新鮮で美味しいオリーブオイルを仕上げにたっぷりえば、料理に乳化は不要
「美味しいオリーブオイルベースのパスタをつくるには、オイルを乳化させましょう。」と聞かれた事がありますか?
実はイタリアでは聞いたことがありません。
イタリア人は、油っぽい料理に慣れているからと思われるかも知れませんが、彼らも油っぽい料理は嫌います。
本日は、美味しいオリーブオイルベースのパスタの料理法と時折耳にするオリーブオイルの”乳化”について。
オリーブオイルの料理に”乳化”という発想は、イタリアにはありません。
もともと乳化とは、フランス料理のソースを作る技術です。
私のところには、200冊くらいイタリア語の料理の雑誌や本があります。イタリアにいる頃、なかなか入れる厨房が見つからなくて買いあさった本達ですが、「パスタは乳化させたオリーブオイルで仕上げましょう」という記述はありません。
それに、その後働いた店でも乳化をさせたことはありませんでした。
お料理の技術で乳化の目的は、油を水分と混ぜてサラッとさせること。
でもイタリア料理に使用するエクストラバージンオリーブオイルは、オリーブの実の生搾りジュース。
鮮度が良ければ油っぽく無いので不要です。火を止めてから仕上げにたっぷりかけても大丈夫です。
では、なぜ日本では乳化が必要と言われてきたかという理由ですが、このあたりかなと思います。
1.イタリアとオリーブオイルの使い方が違う
パスタを作る最初の工程、ニンニクとオリーブオイルで作る”アーリオオーリオ”の段階でたっぷりオリーブオイルを使って、火を止めてから仕上げのオリーブオイルをかけない。これなら料理の中にあるのは、加熱されたオリーブオイルだけですから、乳化は必要だと思います。
2.オリーブオイルの鮮度が悪い
オリーブオイルは輸送中などに熱が上がると油っぽくなります。鮮度の悪いオリーブオイルなら乳化が必要かも
3.日本でのイタリア料理が紹介され始めた頃のなごり
日本にイタリア料理を最初に紹介された方々は、フランス料理を学んだ方々です。後からお話ししますが、日本にイタリア料理が紹介された最初の頃は、良質なオリーブオイルを手に入れる事は困難でした。サラダ油などオリーブオイルの代用品で作ったお料理をできるだけ軽くするために、フランス料理の技法を取り入れたのかも知れません。
イタリアと日本の食べ方の違い
同じ食べ物でも食べ方が違うことがありますよね。例えば食後のカプチーノ
カプチーノは、イタリアではそれ自体が軽食のようなもの。朝食にカプチーノと甘いパン。小腹が空いて間食にカプチーノ。こんな感じです。
食後にカプチーノというのは、食後に更に軽食を摂るようにイタリア人は感じるみたいです。
日本のオリーブオイルと料理の歴史から見える”乳化”
では、なんで「乳化」というのが出てきたかと言うと、恐らくイタリア料理店草創期に話は遡ります。
日本でイタリア料理店ができはじめたのは、昭和30年前後です。この時代食材の調達は大変のようでした。今でこそオリーブオイルは簡単に手に入りますが、実は、輸入が増え出したのは1990年代のバブル期「イタメシブーム」からです。
それ以前は、イタリア産オリーブオイルはかなり稀少な品だったと思います。小豆島ではオリーブオイルを生産していましたが、かなり高価で一升瓶1本10万円で取引されていたと聞きます。健康食品として扱われていたようです。
さて、そうなると手に入る食材で代用しなければならない。サラダ油とバターなどで、それらしく作り込んだらしいです。サラダ油をそのままパスタにかけたら大変なことになるので、「乳化」が必要だったようです。
20年ほど前の話ですが、サラダ油を使用したパスタのレシピが老舗イタリア料理店に残っていると聞いた記憶があります。
まとめ 美味しいオリーブオイルベースのパスタのつくるには
1.”アーリオオーリオ”の段階で、オリーブオイルを入れすぎない。
※一人前大さじ1~2程度だと思います。
2.鮮度が良いオリーブオイルを仕上げにかけましょう。これで料理が軽くなります。
3.「乳化」はさせなくても美味しく出来ます。もっとお料理を軽くされたい方は乳化しても良いかも知れません。
でも、オリーブオイルの味は薄くなると思います。”乳化”の目的は水分を混ぜて味を軽くする事ですから。