おすすめの美味しいアンチョビの食べ方や選び方をご案内します

アンチョビのおすすめ

「アンチョビはお好きですか?」私は店頭販売の時には、こんなお声かけしておすすめしています。アンチョビがお好きな方は、「アンチョビの濃厚な味が好き」と言われます。

一方、アンチョビをおすすめしても、苦手と言われる方は、アンチョビの生臭さや塩辛さ、油っぽさが嫌だと言われる方が多いです。

でも実は、生臭くなくて、塩辛さが控えめ、油っぽくない美味しいアンチョビもあります。イタリアのは油っぽく無いです。そして、これが、アンチョビが苦手な方にもお勧めできる。美味しいアンチョビのポイントになります。

おすすめしたい良いアンチョビとは

美味しいアンチョビと言われているアンチョビには、3つの特徴があります。

1.油っぽく無い

ほとんどの場合、アンチョビの瓶詰めや缶詰は、塩漬けにしてから、ひまわり油やオリーブオイルなどの食物油に漬けてつくります。漬け込んでから調理したり加熱したりしません。

よくお客様から、オイルサーディンとアンチョビの違いを聞かれるのですが、イワシを食物油で煮るオイルサーディンとアンチョビとの違いは、ここにあります。

アンチョビにも使用される食物油は、高温で長時間加熱すると油っぽくなります。そのため、製造過程で高温になる缶詰のアンチョビよりも、比較的低温で作られる瓶詰めのアンチョビの方が油っぽく無いのでおすすめです。

もうひとつ、使っている食物油の種類も、油っぽく無いおすすめのアンチョビを選ぶポイントです。イタリアでは塩漬けしただけのアンチョビも売られています。その塩漬け状態のアンチョビを使って、好みの食物油に漬けてオイル漬けにします。

日本で売られているアンチョビは、オイル漬けになっているものがほとんどですが、オイル漬けになっている食物油の種類が色々あるのをご存じですか?たとえば、ひまわり油だったりオリーブオイルだったりします。アンチョビの日本語ラベルを読むと書いてありますよ。

この食物油の種類によっても、油っぽかったり、そうで無かったりします。

オイルサーディンの様に食物油で煮込んでしまえば、どれも似たような状態になってしまうと思うのですが、アンチョビの瓶詰めの場合は、食物油の風味がアンチョビの味に出てきます。

漬け込んである食物油が傷んでいたり、美味しく無かったりすると、やっぱりアンチョビの味も美味しく無いです。美味しく無い食物油で作られたアンチョビの場合、アンチョビに染みこんでいる食物油の味は、取り除くことは難しいと思います。

個人的におすすめなアンチョビは、オリーブオイル漬け、それもエキストラバージンオリーブオイル漬けです。少し贅沢ですけど、やっぱりエキストラバージンオリーブオイルは最上級の食物油だと思います。

2.臭く無い

アンチョビの材料はカタクチイワシです。イワシの類いは大変傷みやすい魚で、アンチョビはそれを発酵させているので、当然臭いもします。

発酵と腐敗は紙一重。人体にとって有益な微生物で変化したものを発酵。人体に害がある微生物で変質したもを腐敗と呼ぶみたいです。魚が腐っているような臭いがするけど、食べられる魚の発酵食品が存在するのもこのことからです。

ですので、通常の手順、塩漬けを経た普通のアンチョビは臭くても不思議では無いです。一応、塩漬けから油漬けにする際、アンチョビを洗いますので臭いが抑えられますけど、やはり臭みとして残ってしまいます。

実は、イタリアには、臭くないアンチョビが存在します。塩漬けの一次発酵を経ていないアンチョビで、瓶詰め後に発酵をさせるイタリアでも珍しいアンチョビです。のちほどご案内させていただきます。

3.塩辛く無い

ご案内したとおり、アンチョビは通常1ヶ月以上塩漬けにします。使用するお塩の量がビックリするくらい大量で、アンチョビ材料のカタクチイワシの重量3割以上の塩を使って漬け込みます。

オイル漬けにする段階でも、カビたり腐らないように、完全には塩抜きをしないでオイル漬けにします。そのため普通のアンチョビは塩辛くなってしまうのです。

この3つ「1.油っぽく無くて」「2.臭みが少なくて」「3.塩辛さが控えめな」アンチョビが、美味しいアンチョビの条件だと思います。

オリーブオイルの本場イタリアで、この条件に合うようにアンチョビを作れば良いのですが、この3つの条件に関して、イタリアの人は日本人に比べてストライクゾーンが広いと言いますが、基準が寛大な所が多いです。

特に臭みについては、日本人と感覚が違う場合が多いです。イタリアを旅行されて魚介類をレストランで召し上がったとき「鮮度が悪いな」と感じられた方もいらっしゃると思います。臭いや鮮度に対する感覚は、海沿いの地域含めて、そんな感じがほとんどです。

