いつもありがとうございます。
2月4日(木)にロイター通信から配信されてたイタリアのオリーブの実とオリーブオイル偽装に関しての記事について、時折お客様からお問い合わせをいただいたり、配達先でも話題になったりいたします。お手元のオリーブオイルが本物か、ご心配されている方も多いと思います。そこで、オリーブオイル輸入者の私の視点から、知っている事を踏まえて推察してみます。先週メルマガ会員の方に配信させていただいた内容と重複いたします。ご容赦下さい。
「硫酸銅まぶしたオリーブや偽オリーブ油を押収、イタリア警察」
前々から、偽装オリーブオイルの事は、時折雑誌やネットの記事に出ていました。
購入される方からすると、とても不安になると思います。
私も、そのような品を買わされるリスクがありますので、気をつけています。
どのように気をつけているかをご紹介します。
まず、オリーブオイルメーカーの業態によってリスクが違います。
オリーブオイル生産者には、大きく分けて2種類あります。
1.オリーブの実を自社農園で生産したり、近隣の農家から買って搾油する業態
2.オリーブオイルを問屋から購入してブレンド(味の調整)とボトル詰めをするブレンダーと言われる業態
前者のオリーブの実を自社で搾油生産している場合は、味や木の本数に対して生産量が多すぎる。等々、長い付き合いをして細かく見ていれば「おかしなこと」が発生したときに気づけます。特に味に関しては、今回問題になっているイタリア域外のオリーブ品種を混ぜたら大きく変わってしまいます。※私の仕入れ先は現在全てオリーブ自社搾油生産のメーカーです。
気になるのはブレンダーです。既に数千トンが日米に販売されているという今回の報道が正しかったとすれば、恐らくブレンダーにこれらの品が渡っていたのでは無いかと私は思っています。なぜなら仮に1,000トンとしても、500mlボトル200万本分になるからです。大規模な瓶詰め施設が必要になります。
ブレンドが不自然な品の見分け方
実は、ブレンダー自身もオリーブオイル問屋から騙されている場合があります。プロの彼らでもそうですから、消費者の立場見分けるのはとても難しいと思います。唯一簡単に目安にできるのは価格だと思います。数年前イタリアのオリーブオイル生産組合の方と話したとき、一定の価格以下のイタリア産オリーブオイルは、イタリア産で無い可能性が高いと言われました。その理由は、あまりにも安すぎると「イタリアの生産者が生活できない」というものです。
イタリア産の場合の価格帯の目安
その時に言われた価格を基に、現在の価格で類推すると定価で1リットル3,000円前後です。かなり安いですが、オリーブの生産量が多くて実の重量あたりの搾油率が高く、産地周辺の物価(人件費)が低いところなら、あり得るかも知れません。
と言いますのは、オリーブオイルの価格は、実はイタリア国内の産地によって倍近くの違いがあります。なぜなら、オリーブの品種や収穫時期の違いによるオリーブの実の重量あたりの搾油率や、生産地の物価相場(人件費)など、いろいろな要因から決まるので基準を明確にするのは難しいのです。しかし、この3,000円を大幅に下回るようなら、私はイタリア産を疑ってかかります。
なんとも歯切れの悪いご案内ですが、類推なのでご容赦下さい。もしかしたら、もの凄いコスト削減策があって、リッター2,000円くらいの品でもイタリア産の可能性が否定できないからです。
個人的には、エクストラバージンオリーブオイルの酸度基準を0.8%から下げてしまって安価なイタリア産以外の品が混ざる余地を減らしてしまえば良いと思っています。250mlで3,000円近いものから、500mlで1,000円を切るものまで同じエクストラバージンオリーブオイルになっているから分かりにくい。そう思われませんか?私は、なんらかの理由で量産品を買うときは、「サラダ油よりは良いだろう」と割り切って買っています。サラダ油がと認知症の関係については、以下の記事ご参照下さい。
平成28年2月14日(日)
株式会社 il Bianco 加藤 昭広