「名物に美味い物なし」と言いますが、これは、本物食べればかなり美味しいです。

本日は、美味しいオリーブオイルとは別の話を
私が食の勉強のために住んでいたフィレンツェには、名物料理があります。
ビステッカ アッラ フィオレンティーナ Bistecca alla fiorentina
フィレンツェ風ステーキというやつです。

Bistecca alla fiorentinaフィレンツェ風ステーキ。私の知っているリベルタ広場のペルセウスというお店の一皿です。最後の訪問は、もう5年以上前。無理してでも行けばよかった。。

Bistecca alla fiorentinaフィレンツェ風ステーキ。私の知っているリベルタ広場のペルセウスというお店の一皿です。最後の訪問は、もう5年以上前。無理してでも行けばよかった。。

なんてことはない、でっかい骨付き肉のでっかいステーキですが、これには決まりがあります。

1.キアニーナという牛のTボーンステーキであること
2.大きさは最小で1kg
3.炭火を使用すること
4.焼き方はレアであること

だいたいこんな感じです。
さて、フィレンツェに行くと必ず味わえるかというと、残念ながら、これを守っているお店は少ないです。

まず、お肉。
キアニーナというのは、トスカーナ州南部のキアニーナ谷に生息しているイタリア古来種です。
実は、フィレンツェでキアニーナを使用しているお店は、非常に少ないです。
確かフィレンツェのレストランは、400軒くらいあるはずなのですが、私の知る限り1,2店のはずです
使用していない理由は、成長のスピードが遅いので生産量が少なく、非常に稀少な牛肉だからです。

「うちは、キアニーナを使っているよ」と言っているお店も、仕入れ先とか聞いていくと、100%のキアニーナではなくて、成長のスピードが速い、ほかの品種牛との掛け合わせの50%キアニーナだったりします。

次に大きさ
外側を強火の炭火で焼く、このステーキには、最低1kgの大きさが無いと独特の香ばしさが出せません。
確か最大で3kgくらいまでは、調理できたと思います。
私は、2kgまでの経験があります。さすがに一人では無理なので、家内といただきました。

炭火であること
実は、これが守れていないお店が非常に多い
ガスで焼くと、お肉の中心部あたりが微妙に水っぽくなるし、外側の香ばしさも出てこない
50%キアニーナだとしても、ちゃんと炭火で焼けば、結構な美味しさになります。

レアであること
理由は、、、フィレンツェ人の好みだと思います(笑)
時折、観光客の方が「火を良く通して」と注文されるのを目にしましたが、それでは別の料理になってしまう。
鰹のたたきも、中まで火を通したら”焼き魚”になって別物になってしまうでしょ?

レアですので、焼いてから肉汁が落ち着くまで一定の時間が必要です。
焼いた後、すぐに出してくるお店もあるのですが、そのお店は手抜きをしていると私は思います。

このお店のBistecca alla fiorentina。これで970g。ただのテーブルナイフで切るところが地元の人向け(笑)これで970gです。

このお店のBistecca alla fiorentina。これで970g。ただのテーブルナイフで切るところが地元の人向け(笑)これで970gです。

さて、先日のイタリア行きでは、残念ながら時間が無くて知っている名店には行けず、
よくいく地元の人向けの食堂で頂戴しました。
これはこれで、なかなかいけました。

前菜、付け合わせ2品、970gのビステッカとサンジョベーゼの赤ワイン1本にグラッパ。締めて55ユーロなり。
地元向けは安いと言いますが、これが元々の値段。中心部は高すぎ

この席は、すぐ隣のカウンターで、カメリエーレ(給仕)が、前菜用のサラミや生ハムを切っているので、注文もし易いし、「それ美味しそうだから頂戴」みたいなこともできます。ちなみにこのお店、伝票は無く食べたものは自己申告(笑)

この席は、すぐ隣のカウンターで、カメリエーレ(給仕)が、前菜用のサラミや生ハムを切っているので、注文もし易いし、「それ美味しそうだから頂戴」みたいなこともできます。ちなみにこのお店、伝票は無く食べたものは自己申告(笑)

15年通って、初めて常連用の席TAVOLO SOTTO Al’BANCO(カウンター下の席)に通されました。
帰ってきてからは、数年に一度の訪問ですが、もしかしたら顔を覚えてくれていたのかな?

家族経営のお店なので、みんな均等に歳を取っているのが面白い。
まぁ、私もですけどね。

株式会社 il Bianco 加藤昭広

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ヒナタノ店主・加藤 昭広

おいしいもので喜んでいただくことが大好きです。おいしいものを探してイタリアへ移住。気がついたら仕事になっていました。
自他ともに認めるオリーブオイル ヲタクです。
このブログでは、おいしい話しやイタリアの職人さんたちから聞いた小ネタを紹介しています。