本日は、美味しいオリーブオイルとは別の話を
私が食の勉強のために住んでいたフィレンツェには、名物料理があります。
ビステッカ アッラ フィオレンティーナ Bistecca alla fiorentina
フィレンツェ風ステーキというやつです。
なんてことはない、でっかい骨付き肉のでっかいステーキですが、これには決まりがあります。
1.キアニーナという牛のTボーンステーキであること
2.大きさは最小で1kg
3.炭火を使用すること
4.焼き方はレアであること
だいたいこんな感じです。
さて、フィレンツェに行くと必ず味わえるかというと、残念ながら、これを守っているお店は少ないです。
まず、お肉。
キアニーナというのは、トスカーナ州南部のキアニーナ谷に生息しているイタリア古来種です。
実は、フィレンツェでキアニーナを使用しているお店は、非常に少ないです。
確かフィレンツェのレストランは、400軒くらいあるはずなのですが、私の知る限り1,2店のはずです
使用していない理由は、成長のスピードが遅いので生産量が少なく、非常に稀少な牛肉だからです。
「うちは、キアニーナを使っているよ」と言っているお店も、仕入れ先とか聞いていくと、100%のキアニーナではなくて、成長のスピードが速い、ほかの品種牛との掛け合わせの50%キアニーナだったりします。
次に大きさ
外側を強火の炭火で焼く、このステーキには、最低1kgの大きさが無いと独特の香ばしさが出せません。
確か最大で3kgくらいまでは、調理できたと思います。
私は、2kgまでの経験があります。さすがに一人では無理なので、家内といただきました。
炭火であること
実は、これが守れていないお店が非常に多い
ガスで焼くと、お肉の中心部あたりが微妙に水っぽくなるし、外側の香ばしさも出てこない
50%キアニーナだとしても、ちゃんと炭火で焼けば、結構な美味しさになります。
レアであること
理由は、、、フィレンツェ人の好みだと思います(笑)
時折、観光客の方が「火を良く通して」と注文されるのを目にしましたが、それでは別の料理になってしまう。
鰹のたたきも、中まで火を通したら”焼き魚”になって別物になってしまうでしょ?
レアですので、焼いてから肉汁が落ち着くまで一定の時間が必要です。
焼いた後、すぐに出してくるお店もあるのですが、そのお店は手抜きをしていると私は思います。
さて、先日のイタリア行きでは、残念ながら時間が無くて知っている名店には行けず、
よくいく地元の人向けの食堂で頂戴しました。
これはこれで、なかなかいけました。
前菜、付け合わせ2品、970gのビステッカとサンジョベーゼの赤ワイン1本にグラッパ。締めて55ユーロなり。
地元向けは安いと言いますが、これが元々の値段。中心部は高すぎ
15年通って、初めて常連用の席TAVOLO SOTTO Al’BANCO(カウンター下の席)に通されました。
帰ってきてからは、数年に一度の訪問ですが、もしかしたら顔を覚えてくれていたのかな?
家族経営のお店なので、みんな均等に歳を取っているのが面白い。
まぁ、私もですけどね。
株式会社 il Bianco 加藤昭広