、それよりもちょっと高いくらいです。

その程度の高さですから、夏は十分暖かいです。それに夏の暑さも美味しいオーガニックオリーブオイルに必要なのです。

その程度の高さの山なら、いくらでもあるように思われるかも知れませんが、イタリアって平べったいのです。それに、オリーブの実は、収穫後24時間以内に搾らなければ、美味しいオリーブオイルになりませんし、オリーブの実を搾るには動力も必要です。

昔は、下の写真のような大きな石臼でオリーブの実を潰していました。動かすのに人力や牛馬の力を動力にしていたところが多いらしいのですが、山の上にオリーブ農園を作ったら、麓まで運ばなければならないので、かなり非効率です。そのため、結果的になだらかな丘にオリーブ農園が多く存在することになっています。

オリーブ搾油用の石臼

美味しいオーガニックオリーブオイルは自然の賜物

美味しいオーガニックオリーブオイルには、秋に早く寒くなることと同じように夏の暑さも必要です。

暖かさがオリーブの実を美味しくするのと同時に、暑い方がオリーブミバエの発生が少なくなるからなのですが、だいたい35度を超えると発生が少なくなると言われています。

そのため猛暑は、美味しいオーガニックオリーブオイルにとって嬉しいことなのですが、農園によっては水不足になることがあります。この絶妙なバランスが取れると、美味しいオーガニックオリーブオイルを作ることができます。

美味しいオーガニックオリーブオイルの入手法

美味しいオーガニックオリーブオイルには、生産場所に色々な条件が必要とご案内しました。

私も何十カ所と農園を巡っていますが、この条件に当てはまっているオリーブ農園は、2,3カ所でした。

美味しいオーガニックオリーブオイルを作る農園と言われて行っても、「ここで作っちゃ駄目じゃん」という農園が結構ありました。多くの場合は、標高が低すぎたのですが、そういう農園でも夏が猛暑だったら、そこそこ美味しいオーガニックオリーブオイル採れるかも知れませんが、作柄は安定しませんよね。

高地のオーガニックオリーブオイル農園

私が一番良いと思った農園のオリーブオイルを、ぜひご覧になってみてください。上の写真をクリックいただくと農園のことなど詳しくご案内しています。

この畑は、標高が450mから600mに広がっています。オリーブの搾油に必要な動力も水車から得ることができています。

農園を開いた人は、200数十年前に海軍を退役した軍人さん。当時水車は貴重な動力源で、国王が所有していたらしいのですが、長年軍隊で勤め上げた功績から、借りることができたらしいです。

そうなんです、日本だったら江戸時代にあたる200年前から、ずっとオーガニックオリーブオイルを作っています。

そのためか、ここのオリーブの実は、少し種や実が大きめです。厳しい環境の方が、農作物って美味しくなりますよね。

味わいは、辛味苦味が少ないですけど、そのしっかりしたオリーブの実のおかげで十分力強い味です。香りもふくよか。でも、食材の味を邪魔するようなことはありません。

なぜなら、この農園のオリーブオイルの販売先である麓の町は、大昔から魚介類をたくさん食べる地域です。その繊細な味の魚介類を美味しくするために、長い年月をかけて栽培技術を磨き、美味しいオーガニックオリーブオイルを作ってきました。きっと、日本の食卓にも合います。実は、このオリーブオイルと納豆は、ビックリするくらい美味しいです!

納豆とオリーブオイル

美味しいオーガニックオリーブオイルのまとめ

美味しいオーガニックオリーブオイルには、自然環境が重要になってきます。害虫が多くなる秋に早く寒くなって、害虫が少なくなる畑と言うことと、夏は、ちゃんと暑くなる畑。暖かくないと美味しいオリーブの実ができません。

私はこのオリーブオイルを飛行機で運んだり、定温庫で管理したり考えられる一番美味しい方法でお客様にお送りしております。まだまだ無名なオリーブオイルですが、2007年からずっとお求めいただいているお客様がたくさん居てくださっています。ぜひ一度、ご覧になってみてください。

hinatano商品リンク

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ヒナタノ店主・加藤 昭広

おいしいもので喜んでいただくことが大好きです。おいしいものを探してイタリアへ移住。気がついたら仕事になっていました。
自他ともに認めるオリーブオイル ヲタクです。
このブログでは、おいしい話しやイタリアの職人さんたちから聞いた小ネタを紹介しています。