でも、イタリアにも、日本人と同じよう鮮度意識を持っている地域や生産者がいます。そこでは「1.油っぽく無くて」「2.臭みが少なくて」「3.塩辛さが控えめな」アンチョビが存在します。

それは、塩漬けの一次発酵を行って無くて、瓶詰め後に発酵をさせる珍しいアンチョビです。

塩をふったカタクチイワシのフィレを瓶に詰めて、熱したエキストラバージンオリーブオイルを注いだだけ。そこから発酵させるというアンチョビです。これ、実は私の品になります。商品の宣伝になってしまいますが、本当にオススメできます。

このアンチョビは、振り塩の段階で、使用する塩を必要最小限に抑えてありますから、塩辛さが控えめです。

傷みやすいカタクチイワシでも、熱したエキストラバージンオリーブオイルで、火を通すことによって、腐敗せないようにしています。エキストラバージンオリーブオイルを使っているので、油っぽさも生臭さも少ない品です。そのまま食べられるほどです。

なんで、そのようなアンチョビが出来るかと申しますと、アンチョビの水揚げ地とオリーブオイルの産地が同じだからなんです。

水揚げしたら、すぐに塩漬けしなければ、カタクチイワシは傷んでしまうのですが、港とオリーブ農園が極めて近いので、塩漬けしなくても瓶詰めできてしまうのです。


1番上が、アンチョビの製造元フラントイオ・ビアンコへ行った時にホテルから撮った写真です。右の方に少しだけ船が見えると思います。左の山の奥の方にオリーブ農園があります。

2番目の写真にヨットの中に漁船が混じっています。分かりにくくてすみません!今度行ったら、港取材してきます。一番下の駅名にPORTとありますよね。これはイタリア語で港のことです。

ただし、味の濃さについては塩漬けを経て発酵させたアンチョビよりも少し弱いです。パスタの具材にするときは、2割ほど多く使わないと、普通のアンチョビと同じ強さの味が出てこない。この程度の弱さです。でも、美味しさにはすこぶる自信がございます。

アンチョビのおすすめレシピ

アンチョビ、カタクチイワシの瓶詰めや缶詰は、パスタやピザの具材でお馴染みですよね。

バーニャカウダのように、アンチョビ自体がお料理の主役になる場合もありますし、トマトソースやカプレーゼに加えるように出汁やコクだしの役目をするときもあります。

また、意外と思われると思いますが、アンチョビと乳製品をあわせるのもおすすめです。北イタリアの一部地域には、アンチョビとクリームで作るペーストがあるのですが、あの反則な美味しさは一度食べたら忘れられません(笑)

鮮度の良いアンチョビで作ったペーストです。これだけですごく美味しい

 

こちらが「反則の味」のアンチョビの生クリーム入りペーストです。辛口の白ワインとこれで、止まらなくなります(笑)

 

アンチョビと生クリームパスタもあります。これは作り方がシンプルですのでおすすめです。

アンチョビとクリーム好きの方には絶対オススメの絶品パスタです。コツは、玉ねぎをゆっくり炒めてあげるのと、生クリームをグッと煮込むこと。太めのスパゲッティかペンネのようなショートパスタとあわせるのがおすすめです。

クリームを煮込むときは、写真のように弱火で煮込みます。沸騰させちゃうと、生クリームの香りが飛んじゃうんです。生臭さが無いアンチョビは、生クリームとも相性抜群ですよ。

まだまだあります。アンチョビのおすすめ召し上がり方

アンチョビをイタリア料理以外にも使うおすすめの方法があります。それも創作料理のような難しいレシピでは無くて、シンプルなレシピです。

お祭りの屋台でバタージャガイモに塩辛のトッピング。ご覧になったことがありますか?。こんな感じで塩辛と根菜類をあわせる食べ方がありますが、イカの塩辛をアンチョビに置き換えてみると美味しいですよ。

そうすると和の食卓にもよくあうひと品になります。実際、アンチョビも海産物の発酵食品ですし、違いがあるとすればオイル漬けになっているかどうかくらいです。

こんな食べ方ができるのも、生臭くなくて、油っぽく無いアンチョビだから。ほんとオススメです!

アンチョビとクリームのパスタなどのレシピは、こちらのページにもご紹介しています。商品ページになりますが、写真付きでポイントをご紹介しています。

アンチョビのおすすめの塩味調整方法は、塩抜きよりもあわせ方

アンチョビの塩抜きはおすすめできません。

ご紹介しているアンチョビは、かなり塩味が弱いのですが、もっと塩味を押さえたいときのお話しです。

パスタの具材に使用して、フライパンの中で白ワインなどでフランベして、アンチョビの味と塩を具材に移すような塩抜きなら良いのですが、単純にアンチョビを水に浸したりしたら、塩味と一緒にアンチョビの旨みが出て行ってしまうのです。

とは言えどもアンチョビの塩味を調整したいときがありますよね。そんな場合は、アンチョビの切り方や使用量でアンチョビの塩味の調整するのをおすすめします。

たとえばアンチョビをカナッペにしたいときは、アンチョビをたたいて細かくし、モッツァレラチーズの上にアンチョビをのせたり、トマトのブルスケッタに細かくしたアンチョビを加えたりです。

