オーガニックのオリーブオイルに思うこと その2 私が良いと思うオーガニック農園のお話しと9月4日(金)まで期間限定で飲み比べセットのご案内

オーガニックのオリーブオイルについて、前回の記事から時間が凄く経ってしまいました。申し訳ございません。

前の記事ではオーガニックのオリーブオイルについて、生産者によっては賛否があることをお伝えしました。

今回は、オーガニックのオリーブオイルが素晴らしいと思っている作り手とその人の農園の話です。

前回の記事では、オリーブオイルのオーガニック生産に適した畑と適さない畑があるとご案内しました。
ご紹介するオーガニック農園は、地形的な条件から害虫が少ないオーガニック生産に適した畑です。

グーグルで「イタリア インペリア  アウリーゴ」と検索して地図を見てみてください。北イタリアリグーリア州の人口350人の小さなアウリーゴ村の周辺が、ご紹介する農園の所在地です。

畑から見下ろすアウリーゴ村。小さな集落です。

畑から見下ろすアウリーゴ村。小さな集落です。

そのまま地図をズームアウトするとインペリア周辺の地形が分かると思います。海からすぐに山が始まる、ちょうど日本のみかんの段々畑みたいな地形です。その海は非常に暖かく、海岸沿いにタジャスカ種のオリーブ畑が広がっております。オーガニック農園のあるアウリーゴ村は、海から遠い山奥で、かつタジャスカ種の栽培標高限度の標高600m前後に広がっておりますので害虫がここまで上がってきません。

私はこの農園に、2月、7月、11月と3回伺っています。11月の収穫期に行った時は、確かに虫食いが少なかったのと、海沿いの畑に比べて非常に寒かったのを覚えております。

初対面の印象は、「山の畑が大好き」です(笑)。

初対面の印象は、「山の畑が大好き」です(笑)


ここの農園主が写真の方になります。
名前はヴェンセンツォ ブルーナさんと申します。フラントイオ ビアンコ社の一代前の社長さんです。この方に会うためには山の畑に行かなければなりません。有名な食品博や表彰があったとしても出てくる事はないと思います。山の畑が大好きで、まだまだ現役のうちに社長業を息子のフィリッポ ブルーナさんに渡して、事務所からオリーブ畑へ仕事場を変えた方です。

会話中に分からない単語が出てくると固まります(笑)ちゃんと録音・録画して後から確認しております。良い勉強になりました。

会話中に分からない単語が出てくると固まります(笑)ちゃんと録音・録画して後から確認しております。良い勉強になりました。

彼との出会いは偶然です。元々この地方への訪問の目的は、前回ご紹介したフラントイオ ヴェンチュリーノ社でした。当時私が住んでいたフィレンツェからは350kmも離れていたので、せっかくだからもう一カ所思って探していたところ、以前から私が屋号として使っていた「イルビアンコ」と同じ名前の会社を見つけたのでついでに行った次第です。

初対面の時、挨拶もそこそこに「とりあえず山へ行こう」ということになりました。畑までは車で小一時間かかります。道中色々な話をしました。イタリア人は、イタリア語でのコミュニケーションだと実に色々話してくれます。自分の生まれたアウリーゴ村のこと、奥さんは同じ村の出身だと言うことなどなど。(※実は、私英語が駄目なのでイタリア語になっちゃうだけなのですが)そうして連れて行ってもらった畑は、とても感動的だったことを覚えております。

自然がそのまま。農園中自然が活き活きしておりました。

自然がそのまま。農園中自然が活き活きしておりました。

200年以上続くオーガニック農園
最初の訪問は2月だったのですが、除草剤を使用していない有機農園なので下草がしっかり生えていたのが印象的でした。自然のままのオリーブ畑の周辺には、ローマ時代に作られたという橋や雨宿り用の横穴、オリーブ運搬用に使用した牛車用の道。数百年前から続くのオリーブ農園そのままの姿でした。2回目7月に行った時には、下草を手作業で刈り取る作業と虫食いが少ない実を見せてもらい、3回目の11月の収穫期には、収穫と搾油の様子を拝見しました。

詳しい農園の様子は、訪問記の「フラントイオ ビアンコ」をご参照ください。「フラントイオ ヴェンチュリーノ」の記事もあります。それぞれページの一番下には、日本語字幕付き動画も入れてあります。

ラベルの水車は、200年前の創業時にブルーナ家がオリーブ搾油用に使用していた水車です。うちのオリジナル商品です。

ラベルの水車は、200年前の創業時にブルーナ家がオリーブ搾油用に使用していた水車です。うちのオリジナル商品です。

このブルーナ家のタジャスカ種のオリーブオイルは、ものすごく力強さを感じます。実自体もオーガニックのせいか種が大きいのが特徴です。
料理との相性ですが、サラダ、魚介類と相性が良いのはもちろん、タジャスカ種なのに赤身系の肉料理にも負けていません。そのくせとても軽いのです。

私のところの累計出荷数は、500mlが約3,000本と250mlが約2,800本です。
弊社は販路が少ない小さな輸入卸業者ですので、このくらいの量ですが、もっと多く出てもおかしくない品です。
お試しいただきたく、期間限定セットを一番下に記させていただきました。

まとめ オーガニック生産に関して考えの違い。
※北イタリアリグーリア州の山一つ隔てただけのお隣さん同士の場合

オーガニック派のヴェンセンツォ ブルーナさんの考えは、
「美味しいものを作るためには、人は極力関与せず自然に任せるべき」
オーガニック生産もその流れからのものです。木の剪定に関しても、「あの木は、あそこの枝が窮屈そうだから切ってあげよう」と言ったように、木の目線で決めます。

対して、オーガニックに否定的なフラントイオ ヴェンチュリーノのバルターさんは、
「美味しいものを作るためには、人は積極的に木に関わる」
木の剪定に関しても、「あそこを切ってあげると木が元気になるので良い実が採れる」という視点です。
ただし、決して木に負担をかけるわけでは無く、”木に良い仕事をさせてあげるために環境を整えてあげよう”という考えです。

はい、この2人「美味しいものを作りたい」「オリーブの木を大事にする」と、目的は同じなのですが、方法が見事に違うのです。

そのためか、お互いのことをよく知っていて「あそこは分かっていない」と言っておりました。
(注)敬意もこもってですよ。念のため。お互い一流の仕事をしていると認め合っていると、、思います。

ご先祖様も「海にルーツがある人」と「山にルーツがある人」ですので、こちらも大きく違います。

私は、この2社の品は、それぞれ個性があり、甲乙つけがたい品だと思います。
結果、両方から仕入れる事にしたのですが、そのことをそれぞれ伝えたら「おまえは分かっておらん」という顔をされました(笑)

さて、この両者の違いを感じていただきたく、
期間限定でセット販売いたします。
定価の20%OFFになっております。

株式会社 il Bianco 加藤

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ヒナタノ店主・加藤 昭広

おいしいもので喜んでいただくことが大好きです。おいしいものを探してイタリアへ移住。気がついたら仕事になっていました。
自他ともに認めるオリーブオイル ヲタクです。
このブログでは、おいしい話しやイタリアの職人さんたちから聞いた小ネタを紹介しています。