新物オリーブオイルの楽しみ方(その3 濾過の方法)についてご案内いたします。

オリーブの収穫

新物オリーブオイルの無濾過が強調される理由

新物エキストラバージンオリーブオイル(以下オリーブオイル)は、無濾過だから美味しいと書かれている広告をよく見ます
ただ、その無濾過とされている内容が、複数ある濾過工程の話が混じっているのを見かけます。
本日は、濾過のお話しです。新物オリーブオイルをお選びになる際にご参考になれば幸いです。

 


 

新物含めてオリーブオイルの濾過には複数工程がある

オリーブオイルの濁り成分は、オリーブの実の果肉や種などから生じたものです。
美味しいには美味しいのですが、葉緑素がたくさん含まれている非常に傷みやすい成分です。
この濁り成分を、どのレベルまで取り除くかでデリケートさ加減が変わってきます。

搾油から瓶詰めを順に追っていきます。

 

搾りたてのオリーブオイル

工程 1.搾油。搾油したままの濃く濁ったオリーブオイル
新物の季節だけ手に入るのは、この段階のオリーブオイルです。

 

オリーブオイル貯蔵タンク

工程 2.自然沈殿させてから澱引き
搾油した濁ったオリーブオイルをステンレス製のタンクに保存すると濁り成分が沈殿します。
沈殿した濁り成分(澱)をタンクの底から取り除きます。

 

ここから、AないしBの方法で瓶詰めされます。この作業経たオリーブオイルは、新物時期以外にも売られる通常品です。

 

オリーブオイル

工程 A:澱引き後のオリーブオイルをタンクの上の方から、上澄みを少し濁った状態で取り出して瓶詰め。

 

濃厚なオリーブオイル

工程 B:澱引き後のオリーブオイルをコットン生地のフィルターで濾過して、濁り成分を取り除いて瓶詰め

 

私が目にした広告では、瓶詰めしている様子の写真は工程1のオリーブオイルで、商品写真と説明文は工程 Aを経たオリーブオイルでした。どちらの品が来るのか問い合わせないと分からないと思います。

 


 

オリーブオイルの濾過。4つめの工程を持っていた強者の職人さん

オリーブオイルの味は、フィルターをかけた方が美味しい生産者と上澄みで出荷した品の方が美味しい生産者がいます。
オリーブの実をミルにする細かさ、オリーブの実の品種や育て方からの違いのようです。

私が以前取引していたオリーブオイル職人の人で濾過に情熱を持っていた人がいました。
彼は、コットン生地で濾過した後、ペーパーフィルターを3回かけておりました。「磨き作業」と言っていました(笑)
彼のオリーブオイルはクリアーでキレがあって、味が長持ちしました。

 


 

新物オリーブオイル。自分で濾過すれば長持ちする

オリーブオイルの濁り成分がいかにデリケートなのかは、このペーパーフィルターの職人さんに教えてもらいました。
彼曰く、「オリーブオイルを長持ちさせたければ、自分でペーパーフィルターをかけなさい」とのことです。
新物の濁ったオリーブオイルも自分で濾過すれば長持ちするとのことでした。

でも、個人的にはもったいないと思います。
濃く濁ったオリーブオイルは、時期が限られている特別なもの。
お刺身、お豆腐など、和の食材にも是非お試しください。

 


 

新物オリーブオイルの楽しみ方(その3 濾過の方法)のまとめ

1.新物の時期だけ食べられるオリーブオイルは、搾っただけの濃く濁ったオリーブオイルです。
なぜなら、オリーブオイルの濁り成分は、タンクで保管するとどんどん沈殿しまうからです。

2.無濾過オリーブオイルと言われているものには、
搾っただけのものと、沈殿物を取り除いてから上澄みを出荷するものの2種類ある。
上澄みで出荷される品は、新物時期以外でも購入が可能です。

 

いずれにしても、濁り成分はデリケートです。
特に光には弱いので、必ず遮光することをお勧めします。濁り成分は未開封でも光合成で酸化します。

hinatano 加藤 昭広

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ヒナタノ店主・加藤 昭広

おいしいもので喜んでいただくことが大好きです。おいしいものを探してイタリアへ移住。気がついたら仕事になっていました。
自他ともに認めるオリーブオイル ヲタクです。
このブログでは、おいしい話しやイタリアの職人さんたちから聞いた小ネタを紹介しています。