イタリアでは、そうそろトリュフ祭りが各地で始まる頃です。
有名なピエモンテ州のエルバでは、10月10日(土)から11月15日(日)まで毎年恒例の白トリュフ関連のイベントが催されます。このトリュフという品は、はまってしまうと止められないですよね。特に白トリュフ。
さて、このトリュフを使用したオリーブオイルは、簡単にトリュフの香りが楽しめる優れものです。イタリアの空港でも見かけますので旅行のお土産に買われる方も多いでしょう。その際にご注意いただきたいのは、ベースのオリーブオイルの種類です。
実は、トリュフフレーバー付きオリーブオイルには、エクストラ バージン オリーブオイルベースのものと、ピュア オリーブオイルベースのもの、2つがあります。二つのオリーブオイルの違いについては、リンク先の記事ご参照ください。
ご覧いただくとお分かりいただけると思いますが、このピュアオリーブオイルとは、人工的に加工されている”油”です。そのため料理にかけると油っぽくなります。
開封直後なら香りが強いので少量使用すればいいのですが、香りが飛び始めてから香りを強くしようとして使用量を増やすと、当然油っぽくなります。製法にもよるのですが、普通2週間もすると香りが少なくなったのを実感できる品がほとんどです。
私が扱っているマリナコロンナ社の白トリュフオイルは、製造方法が独特で、なかなか香り飛びしません。遮光ボトルの250mlサイズでしたら、開封後半年くらいは使うことができる品です。それにエクストラバージンオリーブオイルベースなので、たっぷり使っても油っぽくなりません。少し営業させていただきました。すみません。
さて、では何故エクストラ バージン オリーブオイルベースのものとピュア オリーブオイルベースのものが2つあるのか?これは原材料のオリーブオイルを安くしようとしたわけではありません。用途の違いからです。
実は、フレンチの世界の方々とお話しさせていただくと、エクストラバージンオリーブオイルの味が邪魔と感じられる方が多くいらっしゃいます。フレンチの技術を駆使して作り上げた風味豊かな皿に、最後トリュフの香りを加えようとしてオリーブオイルの味が混じってしまうと、味が壊れてしまうのです。ピュアオリーブオイルは、「無味」ですので、その心配はありません。
対して、素材の味と味をぶつけて一皿作るイタリアンのレシピには、ほぼオリーブオイルの風味が最初から含まれていますので、最後のトリュフの香りを加える際にエクストラバージンオリーブオイルの風味が加わってもあまり問題無いのです。
ということで、それぞれのベースのトリュフフレーバー付きオイルは、用途と言いますか、向いている料理のジャンルが違うのです。
見分ける方法ですが、エクストラバージンオリーブオイルベースの場合は、表ラベルのどこかにイタリア語でExtra vergineと表記されているはずです。対してピュアオリーブオイルベースのものは、Olio di Olivaと書いてあるはずです。日本で買われる場合もこの見分け方になります。なぜなら商品裏面の日本語表記ラベルには、どちらのオリーブオイルも「食用オリーブ油」としか書けないからです。
エクストラバージンとピュアが、法律に則った表記では同じになってしまう。
こういうところも、オリーブオイルが分かりにくい一因ですよね。
株式会社 il Bianco 加藤 昭広