高級パスタはなぜ高級
高級パスタと言われるパスタがあります。
一見すると、量産品のパスタと箱やラッピング以外、あまり変わりません。
それに、安価なパスタも、時折ビックリするくらい安い価格のパスタがありますよね。
パッケージを見ただけでは、なかなか分からない、パスタの値段の違いの理由をご案内します。
高級パスタと量産品パスタの違い まずは原材料
まず、高級パスタと量産品のパスタの違いの基になる、原材料などの経費についてご案内します。
高級パスタの原材料で、1番コストがかかるのが小麦粉。
パスタの原材料名で、デュラム小麦のセモリナ粉と耳にされることがあると思いますが、それは
・デュラム小麦が小麦の品種名
・セモリナ粉は粉の挽き方
になります。
デュラム小麦は硬くグルテンの含有量が多くて、いわゆる腰が強い強力粉です。
セモリナ粉は、挽き方のうち”粗挽き”という意味です。この二つの組み合わせがパスタの基本になります。
セモリナ粉は粗挽き粉なので、茹でてもお湯の表面に膜ができません。そのため多少強火で茹でても、パスタは吹きこぼれないのをご存じですか?もし、吹きこぼれたら、原材料の何かが、標準的なパスタと違うのだと思います。
下の写真をご覧下さい。これは、あるイタリア産のパスタを強火で茹でている写真です。
私が取り扱っているパスタでは無いのですが、好きなパスタだったので、個人的に購入して食べていました。
左の下に細かい泡が出ています。実は、この様な細かい泡は、本来パスタを茹でるときには出ない泡です。このパスタも以前は出ていませんでした。
味も美味しくなくなってしまったので、きっとセモリナ粉以外のものが加わってしまっているのだと、思いました。
さて、高級パスタと量産品のパスタの違いに小麦粉の調達先があります。
イタリア産のパスタでも、使用する小麦は、かなりの比率を輸入に頼っています。量産品で安価なものは、それなりの国や地域から輸入しています。
小麦の輸出国ですが、EU アメリカ カナダ オーストラリア ロシア。このあたりはよく知られていますが、ここ5年輸出量が増えているのは、ウクライナ アルゼンチン カザフスタン トルコ インドです。
日本で有名なイタリアのあるパスタメーカーも、材料の小麦は、確かほぼ輸入に頼っていたはずです。しかし小麦粉の原産国表記は義務になっていないので書かれていません。
ただ、中には良心的な生産者もいて、詳しく書いてある場合もあります。下の写真は、最近仕入れたカムット小麦のリガートニですが、カナダ産カムット小麦を使用しています。
このパスタのシリーズは、オーガニックで、更に品種改良されていない原種の小麦を使用しています。そのカムット小麦は、現在カナダにしか無い見ないです。
パスタについては、ぜひ食品ラベルはご確認ください。とても重要な事が、書かれていることがあります。
本来パスタは、小麦粉と水で作るものですが、中にはイタリア産の輸入品でも、添加剤が使用されていることがあります。
同じパスタでも、イタリア現地と日本で味が違った件
かなり昔の話です。
イタリアのとあるパスタメーカーのパスタを、イタリアに渡った日本人シェフの人達が持ち込んで、高級パスタとして有名になったことがありました。
そして、そのパスタメーカーの販売ライセンスを、日本の会社が取得したまでは良かったのですが、どうも、日本の会社経由で買うと味が違ってしまった。
シェフの人達がクレームを付けても、当初その会社は、同じものだと否定をしておりましたが、色々調べて行くとやはり違っていたようです。その後改良されたみたいですが、今でも私は、その銘柄については、並行輸入品のパスタの方が美味しいと思っています。1.4mm以下の細い麺を食べ比べれば、腰の強さの差などを感じます。
高級パスタ味の違いは甘味や歯ごたえ
パスタに使用する粉は、調達先以上に、どのように生産された小麦かと言うことでも差が大きく出ます。
有機栽培の小麦粉は、今では、あまり珍しくありませんが、最近注目されてきているのは、約70年前の「緑の革命」と呼ばれているよりも前の小麦です。
「緑の革命」とは、小麦が画期的に品種改良された時の総称のようです。
元々小麦は、背が高くて、肥料などをたくさん与えて実がたくさん成ると、頭が重くなって倒れてしまいました。
そこで、小麦の背を低くする品種改良が、70年ほど前から始まったのですが、そのことを緑の革命と言うらしいです。
小麦の背が低くなり、肥料を与えられる量が増えたので生産量も増え、食糧供給には大変良かったらしいのですが、マイナスの側面もあって、含まれるミネラル分などが、貧す改良前の小麦より、減ってしまいました。昔の味と栄養バランスが失われたみたいです。
この緑の革命(品種改良)前の、遺伝子学的にピュアな小麦は、世界に2~3%程度しか流通していません。
高級パスタの甘みは、乾燥の温度と時間
小麦粉の質のほかにも、パスタの美味しさは、乾燥時間と温度によって大きく変わります。
パスタの理想的な乾燥温度は、40℃くらいです。その温度で、ゆっくり乾燥させると、パスタのデンプン質が、甘みに変わってきます。
手間暇かけて、ゆっくり乾燥させる。ただ、この方法だと、乾燥する場所が必要になるので、大量生産できないんです。乾燥場所を増やせば良いような気もしますが、広くしたら、人手も設備費も増えてしまいます。
ですから、良い乾燥させたパスタは高価になってしまいます。
一方、安価な量産品のパスタは、パスタが割れない程度の高温で、できるだけ短時間に乾燥させます。
時間あたりの生産性を増やせば、その分安く作れる。というみたいです。
まとめ 高級パスタと量産品パスタの違い
高級パスタと量産品のパスタの違いは、原材料と手間暇から生じる味の違いです。
良い小麦を使って、手間暇かけたパスタは、歯ごたえや甘味が美味しいです。
そのような美味しいパスタが手に入ったら、塩で茹でただけのパスタに、良いオリーブオイルをかけて召し上がってみてください。それだけで最高に美味しい時間が楽しめます。
よろしければ、下の写真をクリックされてみてください。商品ページになりますが、もの凄くこだわったパスタをご紹介しています。
そのパスタは、日本では、あまり知られていませんが、欧米では、下のリストにあるような、ミシュランガイドで星を取ったシェフ達に愛用されています。
◆Massimo Bottura(マッシモ・ボットゥーラ)
店名:Osteria Francescana(オステリアフランチェスカーナ)
ミシュラン・ガイド2015 – 3つ星
◆Carlo Cracco(カルロ・クラッコ)
店名:Ristorante Cracco(リストランテクラッコ)
ミシュラン・ガイド2015 – 2つ星
◆Norbert Niederkofler(ノーベルト・ニーデルコフラー)
店名:St. Hubertus(セント・ハーバートゥス)※Hotel Spa Rosa Alpina内
ミシュラン・ガイド2015 – 2つ星
◆Davide Scabin(ダヴィデ・スカビン)
店名:Combal.Zero(コンバルゼロ)
ミシュラン・ガイド2015 – 2つ星
◆Andrea Berton(アンドレア・ベルトン)
店名:Ristorante Berton(リストランテベルトン)
ミシュラン・ガイド2015 – 1つ星
◆Luca Fantin(ルカ・ファンティン)
店名:BVLGARI Il Ristorante(ブルガリ イルリストランテ)
ミシュラン・ガイド2016東京 – 1つ星