余談ですが、アンチョビ以外のイタリア食材でも、塩味が強過ぎると感じられる場合があると思います。

例えばケッパーやオリーブの塩漬けなど、本などでは塩抜きを勧めていることが多いのですが、その具材に付いている塩味は、美味しいのです。もったいない。

それらの具材の中にある「美味しい塩味」を抜くのでは無くて、お料理の味付けに使うと、塩を加えて作る塩味より美味しい塩味になると思います。トマトソースにするときなど、塩を加えずに、ケッパーやオリーブの実から出てくる塩で、味付けすると深みのある味になりますよ。

私が勤めていたイタリアのレストランやピッツェリアで、塩漬けのケッパーの塩抜きするのは、サラダなどでそれ自体をそのまま食べる場合だけでした。

アンチョビと同じくケッパーも傷みやすい食材です。そのため鮮度の良いときに塩漬けにします。

アンチョビも生鮮食品おすすめしたい保管方法

おすすめのアンチョビは、缶詰では無くて瓶詰めとご案内しました。理由は、缶詰の場合は、製造工程でアンチョビと漬け込んでいる食物油が高温になるからです。

同じ理由で、瓶詰めのアンチョビでも、蓋をした後の加熱が、必要最小限のアンチョビの方が美味しいです。さらに、オリーブオイル漬け、それもエキストラバージンオリーブオイル漬けのアンチョビの方が、美味しい食物油なので、おすすめとご案内しました。

さて、ここで一つ問題になるのが商品の取り扱い。アンチョビ含めて瓶詰めの場合、保存食という認識が強いからか、どうしても温度などからの管理が甘い場合があります。

たとえば、輸入の際に庫内温度が、数週間にわたり60度になるようなコンテナで輸入されるアンチョビが多いのです。これでは、せっかく低温で処理された美味しい瓶詰めのアンチョビも味が変わってしまいます。

最近はエアコンが付いていて温度管理されているリーファーコンテナと呼ばれるコンテナで輸入をされている輸入会社さんも増えています。そのようなアンチョビには、ラベルのどこかに「リーファーコンテナ使用」や「定温輸送」あるいは「空輸」と書かれているはずですので、お買い求めの際にはチェックするのをおすすめします。

私のアンチョビは、もちろん空輸で定温倉庫で保管、夏場にはクール便でお送りしております。一番下の商品写真へ商品ご案内のリンクを貼らせていただきました。ご覧いただけると嬉しいです。


アンチョビのおすすめの食べ方探し方のまとめ

1.おすすめの美味しいアンチョビの条件は

「油っぽく無い」「臭くない」「塩辛くない」。この3つの条件に一番近いアンチョビは、瓶詰めでオリーブオイルを使用したアンチョビです。

さらに塩漬け工程を経ていないアンチョビなら、発酵させていないので臭みも少ないです。

2.アンチョビのレシピについて

アンチョビのレシピは欧州料理に多くあります。トマトソースなどパスタやピザの具材に使用されます。そのほかでも乳製品との相性が良いので、アンチョビと生クリームのレシピも美味しいです。生臭くないアンチョビなら、クリームとの相性も抜群ですよ。

和のレシピにするときは、イカの塩辛のレシピを参考にできまよ。

イカの塩辛もアンチョビも魚介類の発酵食品ですので、味わいは近く、レシピ内のイカの塩辛とアンチョビを入れ替えるだけでも美味しくいただけます。油っぽく無いアンチョビなら、塩辛よりも美味しいくらい。

アンチョビの塩味を調整したい場合は、切り方やアンチョビの使用量で調整してみてください。水に浸すなどの塩抜きは、アンチョビも旨みも出てしまうので、あまりおすすめできません。

3.アンチョビの保存方法<.p>

製造工程で高温になる缶詰のアンチョビは別にして、瓶詰めのアンチョビは、温度などから管理してあげた方が良いと思います。瓶詰めは保存食と思われがちですが、実は生鮮食品に近いくらい味がデリケートです。

そのことを熟知している瓶詰め生産者は、蓋をした後の温度に細心の注意を払っております。そのような方法を取っている生産者の瓶詰めは美味しいです。

アンチョビに限らず、低温で処理されている瓶詰めの輸入には、温度管理されたコンテナや空輸が適しています。そのような管理をされた瓶詰めのラベルには、温度管理されて輸入されている事が書かれていますので、アンチョビに限らず輸入瓶詰めを購入される際には、日本語のラベルをチェックされるのをおすすめします。

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ヒナタノ店主・加藤 昭広

おいしいもので喜んでいただくことが大好きです。おいしいものを探してイタリアへ移住。気がついたら仕事になっていました。
自他ともに認めるオリーブオイル ヲタクです。
このブログでは、おいしい話しやイタリアの職人さんたちから聞いた小ネタを紹介しています。