農園によっては、大変な不作の2016年のオリーブオイルについて

完熟した収穫期のタジャスカ種のオリーブ

2016年産のオリーブオイルは非常に珍しい出来具合

2016年のオリーブオイルは、地域と言うより農園ごとに出来が良い所と悪い所があるようです。
不作の原因は、害虫被害。これまで聞いている状況をご案内します。

 


 

2016年産のオリーブオイルが不作の原因

2016年のエキストラバージンオリーブオイル(以下オリーブオイル)の出来具合が、なぜ農園ごとにバラバラになってしまっているかですが、害虫対策のために農薬を散布したタイミングと、季節外れの雨が降ったタイミングが関係しています。

イタリアも農薬の使用は厳しいので、いくらでも使用して良いわけではありません。また散布のタイミングも農園によってバラツキがあります。

どうやら、オリーブの収穫間近で、農薬が使用できない状態の時に天候異常が重なりオリーブの害虫オリーブミバエが発生してしまったところが大被害を受けているようです。そのためオリーブ農園によって出来不出来に差があるみたいです。

虫食いが少ない有機栽培エキストラバージンオリーブオイルの畑の実

 


 

ブルーナの農園は、未だ新物オリーブオイルは出荷できません。

hinatanoで扱っているブルーナのオリーブオイルは、有機栽培です。そのため元々農薬は使えないのですが、このオリーブ農園の害虫への強みは標高と気候。オリーブの実が熟しだした後、害虫が生存できる気温15℃を下回れば害虫被害に遭わないのですが、どうやらそうならなかったようです。

標高が高く良い条件の有機栽培エキストラバージンオリーブオイルの畑

この農園は、タジャスカ種というオリーブを育てています。
この品種は、同じ1本のオリーブの木でも実ごとバラバラに熟していきます。

通常は10月下旬からオリーブの収穫と搾油をはじめて、11月の初旬から中旬には新物オリーブオイルを出荷するのですが、未だ新物オリーブオイルを出荷できずにいます。満足のいくオリーブオイルになってないみたいです。

このあと残りのオリーブの実が全て使えたとしても、収穫量は例年の半分。価格もかなり上がることになりそうです。

でも、こういうオリーブオイルと自分の仕事に拘る姿勢が、本物のオリーブオイルを送ってくれているという私の安心感に繋がっています。

頑固で一流のオリーブオイル職人

この人が農園を守っているヴィンセンツォ・ブルーナさんです。
社長業をさっさと息子に譲って、山の仕事をしている根っからの職人さんです。

 


 

偽物が出てきそうな2016年産のオリーブオイル

オリーブオイルの偽物は以前から言われていたこと。
それでも、健康に害があるものが混ぜられているオリーブオイルと言うのはイタリアでは稀です。
産地偽装がイタリアの偽物オリーブオイルのよくあるパターンです。

ご案内したとおり、2016年のオリーブオイルは場所によって大変な不作です。
こういう時にどんなものが出てくるかと言いますと

1.オリーブオイルの出来が良かったのに便乗値上げしてくる
2.大豊作だった2015年産を新物と偽って売る
3.出来が良かったトルコ周辺のオリーブオイルを使用して産地偽装

だいたいこんな感じです(苦笑)今の取引先は、こんな事はやらない人達ですから安心なのですが、このあと来年にかけては新しいオリーブオイル生産者を探すのは止めておいた方が良さそうです。超売り手市場ですから。

 


 

まとめ 2016年のオリーブオイルの出来具合

2016年のオリーブオイルは、農園単位で出来が良かったり悪かったりしています。1番の理由は、害虫対策の農薬を散布したタイミングと害虫が発生したタイミング。収穫間近で農薬が使えない時に、運悪く害虫が発生してしまった農園が被害を受けているようです。

ブルーナ家の農園は、有機栽培なので元々農薬は使いません。この農園はオリーブが熟したらすぐに気温が低くなり害虫がいなくなるのが特徴だったのですが、今年は気候がおかしかったようです。もうすぐクリスマスにも関わらず、未だ新物オリーブオイルを出荷できずにいます。

ブルーナ家は大変だと思います。私が知る限り1985年の大寒波以来の天災です。
心のこもったブルーナのエキストラバージンオリーブオイルの入荷は、来年になりそうです。

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ヒナタノ店主・加藤 昭広

おいしいもので喜んでいただくことが大好きです。おいしいものを探してイタリアへ移住。気がついたら仕事になっていました。
自他ともに認めるオリーブオイル ヲタクです。
このブログでは、おいしい話しやイタリアの職人さんたちから聞いた小ネタを紹介しています。