私は、オリーブオイル含めたイタリア食材のインポーターです。
同業で、ほかの方の仕事について、あれこれ言うのは好きではありませんでした。
「あっちのは美味しくないけど、うちのは美味しいよ」なんていうのは、好みません。
でも、色々なお店を訪れると「これは売っては、いかんだろ」という品を目にすることがあります。
その品に携わっている方は、知らないだけかも知れませんが、買われる方はもっと素人です。
その品を楽しそうに買い物をされる方を目にします。イタリアの食に携わる者として心が痛みます。
ですので、目にした品、気になった品を、時折このブログで記させていただくように最近しました。
わたくしが「それは、いかんだろ」と思う品は
1.透明ボトルに入ったエクストラバージンオリーブオイルで250ml以上の大きさ
オリーブオイルのは緑色の成分は、葉緑素です。
その葉緑素は、透明ボトルの場合、未開封でも概ね3ヶ月で全て光で分解され、分解過程で酸化物質を出します。
250mlくらいのサイズを使い切るには、1ヶ月程度かけられる方が多いと思います。
店頭陳列期間と消費期間を考えると、使い切る頃には酸化します。良くてギリギリでしょうか。
繰り返しますが、未開封でもです。
例えば、透明ボトルに入っているエクストラバージンオリーブオイルの色が、透明に近かったら、かなり厳しい状態です。酸化物質の塊となっているはずです。
根拠となるのは、こちらのオーストラリアの公的な研究機関が作製したレポートです。
ポリフェノールやリノール酸の含有量別に、オリーブオイルを9タイプに分けて、
温度や光の管理条件を変えて、882本のサンプルを3年間調べています。
成分の含有量別とは、辛かったりマイルドだったり、色々なタイプの味のオリーブオイルということです。
概要をまとめたPDFのグラフ内に記してあるLPやHLの記号は、オリーブオイルのタイプを表しています。
例えば、
LPは、Low Polyphenolsの略で、ポリフェノールが低い
HLは、High Linoleic acidの略で、リノール酸が高い
2.唐辛子がそのまま入った唐辛子フレーバー付きオイル
唐辛子そのもの、ないし、それを一定以上の割合で使用していて、唐辛子が形として残っている食品は、輸入の際にアフラトキシン検査が義務づけられています。
このアフラトキシンとは、「カビ毒」です。
つまり、カビるリスクがあるということです。
油漬けになっているから、カビないと思われるかも知れませんが、カビの生命力は、ものすごいです。
例えば、私が取り扱っているジェノベーゼペーストですが、年に数個フタがちゃんと締まっていない品が出てしまいます。それを常温で数週間放置すると、オイルに漬かっている部分もカビます。だから、ジェノベーゼペーストの検品は、フタの確認を1個ずつ行っています。
つまり、カビ毒検査が義務づけられている唐辛子を、そのまま漬け込んでいる品は、使っているうちに唐辛子が露出した段階でカビるリスクがあるのでは無いかと思うのです。もし、それが透明ボトルに入っていたとすれば、酸化とカビ両方のリスクがある食品と言うことになります。
イタリアは、乾燥しているのでカビのリスクは少ないです。パンなどは、数日放置すると、カビる前に石のように硬くなります。だから、唐辛子をそのまま入れたフレーバー付きオイルも存在しうると思うのですが、ここは日本です。
インポーターは、当然リスクを把握して、お客様にお勧めできる品を輸入するべきだと思います。
お客様は素人で、私たちはプロなのですから。
株式会社 il Bianco 加藤昭広