オリーブオイルは極めて酸化しにくい食物油
エキストラバージンオリーブオイルを買って一番心配なのは酸化すること。
そのため小さなボトルを好んで買われる方もいらっしゃいます。でも実は、オリーブオイルは極めて酸化しにくい食物油です。一度開封しても栓をしておけば、2,3ヶ月は平気です。その理由をご案内します。
エキストラバージンオリーブオイルが酸化しにくい理由
油や脂肪酸の記事を読むと専門用語だらけで分かりにくいのです。できるだけ簡単に。
オリーブオイルが酸化しにくい一番の理由は、主成分が酸化しにくいオレイン酸だということです。
酸化のしやすさは、炭素原子間の二重結合(不安定な箇所)の数が影響しますが、オレイン酸はひとつしかありません。
二重結合がゼロというのは、バターやラードに代表される飽和脂肪酸になります。
更にオリーブオイルには抗酸化物質のポリフェノールもたっぷり入っているので極めて酸化に強いのです。つまり酸化されにくいオレイン酸が主成分のオリーブオイルは、健康に良いとされる食物油の中で一番酸化しにくいということになります。
私は仕事柄、ちょっと味見しただけで栓をして、数ヶ月そのままにしているエキストラバージンオリーブオイルが何本もあります。味が油っぽくなってしまうことはありますが、酸化したことはありません。
油っぽくなった品でも、油っぽい上の部分取り除いてみると残った部分は結構美味しいままだったりします。取り除いたオイルは、炒め油に使用しています。
ワインの保存用にエキストラバージンオリーブオイル
イタリア人の人達と話していると、「オリーブオイルは酸化しない」と言います。化学的に説明申し上げるのは、私自身難しいので昔話をひとつ
その昔 (と言っても第二次大戦前後くらいらしいのですが) ワインは大きな壺で保管して計り売りをしていました。
今のように空気抜きの装置はありませんでしたから、ワインの酸化防止のために空気とワインを遮断するのに使用されていたのがオリーブオイルです。
ワインの上からオリーブオイルをたくさん注いで、オイルの層を作り空気を遮断していました。
オリーブオイルも油ですから、ワインに混ざることは無く上に浮く。という塩梅です。
ワインを瓶に注ぐ時には、壺の下側の注ぎ口からか、注ぎ口が無い壺の場合は、上から管上のものをオリーブオイルの層を通して入れてました。
酸化した臭いがするエキストラバージンオリーブオイルは
でも、「持っていたエキストラバージンオリーブオイルが、酸化臭がしたから捨てた」という方もいらっしゃると思います。
実は開封後に酸化臭が出る場所は、ほぼ瓶の注ぎ口周辺です。
注ぎ口は外れますので、周辺をペーパータオルなどできれいに拭き取れば、酸化臭はほとんどの場合無くなります。
オリーブオイルは酸化に極めて強い食物油のまとめ
1.オリーブオイルは、酸化しにくいオレイン酸が主成分。更には抗酸化物質のポリフェノールも入っているので、開封しても栓をしておけば2,3ヶ月平気
2.開封後に酸化臭がしてしまったオリーブオイルの臭いの発生源は、注ぎ口周辺。きれいに拭き取れば臭いは無くなる。
酸化に強いと言っても、やはり鮮度が良いものが美味しいです。
hinatano 加藤 昭広